33プトラ ネズミ

「先ずボクは、『プトラ菌』を培養して、それをネズミに感染させてみた。すると驚いたことに、『プトラ菌』に感染したネズミは、段々と『ハムナプトラ』に対して、多大なる興味を示すようになった。ハハッ! 僕は興奮したよ! そして遂には、ネズミが、『チュー』ではなく、『プトー』と鳴き出したんだ!」


 ネズミが『ハムナプトラ』に対して、興味を示すようになっただと? まさか、じゃあ……世の中の人間も……。


「そろそろ分かって来たようだね……。今、君ら以外の人間は、『プトラ菌』によって完全に支配されている。ボクは歓喜した! これを扱えれることが出来れば、この退屈な世界を終わらすことができるんだ! 『ハムナプトラ』の操り人形になれるのなら、これほどまで、幸せな終焉しゅうえんは無いよね!?」


 そうか……。


 これは、完全なるだった訳か。


「さすが、亜房あぼう先生ダッシー!」


「いや、それは地道に上空から、『プトラ菌』をばら撒いてくれたダッシー達の協力があってからこそだよ。」


「いやん、照れるダッシー!」


 最近、やけにヘリコプターが空を飛んでいると思ったが、まさかアレから『プトラ菌』をばら撒いていたとでも言うことか?


 なんてことをしやがった……!


「でも大体、なんで俺らのお陰で計画は成功したって言えるんだ!? それに、どうして俺らだけ『プトラ菌』に感染していないんだ!?」


「だから、君らが『』を持っているからだよ。恐らく、仮説ではあるが、毎日『ハムナプトラ』を観ていた結城 リンゴの体には、自然と『プトラ菌』への抗体を創り出す細胞が、出来上がっていたんだ。そして、結城 リンゴに頻繁に接触する、有江 ダンゴにも抗体が生まれた。だから、君ら二人だけは、正常でいられる。」


「ちょっと待て! じゃあ、何でお前やオネェ達も正常でいられるんだ!? お前らも、『プトラキラー細胞』を持っているのかよ!?」


 これが一番の疑問だった。


 何故、誰もが『プトラ菌』に感染する中で、コイツらだけは都合よく正常でいられるんだ?


「『プトラ菌』には、もう一つ弱点が存在したんだ。それが、『ハムナプトラムダ』の波長さ。」

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