10プトラ JKもプトラ
俺は半狂乱の状態で、ライカに餌と水を与えると、再び家を飛び出した。
ライカまでもが、『ハムナプトラ』の呪いにかかってしまった。ライカには気の毒だが、俺はリンゴの所へ行かねばならないのだ。
しかし必ず、ライカも後で助ける。
小走りでアパートの階段を駆け下りる。いつもより若干、体に力が入ってしまっている為か、足が着地する度にアパートが上下に大きく揺れた。
俺のアパートの目の前には、バス停がある。
そこには、『
俺は、ガシャンと扉が開くと、整理券を引っこ抜き、足早に最後部の座席を広々と確保した。バスの中は空いていた。
前の前の席に、制服を着た女子高生二人がいるだけだ。ここだけを切り取ったら、ごく普通の日常である。
バスは静かに動き出した。
外の景色でも見ながら、少しぐらいは『ハムナプトラ』のことは忘れよう。こんな時ぐらい、心を落ち着かせなければ。
完全に油断をしていた。この後、女子高生二人がとんでもないトークを始めてしまう。
「ねぇ!? 昨日のプトラ観た!? 超興奮したんだけど!」
「観たよ! ウチ、録画したし! 帰ったらまた観るんだ!」
「まぢ!? 録画せんでも今夜、また放送するのに!」
「えー、夜まで待てないしぃ!」
バカヤロォォォオオオ!!!!
お前ら、女子高生のクセに、何でプトラトークしてるんですか!?
女子高生が話すような会話じゃないでしょ!?
てか、せっかく『ハムナプトラ』から解放されたと思ったのになんでだよ!?
やっぱり今、空前の『ハムナプトラ』ブームなのか!?
俺だけが時代に乗り遅れてるのか!?
「ウチ、スマホの待ち受け、『プトラ』にしちゃった!」
「まぢ!? 彼氏にバレたら怒られるよ?」
「いや、彼氏も『プトラ』にしてるからお揃いなんだって!」
「は!? 超ラブラブじゃん! うらやま〜!」
俺は、すっかり放心状態になってしまい、気がついたら『
俺も運賃を支払い、死んだ顔をしてバスから降りた。
リンゴに会おう。
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