第30話 君の顔

斜め前の席の彼女が、笑いながら友だちに話しかけてる。

ぼくはそれをいつものようにただ見守ってる。

花のようだな、なんて似合いもしないことを考えて。

いつものあいつがやってきて、彼女に話しかける。

彼女は急に笑顔をしまうと、少しつんとしたような顔になる。

それなのに、あいつがいなくなると、とても寂しそうな顔になって。

その顔を向けてもらえるなら他にはなんにもいらないよ。

つらつらと思うことは、君の顔のことばかり。

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