第2話 片想い

夕暮れの帰り道、彼の一言は時を止めた。

瞬間、心の中に溢れた希望に浅ましさを感じ、わたしは目を伏せる。

あの子になりたかった。

綺麗な髪、大きな瞳、そして彼。

わたしに無いものを全て持っていたあの子。

前をまっすぐ見る彼をそっと見上げながら、あの子じゃなくて良かったと初めて思う。

でも、あの子じゃないわたしはどうすればいいんだろう。

隣を歩く肩にかける言葉、一つさえ見つからなくて、わたしには始まりさえ覚束ない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る