第12話 徳島恐竜ニンジン
恐竜図鑑を見ていたラスエル。
「お父さん!トリケラチョップス!」
「うん、トリケラトプスだね」
「トリケラチョップス!」
「トリケラトプス」
「トリケラチョップスん!!!うわ~~~ん!」
リビングでジタバタし始めるラスエル。
「わかったわかった。トリケラチョップスだね!」
「うん!トリケラチョップス!」
また図鑑を見始めると、
「お父さん、恐竜作って!」
「え?粘土とかで?」
「もっとでかいやつ!皆が見に来るようなやつ!いっぱい作って!」
しばし、考え込むサラマン。
「恐竜の模型を観光に・・・」
サラマンは徳島のニンジン農家を説得して、開けた場所に巨大な恐竜のモニュメントをいくつも作った。その後ろではニンジンを栽培しており、収穫の時期になるとビニールハウスをめくって、ニンジンの収穫体験ができるのだ。
サラマンはここで採れるニンジンを”徳島恐竜ニンジン”と名付けた。
収穫時期、ここは観光の名所になっていた。
親子連れがニンジン嫌いの子供を連れてここを訪れるのだ!
「きょーりゅー!きょーりゅー!」
トリケラトプスにプテラノドンにブラキオサウルスにティラノサウルス!大盛況である。
サラマンもラスエルを連れて、ニンジンの収穫に来ていた。
「お父さん!恐竜ニンジン!」
「うん!恐竜ニンジンだね!」
ニンジンパンにニンジンジャム、ニンジンジュース。即売会で出されるそれらの頭には徳島恐竜ニンジンの名が冠されていた。
もちろん、徳島で恐竜の化石が発掘されたのは勝浦町だけだが、あまり関係ない。
イメージ戦略である。
その後、サラマンはお猿さんピーマンやアザラシとまとなど、次々類似品を作ってブランド化していった。
何でもないただの巨大なモニュメント、しかしながら色鮮やかで夢のある模型が各地で大流行したのであった。
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