第81話 涙の訴えもう一度勇者に

アバロスでは魔王軍の兵士達が街を破壊して回っている。

更には黒光りした様々な動物がくっ付いているキマイラみたいな人型の魔獣とアイカとテナルディエ・ガリウスが居る。

「出てきなさい犯罪者達!攻撃を止めてほしいならね!」

「出てきても攻撃は辞めないがな!あはは!」

「オイ豚と泥棒女!」

「誰が豚だ!」

「お前に決まってんだろが!」

カイエン、ルーガル、コハクが立ちはだかる。

「来たわね犯罪者共!あら?英雄オタクは?あらごめんなさい死んだんでしたわね!」

あからさまに嫌味な言い方をするアイカ。

「本当に嫌味な女だ!」

「見てるだけで腹が立ってくる」

「涼殿は死んではおらぬわ!今は治療中だ!」

「治療中?生き返りますの?蜥蜴のホラに決まってますわ!」

「誰が蜥蜴だ!涼殿はレッドベリルの力で時期に蘇るんだぞ!!」

「オイ馬鹿ルーガル!」

「あ…」

「敵にバラすか!?この馬鹿蜥蜴!!」

「す、すまない…」

コハクとカイエンに怒鳴られるルーガル。

「レッドベリル?」

「確か絵本に出てた幻の宝石だったな…よもや実在していたとはな!」

「それを奪えばあの死に損ないは死ぬのね!いい事聞いたわ!」

「確かあの辺りから強いマナを感じるな。きっとあそこだ!」

「行かせるかよ!」

「ルーガル君のせいだからな!」

「す、すまない…」

「過ぎた事はもういい!行くぜお前ら!」

「「オウ!」」

三人は宝救剣を取り出し勇者石(チェンジストーン)はめ込んだ。

ブラック!ザ!宝救武装!

ブルー!ザ!宝救武装!

グリーン!ザ!宝救武装!

「「「宝救武装(ホウキュウチェンジ)!」」」

三人の掛け声で三人の剣から各色の光が吹き出すと三人の身体に纏うとスーツと鎧を作り出し装着し最後にパートナーを模したヘルメットを装着し変身完了した。

「かかれ者共!一人残らず殺せ!」

魔人族の兵士達は武器を構えて突っ込んで来る。

「三人だけはキツイが」

「やるしかないな!」

「ですな!」

「行くぜ!奴らを通すなよっ!!」

「「ああ!・ガッテン!」」

三人は武器を構え迎え撃つ。

「ルーガル雑魚はまかしていいか?」

「お任せを!ラプトルバンカー!」

ルーガルはラプトルバンカーを伸ばして振り回し兵士達を蹴散らしていく。

「俺とコハクで豚達を叩くぞ!」

「わかった!」

「豚ではないわ!」

「じゃあ痩せりゃいいだろが!!」

カイエンは剣を振り翳しながら左のステゴアーチェリーで攻撃する。

「こしゃかしいわ!」

テナルディエはバリアを張り弓矢を弾き黒い剣でカイエンで斬りかかる。

「この野郎!」

「死ね化け物が!」

テナルディエの剣とカイエンの剣が激しくぶつかり合う。二人は弓矢で攻撃や炎を放つなど中距離戦をする。

「トリケラキャノン!」

コハクは右手のトリケラキャノンからビームをアイカに向けて放つ。

しかし、キマイラ魔獣が盾になり当たらずしかも傷ついてない。

「魔獣には無理か…」

「無駄な足掻きよ!子猫ちゃん」

「僕は白虎だ!猫じゃない!!」

コハクはガッチランクアップを取り出し剣に取り付けレバー右に引き中央に戻しレバーの宝石を押した。

アップ!アップ!アップ!ガッチランクアップ!濡れ過ぎ!

