26プトラ タクシージャック
状況が未だに理解出来ないが、どうやら危機は去ったみたいだ。何故、オネェ達やプトラ化した人間は逃げて行ったのだろうか?
「ふぅ。どうやら私らの勝ちみたいね。」
ナツは、何故か激しく体力を消耗したようで、肩で大きく息をしている。大声を出し過ぎたせいであろう。
しかし、まさかオネェ達をあんな無茶苦茶な手段で撃退できるとは思わなかった。せめて、俺の家でさっきの茶番をしてさえいれば、俺の部屋の壁が破壊されることはなかったであろう。
「ナツ……。俺は、ツッコミするの疲れたわ。」
「え? そう? 私はまだまだイケるよ。」
俺は、色々諦めた。
「とりあえず、『
「それなら私にいい考えがあるから任せて。」
どうせ、また意味の分からないことをするのだろうが、どうにか今のところ、ナツのお陰で生き延びている。
ここまで来たら、いっそのこと素直に従ってみよう。
ナツは、大学の敷地内から出て、目の前を走る国道沿いへ俺を誘導した。
途中、何度もプトラ化した人間に絡まれたが、やはりナツが訳の分からない能力を使うことで、何度も危機を乗り越えることができた。
「よし、来たよ!」
車道を走る一台のタクシー。
ナツは、それに向かって手を挙げた。
「へーい! タクシー!」
俺らに気付いた運転手は、車を停める。
タクシーの後部座席のドアが開いた。
しかし、ナツは乗り込むことをせず、運転席へと回り込んだ。
「プトラァァァ!!!!」
そして案の定、タクシーの運転手もプトラ化していた。
「あ? やるのか、プトラ野郎?」
ナツは、かめはめ波の構えをする。
それを目の当たりにしたタクシーの運転手は、慌てて運転席を飛び出して逃げていった。
やはり、プトラ化した人間は、知能に関しては明らかに低下しているらしく、ナツの脳筋さが上手い具合に効果を発揮してくれる。
「タクシージャック成功よ! ダンゴは助手席に乗って!」
「おう。」
よし、乗り物を手に入れることができた。俺は、人間として何か大事な物を失ったように感じつつも、ナツの言葉通り、タクシーの助手席へと乗り込む。ずっと抱えているライカは、膝の上だ。
「私、『マリオカート』しか、したことないんだ! 頑張るね。」
今度こそ死んだかもしれない。
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