200文字の世界
春日東風
第1話 願いを星に
暗黒の夜空に一筋、星が流れた。
下界を覗く神様のウインク。
思わず、足を止めたわたしの耳に、
——何の願い事をした?
鮮やかに蘇る彼の声。
あのときどう答えたのだろう。
覚えていない。
多分、何も願いはしなかったと思う。
星に願うことなんか一つも無かった。
わたしの祈りの全てはあの瞬間、確かにわたしの隣にあったから。
でも、今は祈りたい。
流れ星に心を込めて。
この同じ景色をどこかで、あの人が見ていてくれますように、と。
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