第7話 気の合わない二人

 サッカーが好きとボクが言えば、野球が好きと彼女は言う。

 ホラーは苦手とボクが言えば、ビビリだねと彼女は笑う。

 夏が好きとボクが言えば、「だから暑苦しいんだ」と高飛車な目。

 とことんまで気が合わないボクらは、別れの場面でも、

「さよなら」

 と言うボクに対して、

「はじめまして」

 と答える彼女。

 その逆もまたしかり。

 それでもう十年。

「好きだよ」

 とボクが言えば、

「嫌いよ」

 と彼女は言う。いつだってちょっと視線をそらして。

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