15プトラ P-1グランプリ

 俺は、くたくたになって家へと辿り着いた。まさか、あそこまでハムナトークが白熱するとは思ってもいなかった。お陰で、精神は極限にまで磨り減る。リンゴのお見舞いで、こんな痛い目に遭うことになるとは。


 外は、既に街灯が活躍していた。


 もう、すっかり太陽は沈んでいる。だけど、俺だけは、灯りも照らすことなく、ベッドにただ寄りかかっていた。


 何か娯楽が欲しいな。


 悩んだ末、『日曜洋画劇場』の時間ではないので、恐る恐るテレビを点けてみることにした。しかし、今朝の『ZIP!』事件があるから、油断は禁物である。


 一体、この時間は何が放送されているんだろうか?


 テレビが点灯。


 そして、映し出されたのは、何かのバラエティ番組だった。意外にも『ハムナプトラ』ではなかった。


『さあ、それではぁ! 第1回P-1グランプリを開催しちゃうぞぉ!』


 だけどこの声、『日曜洋画劇場』のアイツじゃねぇか!


 ちょっと待て、どうなっているんだ。よく見ると、画面奥には、人気お笑い芸人達が大勢並んでいる。


『ドキドキハラハラのP-1グランプリィ! その記念すべき第1回の王座は、誰が手にするんだぁ!?』


 俺は、流石に気がついた。


『P-1』の『P』は、プトラの『P』だ。


 よく分からないが、『ハムナプトラ』関係で何かを競うのだろう。こんな番組、観てたまるか!


 そう思った時だった。


『それでは、1組目のコンビは、好感度ナンバーワン芸人、サンドウィッチマンの二人だぁ! それでは、レッツ……ハムナプトラァ!』


 バカヤロォォォオオオ!!!!


 と、言いたいところだったが、俺はサンドウィッチマンの大ファンなのだ。あの絶妙なボケとツッコミのテンポが癖になる。また、伊達だてちゃんの『カロリーゼロ理論』には、何度助けられたことか。


 新幹線の中で食べる駅弁は、カロリーがゼロだと聞いた。どうやら流石のカロリーでも、新幹線の速さについて行くことができないらしい。


 これは、観るしかないだろう。

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