#065:選定かっ(あるいは、ロロロロシアン=マグナマー)
真剣対局の合間のお色気タイムみたいな空気がようやっと収まり、第2ピリオドが開始されるみたい。変わり果てた姿になった
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01:10900:島=ワシントン大佐
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私をハメるために、緒戦は敵さん全員が「1300万」をBETしてきたわけなんだけれど、私以外の元老同士の対局自体はあからさまな八百長とか出来レースでは無かった模様で、割と明暗分かれた感じになった。いや、これ自体も仕組まれていないとは限らないけど。
何にせよ、上位の一角であった知鍬を沈められたのはでかい。そして所持金も一気に倍増以上と、先ほどの必至状態から、詰めろレベルにまでは持ち直してきた、とそう思いたい。
しかし、ことこの運営やら「元老」に関して、油断は出来やしない。出来やしないって言うか、まあ油断しようがしまいが、とんでもないことをブッ込んでくるのが最早スタンダードであるわけで、ともかく私としては全力BETの全力殴り合いしか選択肢は無い。
<『No.4』が失格となりましたので、ひとりが『抜け番』となります>
実況ハツマは既に普段通りの落ち着きを取り戻し、例の周りの人間を引き込んでいく魔術的な声色で、つらつらと進行し始めていた。球場内のボルテージは、先ほどの知鍬ショーのおかげもあってか、野太く、汗臭く最高潮だ。あー、やだやだ。
いや、冷静に状況を見るんだ私。「抜け番」に成りえないことは何となく把握している。私の現在のMAX「2500万」を次戦突っ込んだとして、それをまた露骨に上回る「2600万」を被せてくるという向こうさんの戦法は健在だ。所持金が私を下回った「No.13」以外の13人の中から、「対私」に適した相手を見繕って「指名」してくるだろう。
でもまあ、そんなん関係ないくらいにキてるのよ、今の私は。「素」状態にいつの間にか戻っていた私は、ぐいと周りを睥睨してみる。先ほどまでとは明らかに異なる、異質なものを見る目が、私を囲んでいた。せいぜい「策」を練ってぶつかって来いよ。私は私で解放/開放するだけだから。
かなりの広さと奥行を持つこの地下球場だけど、天蓋はコンクリっぽい質感で覆われている。当たり前か。でもそこに拡がっていくような、抜けるような青空のビジョンを、確かに見ていた。
ちょっと牽制しておいても面白いかも。私のテンションはいい感じに振り切れている。やけに清々しくなった気分で、私は微笑んだままの形だった唇を開く。
「私はまだ『4つ』の変身を残しています……」
いや、威嚇になったか。私の意味不明とも思われるつぶやきに、相対する対局者のうち何人かの表情が変わる。
「……『リボルビック=チャネラー』。ひとまずそう評しておこうか」
それに被せるように背後からアオナギの低く掠れた声。センスは感じられないけど、要はそういうこと。私は次に出す「弾」をどれにしようかと、ゆっくり選定を始めている。
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