「ランクアップチェンジ!」

コハクの剣から青い光が飛び出し身体に纏うと身体のスーツが水を反射したような光をするスーツに変わりマントを纏う。マナ強化形態だ。

「ホウキュウブルー!ランクアップ!」

「姿が変わったところで!」

「じゃあコイツを受けてみろ!」

コハクが剣を振りかざすと津波が発生した。

キマイラ魔獣とアイカは津波に飲み込まれた。

「どうだ?」

「効かなくてよ!」

キマイラ魔獣は波を全て喰らい消した。

「このキマイラ魔獣はマナなら全て喰らい尽くせるのよ!」

「まじか…でもやるしかない!」

コハクは剣を構えてキマイラ魔獣に斬りかかるしかし弾かれてばかりで傷がつかない。

キマイラ魔獣が反撃をするコハクはとっさに剣で防ぐ。しかし余りのパワーにガッチランクアップはバラバラに壊れてしまい元に戻るコハク。

「大丈夫か?コハク?」

「あんまりね…君は?」

「みた通りだよ」

カイエンもだいぶ手こずっている。

テナルディエは黒い剣の力でカイエンを圧倒しているのだ。

「お二人共ご無事か?」

「ルーガルもういいのかよ?」

「いやはや全然減りませぬ」

「なら何で来た!」

「寂しくて…」

「馬鹿言ってんじゃねーよ!」

「全くだ」

「ですな!」

三人は笑う。

「何がおかしいんだ?」

「いや、いい仲間だってな!」

「全くだよ!」

「我輩まだまだ行けますぞ!」

「死ぬなよ二人共」

「君達こそね!」

「涼殿が来るのを信じて待ちましょう!」

「あのオタクは死にますわよ」

「何だと!」

「だって…」

カイエン達は信じられない光景を目にする。

それは、アイカの足元に石化した涼が転がっているじゃないか!

「カイエン!ルーガル!」

「コハク!」

アリシアとリアが変身した姿で駆け寄る。

「リア!」

「姫様!」

「ルビティラを連れて行ったんじゃ?」

「涼が誘拐されたのよ!」

「何だって!?」

「涼さんにつけたマーキングを追ってここまで来たんです」

二人は涼に貼られたマーキングを追って来た際にアイカ達が居るのに気づいて変身して来たのだ。

「さぁ〜武器を捨てて有りかを教えなさい!幻の宝石の有りかをね!」

:

「いてて…酷い目にあったな」

「どうしましょうか?思わず戻って来ちゃいましたが」

「とりあえず一旦基地に戻ろう。ベルの手伝いができるかも知れない」

和樹達は洞窟から弾きだされてしまい仕方なく基地へ帰還した。

「ベル!俺たちに出来るは他にないか?」

しかし基地にベルはいなかった。

「居ませんね…」

「外かな?」

和樹達は基地の外へ出る。

「アレは!?」

そこに居たのはベルと駆けつけてくれたカルタノ達だった。

「来てくれてありがとうであります!」

「ガル!」

(ティラ坊がヤバイんだろ!早く俺達を呼ばないか!)

「ごめんであります…カルタノ」

ベルはカルタノ達と会話している。それは新しく発明した剣のおかげだ。本来は勇者か元勇者でなければ宝石獣達の言葉は理解出来ないのだがこの剣は勇者石をはめ込んだその宝石の宝石獣と話が出来てかつ遠くにいても呼び出せるのだ。元々涼達のパワーアップ兼もしもの為のスペアとしてベルが作った人口宝石の剣だ。

「じゃあ頼むであります!」

「ガル!」

(オウよ!)

カルタノ達が信道達の加勢へ行こうとする。

「待ってくれカルタノ!」

「ガル?」

(あん?)

カルタノは振り向くとそこにはかつてのパートナーだった和樹が居た。

「グガァァァァ!」

(貴様っ!)

カルタノは和樹を食い殺そうと襲いかかる。

「スティ!」

(止めてカルタノ!)

「テラー!」

(親分抑えて!!)

