死なないようにモブキャラを演じて

花咲 豪

第1話 え?

俺は高校2年生の終業式を終えて下校

途中だった。

校門を駆け抜け咲き始めの桜を尻目に一目散に走り抜けた。


(アニメの続きが気になって仕方がない)


そう俺は

根っからのアニメオタクなのだ

見た作品は数知れず、あの秋葉王とも張り合えるくらいのオタクだ。

それでずっと終業式中アニメの続きが気になって仕方がなかった、主人公直也は死ぬのか助かるのか瀬戸際でどうなるんだ。

ソワソワしていたまるで糞尿が漏れそうな

子供のように。

ようやく家に着いたいつもより長く感じた帰り道だったがそんなことはどうでもいいと意気揚々と部屋に着くなり自慢のディスプレイパソコンに電源をつけた瞬間

パソコンからカメラのフラッシュのような

強い光が俺の目を直撃した。


(うわぁ 目が目が)


しばらく目を開けられず床で悶えていると

風を感じた。生ぬるい風だ。

床が違う慣れ親しんだ床じゃないこれは

砂なのか、なんだか騒がしい

頭の中で思考をフル回転させハッキリと確信した。


(ここはどこだ)

(部屋じゃない外だ)


5分ぐらいしてようやく目が開けられた。

ぼやけた目を何度も擦り辺りを見回した。


俺が立っていたのはコンクリートと木材で

出来ている家と家の隙間の道に立っていた。

なんで、こんなところにいるんだ。

ていうかなんだこの臭いは、生臭いどころか

そこらじゅうで魚の腐った死骸が放置されてるかのような激臭がする。

考えることを後にして一旦この臭い道を抜けて見えている大通りに出よう。

鼻をつまんみながら30mほど走った。

大通りに出た瞬間驚愕した。


「え」

「なにこれまさか」

「異世界だーー」

「 ついにきた俺の時代がついに」

「よっしゃー」

「キタコレ」

目に映ったのは牛とトカゲが混ざったような生き物が馬車を引き、歩く人々は猫耳が生えていたり、エルフのような耳で美しい顔、

ドワーフのような小さい身体に大きな髭

人種もバラバラで。

家並みも俺がよく見ていた異世界ものの

家にそっくりだ。

確信に至ったのは少し遠いが大きな城がみえる。オタクにとって異世界に行くというのは夢なのである。

俺は浮き足立っていた。


(異世界かシリアスよりギャグ系のハーレムがいいなー)


ひとまず冒険者ギルド的なのにいこうか。

俺は異世界に関しては誰よりも知識がある

だから俺はここで絶対に道(ルート)を外さない。

最初に言語が使えるかどうか確かめるのと

冒険者ギルドの場所を聞くためにそこの八百屋かわからないが野菜っぽい物を売っている商人に聞いてみよう。


「あの少しいいですか」


話しかけると、40代ぐらいのガタイがいいおっさんが俺の服装をじっと見るかのように

見た後口を開いた


「なんだ」


と真顔で一言返してきた。

(言語は通じるのかよし)


「冒険者ギルドの場所はどこにあるか知ってますか」


「買ってくれるなら教えてやるよ」

不敵な笑みを浮かべながら答えた。


(文字も野菜の手前の札に書いてあったしかも読めたグルムとかいてあった。文字も読める、冒険ギルドもある、言葉は通じる、この情報が聞き出せただけで十分だ)


「ありがとうございました。」

逃げるかのように歩き出した。


よし、どうやらこの異世界の商人は心が狭いらしい、いや日本が優しすぎるだけか

あれが普通だなと納得した。

あの城の近くに行けば冒険者ギルドはある

だいたいテンプレだからな。

城に向かっている途中10代ぐらいの猫耳の生えた白い女の子が3人の薄汚い格好をした若い男に裏道に連れ去られるのを見た。

ここはきっと助けるイベントだな。

助けて冒険者ギルドに案内してもらって

仲間になる、こんな感じだろ。

(よしついていこう)

人気もない裏道、辺りは物静かで何が行われてもわからない。聞こえるのは鳥の声。

俺は奴らの死角からひっそりと見ていた。

猫耳の生えた白い女の子口を塞がれて

悶えているのが分かった。

(どうする、3対1では勝ち目はまずない)

(でもなぜか勝てる気がする飛び出よう)


決意すると死角から飛び出し一直線に

薄汚い男達に向かって走っていった。


「おい、やめろー」

と物静かな裏道に響きわたった。


薄汚い男達がこちらを見て


「なんだおまえ」

と言いながら迫ってくる。


「その子を離せ」


「ウゼーんだよ」


1番手前にいた男が手から炎の塊みたいな

物を撃ってきた。

それが俺の腹に直撃した。

とてつもない痛みが俺を襲った、そこらじゅうを転がり涙流しながら叫びまくった。


「うぁーいてーいてー」


それを見て薄汚い男達がケラケラ笑っているのが分かった。

猫耳の生えた白い女の子は涙流しながら俺の方を見ていた。


(まさか、魔法かよ)


地べたを這いつくばいながら自問自答した


(次食らったら失神するまであるしもう食らいたくないどうする)


考えているともう一発飛んできた。


そこにまるで漆黒の黒い龍が落ちてきたかのような鋭く鈍い音が物静かな裏道に響きわたった。

黒い剣が上から落ちてきたのだ。

剣は火の塊を真っ二つに割り俺の目の前の地面に突き刺さった。

後ろから猛者感溢れ出るフードを被った男が俺の目の前の突き刺さった剣を抜いた。























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