第3話 サラマンとラスエルの日常その2

「お父さんのお父さんが、小さい頃よくやってくれた遊びがあるんだよ」

「おじいちゃん!」

「こっちにおいで」

風呂の中で山本はラスエルを引き寄せた。そして、脇を掴む。

「はい!レースのスタートです!アクセルを踏んで下さーい!」

「うひー!」

ぶるんじゅんじゅん!ぶるんじゅんじゅんじゅん!

「発車します!ぶいーん!」

そうして、ラスエルを微振動させた。

きゃあきゃあ、風呂場に笑い声が響く。

「急カーブ!キキッー!」

そして、山本とラスエルは一緒に体を斜めにしていく。

「うおぉほぉぉぉ!」

「そして、また急カーブです!キキッー!」

「ほぉおぉぉぉ!おほぉぉぉ!」

「坂道です!ブォォォン!」

「のぉぉぉぉ!」

「下り道です!ひゅごぉぉぉ!」

「おほっ!おほっ!おほぉぉぉ!」

ひと仕切遊んだ山本とラスエルは体を洗いに湯船から一度出ることにする。

「もっとぶるんじゅんじゅん、して欲しい!」

「ノボセちゃうからね。今日はこのくらいにしとこうね」

「む~~~ん!」

ラスエルの髪を洗うことになった山本は、シャンプーハットを買っておけばよかったと思った。

「ラスエル、そんなものいらないもん!」

しかし、実際に洗ってみると

「目にしみる~!しみるぅ!うぅぉおおおお!」

金髪についた泡を落としてもらいながら、ラスエルは唸っていた。

次、洗うのは体である。スポンジで優しくラスエルの体を触る。

「おとうさん、あわーー!」

「うん、泡でいっぱいだねぇ」

「とうっ!」

ラスエルは山本の顔に泡を塗りたくった。

「うわっ!何をする!前が見えない!」

「うひひひー」

山本はラスエルを捕まえて脇腹をこちょこちょした

「あはん!うふん!」

「泡落として下さい~」

「はいよ!出前一丁!」

シャワーでお互いの泡を落とした。

「おとうさん!背中ごしごししてあげる!」

本当の親子みたいだ。山本はちょっとじーんときた。

「うんしょ!こらしょ!おとうさんの背中は大きいなぁ!うひひー」

なんかこういうの夢だったかもしれない。

最後は湯船に浸かって、30秒数えて出た。

数えるのも懐かしいなぁと山本は自分の子供の頃を思い出していた。

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