ベル剣から彼らの声がする。

スティラコとプテラがカルタノを止めた。

「あわわわわ」

ベルは腰が抜けた。

「スティラコ…」

「プテラ…」

「ガル!」

(お前達もコイツらにいいように使われたんだぞ!)

カルタノは怒り狂う。

「スティ!」

(わかってるわ!でも!)

「テラー!」

(今は順位がちがーうよー!)

「ガル!!」

(そうだ頭!)

カルタノは思い出しブラキオの元へ行こうとする。

「待ってくれカルタノ!」

「ガル?」

(ああん?)

「恥を忍んでお前に頼みがある…」

「ガル?」

(頼みだぁ?)

和樹は座り込み土下座をする。

「頼む!俺達に…俺達にもう一度力を貸してくれ!」

「和樹…今まですまなかった…プテラ!この通りだ俺達にもう一度だけ力を貸してくれないか?」

海斗も土下座し頭を下げる。

「スティラコさん…ごめんなさい…先生を助ける為に今一度貴方の力を貸してください!」

「スティ…」

(アイン…)

「ウガァァァァ!」

(ふざけるなっ!貴様ら食い殺されたいのか!何を今更!お前達なんかに力を貸すと思っているのか?ああん?)

カルタノは三人の側で雄叫びを上げる。

「謝って済む事じゃないのはわかってる…でもアイツを…涼を助けたいんだ!」

「あの人は俺達を助けてくれたんだ!恩返しをしたいんだ!師匠をたすけたいんだ…」

「お願いします…貴方達にしかもう頼れないんです…」

「ガル…」

(…)

「頼む!この通りだ…もう一度だけ!信じてくれ!カルタノ!」

和樹は涙を流しながら涙に訴えた。

ただ涼を助けたい!自分達を助けてくれた彼らにとっての本物のヒーローである彼を助けたいから。

「お願いします!スティラコ!」

「プテラ…お願いだ…信じてくれ…助ける力を貸してくれ!」

「「「お願いします!」」」

「ガル…」

(クソ餓鬼共が今更…)

「スティ!」

(カルタノ!!)

「テラー!」

(親分!!)

「ガル…」

カルタノは和樹達の方を向くと目から光を放つ。その光はベルの剣に当たり剣がふわふわと浮き和樹の手に行く。

「これは?」

はめ込まれていた3つの勇者石は外れ三人の手に渡ると水色と黄色の勇者石から和樹の手に持つ剣と同じ物が現れ二人は手にする。

「剣が増えたであります!?」

「ガル!」

次裏切ったら…殺すからな…!カルタノの声が聞こえる!?これって!!

「スティラコ!」

「プテラ!」

「俺達を認めてくれるのか!」

「ガル!」

ティラ坊の為だ…貴様を認めた訳じゃない…

カルタノ…ありがとう。

「スティ!」

愛(まこと)!今度こそ本当の正義を貫いて下さいね!優しいんですねスティラコは!

「テラー!」

ミーは前から気にいってたよ!宜しく海斗!

ああ、ありがとうプテラ!

「ガル!」

オメェらさっさと行くぞ!

「「「オウ!」」」

「ベル後は頼む!」

「いってらっしゃいであります!勇者様!」

三人とカルタノ達は戦場へ向かう。

:

「全くきりがない…」

「我…もう…マナ切れた…」

「お、おいブラキオ!ちょっと待った!」

ブラキオは合体が解けた。

コックピットから投げ出された信道は着地した。

「信道くん!」

「マナリア様!ブラキオが!」

ブラキオは小さくなり倒れてしまった。

「ブラキオ!大丈夫?」

マナリアはブラキオを抱き上げる。

「む、無念…」

「こりゃヤバイな…」

敵兵には取り囲まれ戦艦や巨大化した兵士達が無防備な信道達を狙ってる。

「ウガァァァァ!」

退けやコラァッ!!

