9、3日目は……

 2019年3月21日、木曜日の祝日。

 昨日の自転車でのサポートで疲れて昼まで寝てました。普段走ってる量の倍も走った私の太腿はパンパンでした。


 今日、せんまるさんは、自転車乗りの間では有名な難所、奈良と大阪の境「暗峠」を走られます。

 早速パソコンの電源を入れ、生放送を見ると、


「しゃー、このやろうー!」


 と言う、せんまるさんの掛け声が聞こえてきました。暗峠の一つ前の榁ノ木峠付近を走っておられました。


「しゃー、このやろうー!」


 これは、せんまるさんの「アントニオ猪木」のモノマネです。険しい坂道やきつい向かい風の時に出てくる「気合」の言葉です。


「まだ、ここかぁ。今から車で裏道を走ったら、30分で暗峠に着くなぁ」


 と思った私は、筋肉痛の足を動かし、パソコンとミネラルウォーターのペットボトルを持って車に乗り込みます。途中、コンビニで、今まで差し入れをしようと思っていて忘れてた「せんまるさんの大好きなコーラ」を購入して山道を走ります。


 生駒スカイライン(有料道路)へ入り、暗峠の上で登ってくるせんまるさんを待ちました。

 激坂にもかかわらず、早いペースで登ってくるせんまるさんを、峠の上から望遠レンズで写しました。苦しそうでしたが、何故か嬉しそうな顔なんですよね。凄いよね。


 ところが、スカイラインのトンネルをくぐり、最後の最後の急坂路で止まってしまったせんまるさん。

 私はスカイラインを降り、颯爽と現れてせんまるさんを助けようとしました。しかし、昨日からの筋肉痛で急坂路の傾斜に耐えきれず転んでしまい、逆にせんまるさんに心配を掛けてしまいました。


「ここまでは私のテリトリーです」


 って事で、コーラと水を渡し、再会を楽しみました。


 すると今度は、大阪側から登ってきたリスナーさんが来られました。突撃(差し入れ)です。


 流石、せんまるさん。


 多くの人を魅了し、人気がありますね。皆で記念写真等を撮りました。私は、大阪から来られたリスナーさんに、今後のせんまるさんのサポートを託し、引き継ぎました。


 そして、せんまるさんとリスナーさんが石畳の国道308号線を下っていくのを見送ります。


 これで本当のお別れです。世界へ行ってしまうせんまるさん。もう逢えないかもしれません。


 私は、


「自転車世界一周生放送を成し遂げて下さい!」


 と祈りながら、姿が見えなくなるまで見送りました。


 がんばれ、せんまるさん!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る