2プトラ ハムナプトラの呪い

 やはり俺がおかしいのだろうか? 昨夜の事件は、俺の何かの間違いだったのだろうか。でもそれは、今日の21時になれば分かることだ。


 その日、完全に気力が低下していた俺は、8割以上をベッドの上で過ごしてしまっていた。全ては、『ハムナプトラ』のせいだ。


 だが、いよいよ。


 時計の針が21時を指そうとしている。これで、全ての謎が解けるのではないだろうか?


 俺は、時計の秒針と、テレビの画面を交互に見る。さあ、どうなる? 一体、何が放送されるんだ!?


 俺はこの瞬間、これまでの人生において、一番神様に対してお願いをしていた。


 どうか今日……。


『日曜洋画劇場』がありませんように……。


 しかし、俺の祈りは届かなかった。神はいなかったのだ!


『さあ、今夜の日曜洋画劇場はぁ……なんと二夜連続のハムナプトラだぁ! ドキドキハラハラのハムナプトラ、興奮するぞハムナプトラァ! 今日はどんなハムナプトラを見せてくれるんだぁ! それでは、レッツ……ハムナプトラァ!』


 バカヤロォォォオオオ!!!!


 マジで放送しやがったぞ!?


 今日、月曜日だし、しかも本当にハムナプトラかよ!?


 おかしいだろ、こんなの視聴率取れないぞ!


 本当に誰得だって言うんだ!?


 俺は心の中で不満をぶちまけた。これは、ピラミッドの呪いだ。ハムナプトラの呪いだ。俺がハムナプトラに飽きて来たのを、スフィンクス辺りが察したのかもしれない。


 俺は、魂を失ったかのようにその場で呆然とし、二夜連続の『ハムナプトラ』を結果として最後まで観てしまった。


 台詞も何かも完全に丸暗記してしまった『ハムナプトラ』。本当に退屈だった。ただ、心臓だけがバクバクと荒ぶっていた。


 しかし、予告は気になる。エンディングを終えた頃、俺の魂は再び身体に戻って来た。果たして、明日はどうなるんだ!?


『さあ、来週の日曜洋画劇場はぁ! なんとなんと、超好評につき、明日は火曜日だけど、やっぱり日曜洋画劇場をお送りしちゃうぞぉ! そして、記念すべき3日目の夜はなんと、ハムナプトラだぁ! 明日も手に汗握ってハムナプトラを観てくれぇ!』


 バカヤロォォォオオオ!!!!

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