第2話 過去での再会
「それにしても、変わったもの、お持ちですね」
看護婦さんは笑うが、どこかバカにされている。
まあ、仕方ないだろう。
この時代では、夢にも思わなかった事が現実化されている。
でも、信じろという方が無理だ。
「一応、あなたのお名前は、免許証からのを、書いておきましたが、
平野茂さんで、よろしいですか?」
「はい。構いません」
「では、平野さん、また来ますね」
看護婦さんが去ろうとする。
「あのう、看護婦さん」
「何ですか?」
「あなたの、お名前は?」
ナンパする気はないが、知っておくべきだろう。
「失礼しました。私は・・・」
えっ、この名前は確かどこかで・・・
とても、大事なところで聞いている気がするが・・・
思い出せない。
「あっ、もうすぐ先生が来ますから」
「はい」
看護婦さんは、去って行った。
昭和60年・・・
この時代は、8月に起こった飛行機事故。
そして、阪神タイガースの優勝で、フィーバー。
それしか、印象にない・・・
あっ、ドラフトでPLの2選手が話題になったな・・・
PLは廃部になってしまったが・・・
「平野さん、具合はどうですか?」
主治医と思われる先生が来た。
「いえ・・・まだ混乱・・・あっ」
主治医の顔を見て、驚いた。
「あっ、栗田・・・じゃないですね・・・」
「いや、あってるよ。俺は栗田修二。お前の同級生で間違いない」
栗田は確か、行方不明になっているはずだが・・・
どうしてここに?
「お前と同じだよ。平野」
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