カルタノが体当たりしながら周りの兵士達を蹴散らす。

「カルタノ!?」

「間に合ったのね!」

「スティ!」

それ!スティラコは口からバズーカを放ち戦艦を次々と撃破していく。

「テラー!」

クラえー!プテラは上空から羽ばたき竜巻を作り出し巨大化していない兵士達を竜巻で海の彼方へ飛ばした。

「先生!」

「マナリア!」

「信道さん!マナリアさん!」

「お前達どうして?」

和樹達は新たな勇者の剣を見せる。

「それは!まさか!?」

「信道さん!俺達も戦います!」

「師匠見ていて下さい!」

「今度こそ僕達は変わるんだ!」

三人は勇者石を新たな勇者の剣にはめ込む。

真宝剣!

バイオレット!ザ!宝救武装!

イエロー!ザ!宝救武装!

シアン!ザ!宝救武装!

「「「宝救武装(ホウキュウチェンジ)!」」」

三人の掛け声に合わせ真宝剣から紫、黄色、水色の光が吹き出し三人に纏う。光はスーツと肩当て付きのプロテクター付きの新たな鎧が装備され最後にパートナーを模したヘルメットを装着し変身完了した。

「お、お前達!?」

「三人共…勇者に返り咲いたの!?」

「いや勇者じゃない…俺達は…」

「「「戦隊だ!」」」

三人は改めて真の勇者になった。

「償いのサファイア!ホウキュウバイオレット!」

「シトリンの一皿(スペシャリテ)!ホウキュウイエロー!おあがりよ!」

「創造のタンザナイト!ホウキュウシアン!」

「我らハンター…いや!」

「「「我ら!ホウキュウジャー!」」」

名乗り終えると三人の色の花火が上がる。

「花火あがるんだね」

「アレはお約束なんだろうな…」

「行くぜ!」

「「オウ!」」

三人は剣を構えて敵兵に向かって行く。

三人は今まで感じたことがない程のパワーを感じる。これが宝石獣と繋がった勇者の本物の力だ。

「師匠!皆さんの所へ行って下さい!」

「ここは僕達が!」

「行って下さい信道さん!」

「お前達…へ…頼んだぞ!」

信道はそう言うとアバロスに居る仲間達の元へ行く。

「一気に片付ける!海斗、愛行くぞ!」

「オウよ!」

「はい!」

三人は真宝剣に自分達の3つの宝石をはめ込みグリップを4回引く。

ミキシングジュエルシステム。複数の宝石を組み合わせる事が出来る新システムだ。

「「「真宝剣!トリプルスペシャルカラットフィニッシュ!」」」

三人の剣から3つの光が捻れて放たれパワーが跳ね上がりドリルみたいになり周りに居た敵兵全てを倒した。

「次はアイツらだカルタノ頼む!」

「ウガァァ!」

命令すんなクソ餓鬼!カルタノは荒い口調ながらも和樹をコックピットへ入れた。

「お願いします!スティラコ!」

「頼むぜプテラ!」

海斗と愛も宝石獣に乗り込む。

「「「宝石合体!」」」

三人の掛け声に合わせカルタノ達は身体をパズルの様にバラすとその身体を1つに合わせ人型へなっていく。カルタノが胴体と顔と足を担当しスティラコが左手を担当しプテラが翼を背中に合わせながら本体は右手を担当する最後にカルタノの尻尾とスティラコの尻尾が合わさり剣を作り持ち兜が合わさり合体が完了した。

本当の勇者になった三人と宝石獣の心がついに1つになり正義の青き巨人が誕生する。

「「「完成!カルタノハオー!(ジャスティス)」」」

正義のカルタノハオーは完成すると飛び上がりそのまま上空から必殺技を放つ。

「「「カルタノハオー!ジャスティスキングスラッシュ!」」」

カルタノハオーの剣から巨大なくの字のヤイバを複数放ち周りに居た巨大化した兵士達と艦隊を全て蹴散らした。

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