第9話 許すまじ!花粉症!慈悲はない! サラマンとラスエルの日常その9

ずびずびずび~

「おとうさん、お鼻どうしたの?」

「これが日本の国民病、花粉症だよ。昔、政府の政策であちこちに材木になる杉や檜を植えて、密植えしたものだから競争しあって花粉を飛ばすようになったんだよ」

「まだ木ちっちゃいの?」

「いや、十分大きくなって伐採時期なんだが、コストがかかるからって、結局切らずじまいなんだ・・・」

「燃やす?燃やしちゃう?できるよ!杉と檜だけピンポイントで!」

「やる?やっちゃう?でも全部燃やすと山火事になるから、花粉撒き散らさないように間引く感じにできる?」

「できるー!できるよー!花粉の摩擦熱で爆発炎上っ!間引くようにファイヤーできるよっ!」

「よしっ!やろう!日本を花粉症から救うんだ!」


ダンダンダン!ダンダンダン!

黒の防塵マスクを被った集団が杉の山を睨んでいる。手には松明!メラメラと燃えている!

「我々は~!」

「「「「我々は~!」」」」

「杉共の花粉を許さない!絶対にだ!慈悲はない!!」

「「「「慈悲はない!!」」」」

「花粉の擦れ合う確率を局所的に最大化っ、燃える杉の木が限定される確率を最大化っ!」

ラスエルが確率を操作したその瞬間から、杉の山がぼうっと燃え上がり、まばらに杉の木が炎上し始めた。その光景たるや、火の龍が山を駆け巡って、獲物を狩っていくようである。燃え始めた杉の木は天に向って長い長い火柱を立てた。

ラスエルの確率操作の力で、日本全国で火の手が上がった。

「花粉許すまじ!!慈悲はない!」

「まじまじっ!じひぃーはないっ!」

その日の夕方、日本は空前絶後に紅く燃えていた。


翌日、ニュースでは大々的に山火事のことが取り上げられた。幸い延焼はないとのこと。専門家も首を捻っていた。

「やったぜ!ラスエル!」

「おとうさん、もうお鼻ずびずびない?」

「あぁ、ばっちりだ!ラスエルは日本を救ったんだ!」


そうして、杉と檜はいい感じに間引かれて、花粉を飛ばされなくなりましたとさ。

日本から花粉症がなくなり、経済的損失も消えてなくなりましたとさ。

めでたしめでたし

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