44プトラ P

「くっそーダッシー! プトラ神は、不滅ダシ! 必ず、全世界をプトラで覆い尽くすんダッシー!」


 発狂するダッシーオネェ。残念だが、後はお前一人なんだ。『全人類プトラ化計画』は、失敗なんだよ。


「プトラは……! 全てを凌駕した、神に最も近い存在ダッシー! 理論の、その向こう側にある物こそが、プトラなんダシよ!? 絶対にプトラ神は、君らを許さないダッシー!」


 ダッシーオネェは、白衣の中から、おもむろに『P』と書かれたスイッチを取り出した。


「こうなったら、ここにいる全員をプトラ神への生贄にするダッシー!」


 怪しいスイッチを、ポチッと押すダッシーオネェ。


「ダシダシダシ! 今から5分後に、『亜房あぼう総合病院』は崩壊するダッシー!」


 なん……だと……!?


 建物全体が大きな揺れに見舞われる。『レオパレス21』なら一瞬で崩壊する程の強さだ。


「ダンゴ……! どうしよ! 早く逃げないと……。でも、ナツやライカが……!」


 そうだ、俺ら二人だけなら逃げるのなんて容易だ。しかしまだ、さっき俺らが捕まっていた独房の中には、ナツやライカ、中村さんまでいるのだ。


「その心配はいりません。」


「えっ!?」


 突如、背後から中村さんの声がした。


 振り返ると、そこには、中村さんに、それからライカを抱えたナツの姿があった。


「え、ナツ!? お前、大丈夫なのか!?」


 完全にプトラ化していた筈なのに。


「当たり前よ。一体いつから、私が『プトラ菌』に感染していたと錯覚していた?」


 治っていた。


「私が、隠し持っていた『プトラキラー細胞』を使って、お友達とネコちゃんを治しました。」


「にゃー。」


 おお、ライカも元通りだ。ライカは、ナツの腕の中からピョンと飛び降りると、リンゴの元へと寄って行った。


「ライカ! 抱っこするの、久しぶりだね!」


「にゃー。」


 ライカも、リンゴの腕の中が一番落ち着くようである。これで全員揃った。もうこんな所に用は無い。


 もう脱出まで、一直線だ。

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