第3話 魔王の力
「では、ゲートを開きますので」
セルシアは前に手をかざし「ゲート」と詠唱すると目の前に黒い渦のまいたゲートらしきものが出てきた。
「では、サリア様」
「う、うぬ」
ゲートに入るのなにか躊躇ってしまう。
フルダイブ型だから感覚までそのまんまだからちょっと怖い。
とも言ってられないので俺はセルシアの後を勇気を出して追った。
ゲートに入るとジェットコースターで落ちる時に発生するあの浮遊感が少し伴った後、気がつけば見知らぬ街へとついていた。
後ろを振り向くと10メートルを超えるような白く透き通った石が浮いていた。
「これは?」
「これはポータルでございます。このポータルがある箇所にみゲートを発生させることが可能でございます」
MMORPGでよくあるやつか。
「さぁ、サリア様。この先の森にオーク族の群れがいるとの報告を受けております」
すでに街から少し離れたところにある森から何やら騒がしい音が聞こえてきている。
オークと言えばどんな姿を想像するだろうか。
俺は巨大な肉体に二本の大きな牙という印象だ。
そんな相手に戦えるのかという不安と、魔王の能力がどれほどまで高いのかという期待が入り混じりながら森へと向かった。
「サリア様、森に入ると囲まれるかもしれません。ここで待機を」
森の出口を見守る事5分ほど。
ぞろぞろとオーク達が森からでてきた。
数はおそらく100を超える。
大体イメージと同じで二本の大きな牙に自身の身長を超す槍を所持していた。
ただ違ったのはあまり巨体ではないという点だ。
いや、おそらく彼らは巨体のうちにはいるのだろう。
俺自身が高い為、彼らをそれほど大きく感じなかったのだ。
「サリア様。どう致しますか」
オーク族との距離はざっと300M。
オークもこちらを確認したようで雄叫びを上げて突進してきた。
ここらでスキルを試してみるとしよう。
ステータス画面にあった
セルシアはここにゲートを開く際、片手を前にかざし「ゲート」と詠唱をしていた。
スキルを発動する原理が同じであれば、俺も同じことをすれば発動できるはず。
「地獄ノ炎!」
俺は右手を前にかざし詠唱した。
すると、俺の頭上にどす黒い巨大な炎球が発動した。
いや、まってくれ。
手を前にかざしたのに頭上に発動するとかすごく恥ずかしい。
少し顔が熱くなるのを感じながらオーク族の方へ飛ばすように念じると巨大な炎球はオーク族の方へと飛んでいった。
オーク族の群れを直撃した地獄ノ炎は彼らを真っ黒な炎で包み込んだ。
悲鳴が聞こえたのも僅か3秒ほど、瞬く間にオーク族の群れは消し去っていった。
「流石ですサリア様」
「うぬ」
それにしてもレベル1のスキル強すぎやしないだろうか。
100体はいるであろう群れが一瞬で消し飛ぶなんて普通のRPGなら必殺技レベルだ。
オーク族も殲滅したことだし、帰るかと思った矢先、目の前にたまたま生き残ったであろうオークがこちらを睨んでいた。
「サリア様。どういたしましょう」
「私が相手をする」
俺はゆっくりオーク族の元へ近づき、距離が20Mをきったところで魔剣グラモスを構える。
するとオークは雄叫びを上げ距離をつめてきた。
もしこれが現実世界ならば声を出して逃げているところだろうが、魔王補正だろうか、不思議と恐怖心はなかった。
俺は冷静にオークの攻撃をかわし、心臓部を魔剣で一突きした。
オークは緑色の血を吐き、その場に倒れた。
「流石サリア様です。綺麗な体捌きでした」
「うぬ」
とりあえずオークの恐怖を取り除き一安心したところで、視界の隅にあるステータスボタンが点滅してることに気づいた。
そのままステータスボタンを押しステータス画面を開く。
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←
職業:魔王
レベル 15/100
ステータス
HP 3000/3000
MP 2800/3000
体力 1500
攻撃力 1200 + 2000
防御力 1200
魔力 1500
耐性
火 S 土 S 雷 S 光 E
水 S 風 S 氷 S 闇 S
スキル
・
・
装備
・魔剣グラモス
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レベルの上昇と共に、ステータスの向上、そして新スキルを習得したようだ。
そしてよくみるとスキル名と装備名が少し浮き上がっておりボタンのようになっていた。
俺は体力自動回復を押してみると
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体力自動回復Lv1《自動効果》
・3秒毎に100のHPを回復する
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と、表示された。
きちんとスキル説明欄があったらしい。
体力自動回復は《自動効果》と書かれている為、おそらく詠唱なしで効果を得ることができるものだろう。
俺が気になったのはその痛覚耐性だ。
これはもし激しい戦いになった際必須スキルであろう。
少し剣がかすれて痛いなんて言ってる場合ではないし、痛覚が抑えられるのは実質精神攻撃耐性のようなものだ。
レベルも上がり、このゲームの仕様も理解してきた。
後はこの世界についてとサリアについて調べていくとしよう
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