森で手伝いをしよう

 エルの家に世話になることになった俺は仕事がしやすいようにと服を借り、着替えるために部屋に戻っている。まあただ着替えるだけなのでどこで着替えてもいいのだが一応女性もいるし?気を利かせて部屋で着替えている。


 さて…どうやらここはずいぶんと文明の遅れた世界だと言うことはわかった。それをもっと知るために鑑定はどんどん使ったほうがいいのもわかる。だけど一度に情報が多すぎるのが問題なんだよな…


「ああそうか」


 どうやら一度鑑定したものは新しい情報ではないのでキャパオーバーで倒れることはないみたいだ。自分の情報を出しなおし『鑑定』を鑑定してみる。



【鑑定】

 ものごとの情報をすべて開示する。



 ふむ…すべて開示というのがきっとまずいんだろうな…じゃあ次にこっちも鑑定してみるか。



【創造魔法】

 何でも作れる。この世界に存在しないものは神力の消費が必要。



 何でもときましたか…折角なのでこの世界を楽しく過ごしたい。そのためにまずやることは創造魔法でスキルを作ること。というか魔法とかあるんだなーといまさらながら気がつく。この様子だと魔法も作れそうだけどそもそも魔法の扱いがよくわからないからまあ今はいいかな。



【簡易鑑定】

 知りたい情報だけを開示する。



 まずはこれ…うん、これなら情報が多すぎることなく鑑定が使えそうだ。知らないものをちゃんと知ることが出来れば役に立ちそうだ。このスキルは存在しているスキルらしく神力というものは消費しなかった。そういえば神力が4から7に増えていたがどうすると増えるのだろうか…ああ、はいマニュアルに書いてあったわ。どうやらこの世界で初めて行動をするときに増えるらしい。なるほど…つまり色々やると神力が増えて、この世界にない新しいスキルとか物が作れたりしちゃうわけだ。うん、それは楽しそうだ。


「ソウ着替えた?」


 入り口の外からエルが声を掛けてきた。まあいきなり開けられることは流石にないみたいで安心した。


「あ、今行く」


 はい、こんなことしながらももちろん着替えはしてましたとも。もともと着替えをするのが目的だったしね!入り口の布の向こう側へいくとエルが支度を終え待っていた。矢を背中に背負い左腰には短剣を帯剣、右腰には皮袋が提げられていて、左手に弓を持っている。昨日会ったときと同じ狩りのスタイルだ。


「はい、ソウはこれを持っていってね」


 短剣と皮袋を1つエルが差し出してきた。じっとそれを眺め気がついたんだがもしかしなくてもこれは俺も一緒に狩りへ行くという流れですかね?かわいい生き物を狩るのはかなり抵抗があるんだけど…


「……何?」

「もしかしなくても俺も狩りに行くのか?」


 「何当たり前のことをいってるの?」という顔でエルが首をかしげこちらを見る。渡されたものをもう一度眺める。



【解体用ナイフ】

 生き物を解体するのに適したナイフ。


【マジックバック極小】

 袋のサイズの2倍収納出来る鞄。魔石に魔力を注ぐと容量が増える。



 ははは…俺に何をさせる気なのかがよくわかる。…まじで?


「大丈夫よ獲物は私が狩るし、危険な生き物は今まで見たことがないわ。私は、だけどね。それに…」


 私はってところが怖いんだけど、まだ何か続きがあるみたいだからそのまま黙って話を聞く。


「ソウだってあんな軽装で森の中にいたくらいなんだもの多少腕に自身あるんでしょう?」

「………」

「まあ基本薬草とか採取してもらうくらいで後はついて来てくれればいいから」


 なんで森の中にいたのか説明が難しい以上黙ってついていくしかなかった……そして再び森の中へ足を踏み入れるのであった。


「ところでこのマジックバックなんだけど、魔力注がないのか?」

「う~ん…注ぎたいんだけどそんな魔力の余裕がないのよね。生活するのでさえ魔力は色々使うから、もう注がないでなくなったら魔石事態の交換をしているわ。小さな魔石だったらいくつも手に入るからそのほうが早いじゃない」


 なるほど、使い捨て状態なのか…ん?じゃあ空になった魔石はどうしてるんだ?


