学校での睦月
「おーい、金城、運ぶの手伝ってくれ~」
「金城~! あそこの箱とってー!」
あちこちで睦月を呼ぶ声がして睦月は「おう」と返事してどちらとも手伝いに行った。
睦月は学校では社交的な方で見た目は少し怖い感じもするが性格が明るいため皆は気にせず睦月と接している。
睦月の学校での印象は“頼れる” ”まぁまぁ見た目よし“ ”大抵何でも引き受けてくれる“
そんな睦月の名称は“何でも屋”だ。便利に使えると言う意味では無くちゃんと断る時もあるので適度に手伝いをしてくれる人みたいな感じになっている。
それでも、大抵引き受けてしまう睦月なので皆もついつい睦月に頼んでしまうのが落ち度だ。
「オッス! 何でも屋!」
「次言ってみろ。昼飯抜きにしてやるからな」
「ゲッ! いや~冗談だって冗談! 睦月」
ヘラヘラしながら謝る黒髪短髪で前髪にはヘアピンをしている。背は少し睦月より下の
それは学校中に広まってるがルックスが良いから女の子が寄ってくると本人が言っていた。
「ほれ」
青色の風呂敷に包まれた弁当箱を軍人に渡すと頭の上に上げて「イエーイ!」っと小学生みたいに燥ぎだした。
睦月そんなに嬉しいものか?っと思いながら燥ぐ軍人を見ていた。
昼休みになると睦月と軍人は教室で昼飯を食べていた。
「うーん。やっぱり睦月の飯が一番旨いな~!」
「そう言って貰えるのは光栄だが、そんなに美味しいか?」
軍人が睦月に褒め言葉言い。睦月は気に食わなそうな顔で言葉を返した。
不味いとは流石に思わない。そんなのを誰かに渡すぐらいなら切腹してやる。まぁ、例えだからやらないけど、それぐらい出すのは嫌だってことだ。
それに、美味しいとも余り思わない。これは過信し過ぎない為のものでもある。余り過信すると何だか味が落ちる様な気がする。最初の頃初めて葵に美味しいと言われた“フレンチトースト”も何度か作ってる内に葵に不味いと言われ暫く落ち込んだのを今でも覚えてる……………
まぁ、普通ってところだな――――俺の料理は――――
飯を食べながら二人はどうでも良いことを話して、笑ったり、軍人のナンパ話を呆れて聞いていた睦月だった。
「睦月ってモテそうでモテないよな~」
「喧嘩売ってるなら買うぞ」
「いや、売ってないけど。やっぱり見た目だよ~! 少しはオシャレに気を使えって!」
オシャレって、俺には無縁のものだ。
俺みたいな体格がデカくて目付きが悪い奴がオシャレしたら絶対に変に思われる。
あれだ。いつも地味にしていた奴がいきなりハデになって学校に来ると変に思われるみたいな感じだ。うん、俺も何を言ってるか意味が分からない。
自分の例えに首を傾げる睦月。
「そうだ! 女子に聞いてやるよ! 睦月がどんな風に思われてるか!」
「何か思い付いた顔したと思えば、くだらないことかよ」
「むっふっふ! 俺に任せとけ!」
俺の言葉は無視かよ………………
任せるのは心配過ぎるが気になるから俺はでそんな芸当出来る軍人に任せて聞きに行って貰った。
(俺、皆にどう思われてるのかな? 皆、普通に話し掛けてくれるから悪いとは思われてないと思う。だけど、やっぱり怖いとか怖いとか………怖いとかぁぁ!?)
自分の見た目が一番怖いと自覚している睦月は不安に煽られ
そして、軍人は帰ってきて。机に仰向け状態で頭を付けて泣いている睦月を見て「ど、どうした?」っと動揺気味で聞いた。
「いや、何も」
軍人が帰ってきたら直ぐに泣くのは止めて前を向いた。軍人は「それなら、良いんだが」っと言って少し安心した様子で前の椅子に座った。
「で、真実が聞きたい? 嘘が混じった真実が聞きたい?」
「はあ? なんだそりゃ……………そんなの真実だろうが」
「オッケー! なら、全部纏めて言うと、駄目人間にされそうだ」
意味が分からない。いや、意味は分かるが何で俺が駄目人間にさせるんだ? かなり反応に困る。
「えっと、それは良いのか? 悪いのか?」
「うーん。良くもないし、悪くもないな。でも、どっちかと言うと悪かな!」
グハッ! と心に大きなダメージをくらった睦月。
何て、奴だ。そんな事を満面の笑みで言うとか、もはや人間じゃない!
そこまでは言い過ぎかもしれないがそのぐらい言い方は酷い。
「まぁまぁ、落ち込むなよ。別にお前が悪い奴って訳でも無いんだしさぁ。どっちかと良い奴じゃん、頼んだ嫌そうにせずすんなり手伝うし。俺は嫌な顔するけど。毎日菓子パン食ってた俺に弁当作って来てくれるしな」
「うっ………お前って酷い奴だな」
「はあ!? 褒めたじゃん! それで酷い奴扱いはないだろ!」
十分酷い奴だ。その前に落ち込む様なこと言ってきて、それで今と来たら褒めるのかよ。と言うか褒めになってるかは分からないが心が嬉しいっと思ってるから多分褒め言葉として受け取って良い。
軍人は憎めない奴だ――――
小話;睦月と軍人
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
軍人は一人で窓を見ながら購買で買った菓子パンを食べていた。それを後ろからじっっと見る睦月。
次の日。
「ほい」
「………何これ」
睦月は軍人の前に青色の風呂敷に包まれた弁当箱をだした。二人は接点は無くその時軍人は要らんお節介だなっと苛立っていた。
「良いから、食ってみろ」
「……不味かったら吐いてやるぞ?」
女の子にしか興味が無い軍人が珍しく男から物を貰った。それは好奇心から来るものなのかは分からないが軍人は睦月から弁当箱を受け取った。
そして、中を開けてみると彩りが良いおかずが詰められていた。
それを見た軍人はよだれを垂らしてゴクりと唾を飲み込んだ。
箸を取って入っていた唐揚げを一つ取り口に運んだ。
(ッ!?………何これ旨い。こいつ何が目的なんだ?)
そんな事を思いつつ軍人は全部たいらげて満足げな顔でふぅっと息を吐いた。
「何が目的なんだ?」
「いや、目的って言うか。毎日菓子パン食ってるから栄養ないだろって思って作ってきた。要らんお節介だったのならすまん」
「………いや、大丈夫だ」
「そうか。なら、良かった」
さっきまでそう思っていた軍人はあまりにも美味しかったのかすんなりと受け入れた。
「気に入ったのなら明日も作って来るがいるか?」
「………なら、頼む」
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