40プトラ プトラ融合

「ボクらの計画は、もう成功したと言っても過言じゃないんだ……。唯一のミスと言えば、君らを生かしておいたってことだね。ダッシー、頼むよ。」


「任せるダッシー!」


 亜房あぼうの言葉で、ダッシーオネェが立ち上がった。そして、オネェ女に、さくもオネェまでもが戦闘態勢に。


 オネェの威圧は凄まじかった。


 相変わらず、みんな揃って濃い口紅塗りやがって……!


 俺は鳥肌が立った。


「ダンゴちゃん……。あんまり抵抗しちゃ嫌よん? さくも! やってしまいなさい!」


「えっ、アタシ!? 結局、アタシ一人なの……!?」


「バカ言ってるんじゃないわよ! アンタが一番のパシリなのよ!」


 さくもオネェは、どうやらパシリらしい。確かに、オネェらの中では一番か弱そうには見える。


「んもぉ……。なんで、いつもアタシなのよぉ!」


「あぁ!? さくもぉ!! アタシに逆らおうってのか!? 上等じゃねぇか!?」


 予想外のさくもオネェの反抗に対して、オネェ女が本性を現した。本性と言うか、完全に男だ。その辺の男より男である。


「だってぇ〜、いっつも頑張るのは、アタシだけじゃない!」


「上等じゃ、貴様ァァァ!!!!」


 怪物は、怪物へと変貌した。やっぱり俺のような人間が勝てる相手じゃない。


「ダッシー……。あの二人に『』を。」


「はい、ダッシー!」


 オネェ二人が口喧嘩をしている最中、亜房あぼうと、ダッシーオネェは何かを始めようとしていた。注射器2本を取り出して、『劇P』と書かれた、小さな小瓶に入った液体を満タンに入れた。


「プトラ神は、無駄な争いを好まないダシよ?」


 ダッシーオネェは、口喧嘩を繰り広げる妖怪二人の元へと近づくと、腕に注射器を刺した。中の液体、『劇P』を注入する。


「あらやだ! ダッシー、何してるのよ!? 止めなさい! それはダメよぉん!」


「いやぁん、挿されちゃったぁん!」


 仲間割れ……か?


「『プトラ菌』に感染すれば、やがて『プトラ化』するのは知っているよね? だけど、体内でさらに『プトラ菌』が増殖すれば、『プトラ融合』が起きるんだ。人間で行うのは初めてだけどね。」


「ダシダシダシ! プトラ神……! しっかり見ててくれダッシー!」


 オネェ女と、さくもオネェが苦しみ始めた。


「さくも! アンタ、どうにかしてぇん! プトラ化しちゃうん! いやぁん、プトラァ〜ン!」


「アタシも無理プトォン!」


 さらに強烈になってしまった。

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