「空の魔石はどうするんだ?」

「たまに来る行商人に売りつけたり、何か他のものと交換してもらったりしてるよ」


 行商人か…この世界で何が売られているのか確認出来るかもしれないな。すっとエルの手が俺の移動を止める。どうやら獲物がいたようだ。


「また角うさぎね」


 ふおおぉぉぉぉーー!!狩るんですか、やっぱり狩るんですね?


「えーと…俺はちょっとそっちで薬草とか使えそうなもの採取してていいですか?」


 うさぎが死ぬところなんてとてもじゃないが直視できないっ…またショックのあまり意識を切らすかもしれないからその前に見ない努力をしてみたりしちゃったり。


「いいけど…見えるところでお願いね?」


 許可を貰ったので早速エルに背中を向け生えている薬草やハーブ、怪しげなキノコや落ちている木の実や枝を片っ端から鑑定していく。食べられるもの、食べられないけど何かの材料になるものなどを拾っていく。何の役にも立たないものはいわゆる雑草というやつだろう。それは袋にいれずどんどん拾っていくと気のせいか先ほどからやけに木の枝が落ちていることに気がついた。



【トレントの枝】

 トレントから取れる。魔力を帯びていて薪にすると長く燃え続け、杖にすると魔法の通りがよい。



 トレント…ファンタジーな世界でよく出てくる名前の1つだな。木の魔物か…つまりこの枝を拾っていくとこんにちはトレントさんってことになるわけだ。とりあえず…見えるところにはいないかな。まあ正確には見えるところ、ではなく視力が届く範囲なんだけどね。


 そーっとエルのほうを見るとどうやら血抜きが終わって鞄にしまうところだったみたいで、うさぎの足を掴んで鞄に押し込んでいるところだった。ああ……うさぎが食料に…ちゃんと残さず食べるからなっ


「エル…ちょっとこれを見てくれ」


 先ほど拾った枝をエルに差し出す。それを手に取ったエルは少し厳しい顔をしている。


「トレント…こんな浅いところに?」

「ああそうみたいだぞすぐそこに落ちてたしな。まあ…今もすぐ近くにいるかは知らないが」

「うーん…私が確認出来る範囲にはいないみたい。まあそれほど遠くはわからないんだけどね」


 どうやらエルはスキルかなにかである程度の距離の状況を確認できるみたいだ。俺もそのスキルを手に入れれば同じことが出来るのだろうが範囲がせまそうなのでもっと違うスキルがいるのだろう。そうだな…決められた範囲全部見れるようなやつがいいかな。



【サーチ】

 使用者から半径5kmほどの生き物などを確認できる。



 ん~5kmか…広いのかどうかよくわからんな。もっと範囲広げられるものはないかね。



【リサーチ】

 使用者の魔力使用量で範囲が変わり、生き物などを確認できる。※習得するのに神力を1消費します。



 お、これいいんじゃない?神力消費するみたいだけど覚えるときだけだし、そもそもスキルとか覚える以外の使い道がいまいちわからないしね。


「リサーチ」


 おお…目の前に透明な板みたいなのが出てきたっじわじわと見える範囲が広がる…ああこれは地図か。そのところどころに赤い点や黄色い点、青い点や緑の点…この緑は俺とエルだな。青は…人か。じゃあこの黄色いのと赤いのがそれ以外の生き物ってことだな。


「ん……?」


 透明な板を眺めていたらすぐ近くにエルの顔があり驚いた。どうやらエルもこの板を覗き込んでいるようだ。見るのはいいんだけどちょ~っと近すぎやしないですかね?



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初めて鑑定内容を鑑定する +1

初めて武器の鑑定をする  +1

初めて道具の鑑定をする  +1

初めて採取する      +1

初めて神力を消費した   ±0

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