第9話 結婚前後

 仕事から帰ると、先に帰っていた彼女。

 ソファに座ってビールの缶をごくごく豪快に傾ける。

「お帰り、あなたもどう?」

 ぼくは床に散乱した服を拾いながら、

「清楚なお嬢さんだと思ってたのになあ」

 いつもの皮肉。

 彼女は笑って、「プロポーズしたあなたの負けよ」なんて言う。

 そう、その通り。

 しかも、だらしないところも好きなのだから、救われない。

 そのうちに彼女はソファにもたれてうとうとと。

 その寝顔に今日もまただまされる。

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