Force
湯キノコ
プロローグ
何百年も前の話、大きな隕石が落ちてきた。その隕石には強大な魔力が含まれており、人々はその力を手に入れるために何年もの研究を重ねた。そして、ついにその力を手に入れる方法が見つかり、研究員は一人一人魔力を手に入れることに成功した。それから研究員たちは手に入れた魔力を使い、災害や病気から人々を救ってきた。人々は彼らのことを〝魔導師〝と呼び崇み奉った。しかし、その研究員のうち一人は自分の力の強さに溺れ、小さな動物から大きな動物、さらには魔力のない人々まで自分の力を見せつけるかのように殺していった。彼の行動に目をつけた他の魔導師は彼を取り押さえ、巨大なクリスタルに閉じ込めた。そして、もう二度と同じことが起こらないようにとクリスタルをいくつかのカケラにし、魔導師たちは一人一人カケラを守るように、全員別々の大陸に国を築き、国王として国を治めた。国王を守る為、クリスタルを守る為に国民も武力を身につけるようになり、今もなおそれが受け継がれているのである…
「ねぇ、国王様しか魔力は持ってないの?」
少年は女性に問いかけます。
「いいえ、最初の国王様が死ぬ時、自分の魔力を国民に分け与えたの。だから今となってははどんどの人が魔力を持っていることになるの。もちろん、私たちも持っているのよ。」
女性の受け答えに対し、少年は目をキラキラと輝かせながら問いかけます。
「じゃあ僕も魔法とか使えるのかな?」
「うん。ちゃんと勉強すればきっと使えるようになるよ。」
その答えを聞いた少年はガッツポーズをして喜んだ。
「ねぇ、お姉ちゃんは魔法使えるの?」
女性は戸惑った表情を見せ、自分の髪をクルクルと人差し指に巻きつけながら答えた。
「今は使えないかな。」
その答えを聞いた少年はえーと不満の声をあげ、残念そうに俯いてしまう。そんな少年をみて女性は語りかける。
「魔法以外にもたくさんの武力はあるのよ。例えば剣術や射術、弓道に合気道とかね」
その言葉を聞いた途端少年はまたキラキラと目を輝かせ、女性に問いかける。
「本当に⁈ 僕、魔法しか見たことないからびっくりだよ!」
「この街は魔法以外の武力を禁じているからね。私が前いたところではいろんな武力を持った人がいたわ。私自身も魔法はあまり使わなかったし。」
「そうなんだ。お姉ちゃんは魔法以外にどんな武力を持っているの?」
女性はニコリと笑って答えた。
「私はね…」
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時は遡ること10年
真新しい制服に身を包み、鏡の前でクルリと回っておかしなところがないかチェックする。うん、大丈夫そう。胸元についた葉っぱの形をしたバッチをキラリと光らせ、荷物を持って部屋をあとにした。
今日は私が武力を学んでいく場所【ヨウマワ学園】の入学式。今まで武力を学ぶことがなく、私とは縁の無い学園だが、友人や周りの人の武術に憧れて、この学校を選んだ。最初親に反対されたけど、何度もお願いしてなんとかお許しをもらうことができた。
「ミライ!」
靴を履こうと手を伸ばした時、後ろからお父さんとお母さんの声がした。
「本当に大丈夫?嫌になったらすぐに転校していいからね。」
お母さんは心配そうに私を見つめる。
「大丈夫だよ!レンとラミアがいるしね!」
私は笑顔でそう答えた。
「そうだな、二人に迷惑かけないように頑張ってきな!」
お父さんは冗談っぽく笑いながら私にそう言う。
「うん!頑張ってくるね!」
そう言って私は靴を履いてドアノブに手をかけた。
「お父さん、お母さん。」
ん?と二人がこっちを向く。
「許してくれてありがとうね。いってきます!」
二人と笑顔で別れて学校に向かって歩みだした。
Force 湯キノコ @ukinoko
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