カタリくんが本当に男子かどうか確認したい!

椎名富比路@ツクールゲーム原案コン大賞

全カクヨムユーザーが確かめたい永遠の謎

「見事KAC10まで辿り着いたね。おめでとー。図書券を渡しに来たよ」


 小説投稿サイト「カクヨム」の企画する、「三周年記念選手権」を全て書き終えたオレの前に、一人の少年が現れた。


 カクヨムのマスコットキャラ、カタリくんだ。


「ありがとう。せっかくだし休んでいってほしい。まあお茶でもどうぞ」

 オレもカタリくんにお茶を振る舞う。

 

「ねえねえ、きみってまじで男子なの?」

 オレは、思い切ってカタリくんに尋ねてみた。


「うん、そうだよ!」

「じゃあ、確認させてくれないか?」


「えー」


 えー、じゃねえよ。


「君が男子かどうか確認したいのは、オレだけじゃないはずだ。全カクヨムユーザーが確かめたい永遠の謎なんだよ!」


「おっさんひくわー」


 いやいや、大事なトコでしょ。



「どうしてボクが男の子だ、って信じてくれないの?」

 

「ズボンのせい」


 彼の穿いている短パンは、男子が着るにはちょっとスリットあるような気がする。


 一昔前の半ズボン小学生で躊躇するレベルなのだ。


「それを言ったらさ、陸上選手なんてみんな女子じゃん」


 まあそうですがね!


「普段使いでそのズボンは短すぎではないですかね?」


「そうかな?」


「それにヘソ出しってところもポイントが高い。細マッチョがやっていたら『ああ、肉体美を披露してるのねー』と思える。でも。キミレベルの顔立ちの子がやると、ゾクゾクするというか」


「そっかー。じゃあ、今度からちゃんとお洋服入れておくね!」


 服を直されてしまった! 逆効果!


「でもヒジとかヒザの関節は隠してないから、関節具合で男女の見分けって付かなかったっけ?」


 確かに。

『女装男子の見分け方は、関節を見ればいい』

 とは、聞いたことがある。


 だからこそ、世の女装男子はニーソを穿く。角張ったヒザを隠すためだ。


「だから、ボクは男の子さ!」


「それでも納得できない。確認させて欲しい」


「えーやだよー。見れば分かるじゃん」

 


 うーん、ここはひとつ、助け船を呼ぼうか。

 

「いかがっすか、ハンバーグ師匠?」

 少年の隣で優雅に緑茶を嗜む女性に語りかける。


「私、リンドバーグなんですけど……」

 

 バーグさんがツッコミで返してきた。


「バーグ師匠も気になりません? 彼が男かどうかを!」


「そうですねぇ。可愛かったら男子でも女子でもどっちでもいいのでは?」


 ですよね。あなた方はそう言いますよね。いつもそうだ。カワイイは正義であり、真理だ。


「おっさんは、ボクが男子だったらまずいの?」


「そうじゃない! 女子だった方がマズイかな?」


「どうしてさ?」


「女子だったら、一緒にお風呂に入れないじゃないか!」

 

「うわぁ……」


 ドン引きされた。

 

「ボクは男の子だよ。おっさん。それに、男同士だとしても、おっさん相手じゃお風呂なんて一緒に入りたくないよー」

 

「えー! 来るって分かってたから沸かしておいたのに!」


 風呂場で温度を確かめる。おお適温! それに春だし、ちょっと熱めにしてあるのだ!


「まじひくわー」


 カタリくんは首を振って、玄関へと向かう。


「知らない男の人と一緒に入浴する趣味はないよ。図書券は置いて帰るから好きに使ってね、それじゃあ」



「ちょ待って!」



 カタリくんとハンバーグ師匠は、オレの静止も聞かず帰ってしまった。


 お茶だけが冷たくなっていく。


 カタリくんが口をつけたカップが。


 これは家宝にしよう。


 しかし、味見するのもいいな。


口をつけようと思っていたら、一羽のフクロウが窓を突き破って入ってきた。

 手際よく、オレの手からカップを奪い、持ち去ってしまう。


 やるなカクヨム。

 切り札どころか、トドメもフクロウとは! 

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