カタリ君とバーグちゃんと鳥について語り合う侍と侍 ~KAC10参加作~

澤松那函(なはこ)

カタリについて語りたい

 ここに居るは奈波太郎。物書きを志望する侍である。

 剣の腕に覚えがないし、かと言って普通の仕事もしたくないから物書きになると言ってラノベ新人賞とネット小説の投稿を繰り返しておる男だった。


 侍の時代にラノベとネットがあるわけないとな?

 そういう世界観だ。

 察せ。


 話を戻そう。

 ある日、奈波太郎の元を小太郎という侍が訪れた。


「奈波太郎よ。カクヨムというサイトの三周年記念企画あと一回で皆勤賞だそうな」


「うむ小太郎よ。あと一回で皆勤賞。次はどのようなお題が出るのだろうか」


「お題は、これだそうな」


 そう言って小太郎はスマホを取り出した。

 スマホもあるの、この世界は。

 察して。

 小太郎からスマホを受け取った奈波太郎は、画面を注視した。


「うむ最後のテーマは、カタリとバーグさんとな? 誰ぞ?」


「カクヨムのイメージキャラクターだそうな」


「知らぬ。見た事ないぞ、こんな奴等!? トップページにも居らんではないか!? どう考えてもあの胡散臭い鳥がマスコットキャラだろ!?」


「やめよ奈波太郎。これがお題なのだ。書くしかないではないか」


「……お前の言う通りだ、小太郎よ。どれどれ……ちょっと待って」


「どうした奈波太郎!?」


「ちょっと待って。カタリっておめぇ、おのこでねぇか」


「なんだと!? 奈波太郎、それは誠か?」


「誠じゃ!! てっきり貧乳美少女枠かと思ったではないか!? ペロペロしかけたではないか!? なんという事だ。絵を見た瞬間、拙者イチャイチャ百合物を書く所存であったがそうろうなり!」


「奈波太郎よ。お前言葉遣いが外国人の作ったSAMURAIムービーばりにいい加減になっておるぞ」


「書けん。こんなの書けんぞ!!」


「恋愛物を買いたいのなら普通に書けばよかろう」


「何を申すか!? 百合で染まった頭で書けんわ! 百合と女装男子は全然違うわ!!」


「これ女装ではなかろう」


「否! これは所謂男の娘的な路線で書かれたキャラぞ!!」


「なら……百合っぽいの書けるではないか?」


 小太郎の言葉を聞くや、奈波太郎は刀に手を伸ばした。


「貴様……今何と言った?」


「え?」


「百合と男の娘×女の子カップリングは全然違うジャンルだろうがぁ!! BL読みたいっつってる人間にベルサ○ユの薔薇薦めるみたいなもんだぞお前!?」


「じゃあ、あの胡散臭い鳥のマスコットキャラとバーグちゃんで百合を書けばよいのではないか?」


「それ人外×美少女だろぉ!! そもそも鳥が雌である保証がねぇだろぉ!? て言うかバーグちゃんAIだし!! 鳥×AIとか業が深すぎんだろぉ!!」


「待て、奈波太郎!!」


「なんだ!?」


「鳥×AIでいいのだろうか?」


「何!?」


「バーグちゃんのキャラはドSと公式設定にある。つまりAI×鳥なのでは?」


 小太郎の着眼点に、奈波太郎は目を見開いた。


「小太郎! 貴様……なんという発想!! しかしドS美少女AIが正体不明な鳥に屈服させられる鳥×AIもまた捨てがたいのでは?」


「な、なるほど。それはそれで確かに。だがこれではカタリ君がのけ者になってしまうのでは?」


「ふむ。しかしカタリ君は総受けっぽく見受けられる」


「まさか奈波太郎?」


「ドS美少女AIと胡散臭い鳥に攻められる男の娘……これはこれで」


「貴様、さっき百合がどうこうのくだりで!?」


「馬鹿者!! 俺が何時男の娘が嫌いだと言った!?」


「た、確かに言っていない!!」


「男の娘×女の子を百合と認めていないだけでジャンルとしては尊いのだ……」


「そう思うのなら書けばよいではないか」


「小太郎よ。お前、からあげ喰いたい時にアジフライ喰って満足出来るか?」


「出来る」


「バッサリ切るのう……」


「侍だからな」


 奈波太郎は、どうすれば面白い話が書けるだろうかと頭を悩ませたが、結局カタリ君とバーグちゃんを活かした物語は書けなかった。

 あの胡散臭いけど、デザイン的には可愛くて奈波太郎お気に入りの鳥に至っては論外であった。


 何故かって?


 こ ん な も ん 書 い て る 時 点 で 察 し て く れ。




 なはこのカクヨム三周年企画

 ~完~

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