第10話 ソフトクリームを下から食べる日常その10

それは暑い夏の日、ラスエルにソフトクリームを買ってあげたときだった。

「夕張メロンとバニラの合体したやつ!」

「じゃあ、お父さんはチョコとバニラのミックスで」

ラスエルはソフトクリームを手にすると、ペロペロと舐め始めたのだが、ソフトクリームはどんどん溶けていった。

「急いで食べないと、ソフトクリーム溶けちゃうな!」

アイスクリーム屋さんのベンチで黙々とアイスを食べる二人

ぱっくんちょ!

「なんで!?なんで、コーンの底を食べたの!?」

「だって、食べてみたいじゃん!」

溶けたソフトクリームはドロドロとコーンの底から流れ落ちようとしていた。

「あっぷっぷっぷぷぷのすけ!」

ラスエルはそれを底に吸い付いて、吸い取りながら、むしゃむしゃしている。

しかしながら、なんたる無慈悲!ソフトクリームは上からも溶け出してきたのである!

べとべたー!!ラスエルの顔にソフトクリームが流れ落ちる!

「ふんぎゃあああああ!!」

それを見ていた山本だったが、なんたる不条理。今度は山本の番である。コーンの底が柔らかくなって、ソフトクリームが染み出してきたではないか!

「く・・・致し方ない!」

山本もコーンの底から吸い付いて食べ始めた。しかし、ソフトクリームのべとべたー!は容赦がない!

上から溶けたソフトクリームが山本の顔にも襲いかかる!

「あんぎゃあああああああ!!」

かくして、二人共、顔も服もベトベトになってしまったのである!

「早くお風呂に入りたい・・・」


ある夏のおやつの時間の話でした。

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