34プトラ 副作用

『ハムナプトラムダ』の波長……だと?


 あの大学で行われた、『物理学』の講義で言っていたアレか。ヨボヨボの教授は、ノーベル物理学賞が確実みたいなことを言っていた。そんな馬鹿な話があってたまるかと思い、詳しく聞いてはいないが……。


「どういう訳か、867ナノメートルの波長を長時間浴びれば、すぐに『プトラ菌』は死滅するんだ。ボクは、この発見をして、すぐに『Hλ光線銃』を開発した。これを毎日浴びることで、体内に侵入して来た菌を殺しているんだよ。だけど、『ハムナプトラムダ』の波長を浴びることで、とんでもない副作用が起きてしまった……。」


 とんでもない……副作用……?


「それは、になってしまうことダッシー!」


 なん……だと……!?


 道理でオネェばかりの組織だと思った。そう言う訳だったのか。大事な物を失う代わりに、『プトラ菌』には侵されない。


 なんて残酷な……!


 つまり、『プトラキラー細胞』があれば、オネェになる事もなく、正常でいられる……。だから彼らにとって、俺らが持つ『プトラキラー細胞』が救世主な訳だ。


「ボクは、元々中性的だからね。『ハムナプトラムダ』の波長を浴びても、今のところは、オネェになる気配は無いんだ。ただ、部下が次々にオネェになって行くのは、見ていて苦しいんだよ。流石のボクでも受け入れられない。だから、結城 リンゴから得られた『プトラキラー細胞』の研究と培養を続けているのさ。ダッシー……ボクは、『プトラキラー細胞』の研究に戻るよ。もう、かなり喋った。後は、実験ごうもんを彼らにプレゼントして、いい結果を知らせてくれ。」


「了解ダッシー!」


 亜房あぼうは、くるっと向きを変えると、俺らがいる空間から出て行った。


 明るい光が照らす世界へと。


「ダシダシダシ! それでは、始めるダッシー!」


 実験ごうもんって、何をするつもりなんだよ!?


 ダッシーは、鉄格子の鍵を開け、俺らの元へと近付いて来た。

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