第61話 ブラキオ立ち上がる

「グガァァァ!」

目を真っ赤に光らせながら街を破壊し続けているカルタノ達。

「兄貴。止めろティラ!」

ルビティラは突っ込んできたカルタノに体当たりし吹っ飛ばした。

「こらルビティラ。吹っ飛ばすな街が余計に壊れるぞ!」

「んな事言われてもティラ。兄貴にはあれでも大して効いてないティラよ!」

その通りだった。

「ウガァァァ!」

雄叫びを上げながら逆に突っ込んできた。しかも速いし。

「負けないティラよ。兄貴!」

ルビティラは真っ向から体当たり。

互いに激しくぶつかり合う。カルタノはルビティラの首筋に噛み付いた。

「イテテテ。ティラ!」

「負けんなお前も嚙みつけ!」

「ティラ!」

ルビティラはカルタノの尻尾に噛みつき投げ飛ばした。

「ギィーー!」

飛んできたカルタノを空中に居た宝石獣プテラノドンがキャッチしそのままルビティラへ投げた。

カルタノはそのまま口を開け背中から噛み付いた。

「うわ!」

涼はルビティラから振り落とされた。

「ルビティラ!」

「大丈夫だティラ!イテテテ!」

カルタノは容赦なく鋭い牙でルビティラを噛み砕く。

「この野郎離せ!」

涼ほ宝救剣をガンモードにし弾丸を放つ。

放った弾丸がカルタノの右目に当たり爆発した。

カルタノは悲鳴を上げながらルビティラを離した。

「涼。助かったティラ!」

「おう!」

「ギィー!」

「ワウァァー!」

プテラが上空から足の爪で涼を攻撃し、スティラコは口から大砲を出してエネルギー弾をぶっ放した。

「危ね!」

涼は交わすが街の一部が跡形も無く消し飛んだ。

「やっべ。あんなの食らったら死んじまう!」

こいつらあの馬鹿勇者に使われていた時より遥かに強いし何より賢い。

ワニ爺はこいつらは歴戦の猛者だって言ってたからな。実力は間違い最強なんだな。

単に彼奴らが弱かったから力をフルに使えなかっただけだったのかよ。

「涼大丈夫かティラ!」

「ああ、けどコイツら滅茶苦茶強いぞ」

「兄貴達は最強の宝石獣と言われていたくらいだ。合体なしじゃまず無理だティラ!」

「泣き事は言ってらんないぞ。ブラキオが来るまで耐えるんだ!」

「わかってるティラ!」

涼は走りながら攻撃するが、スティラコは装甲が硬すぎでビームも効かず。プテラは飛び回っているから攻撃なんかまず当たらない。

ルビティラはカルタノを抑えるだけで精一杯。

「ウガァァァ!」

カルタノが雄叫びを上げるとスティラコとプテラが集まり三体はバラけた。

「オイ…まさか」

バラけた三体は合わさり人型になっていく。

ハンターズが真似事同然でしていた合体自体は伝承が残っている為出来たが、コイツらの場合はエネルギーが違い過ぎる為ルビティラ達と違い無人でも戦えるのだ。

三体は合体を完了しカルタノハオーが出来上がってしまった。

「ヤバイ合体しやがった」

:

涼とルビティラがカルタノ達と戦って時間稼ぎをしている頃、ブラキオはマナリアに魔法陣を書かせその周りに仲間達と宝石獣達が並び座る。コハク達はアリシアを中心に五芒星に並びその周りを宝石獣達が円を描くように並ぶ。マナリアとベルは外からマナを魔法陣に注いでいる。

「よし、お前達頼んだぞ」

「みんなお願いします。」

「「「「「「「了解」」」」」」」

コハク達は剣を構えた。

「魔法陣行くであります!」

「みんなかなりキツイから気をつけてね!」

魔法陣が輝くとコハク達の胸から各魔宝石が現れ光だし光の筋が伸びアリシアのアレキサンドライトに当たる。

宝石獣達も体が光輝き光の筋が伸びブラキオに当たる。

「アレ?意識が…」

「なんだこれ?」

「マナが根こそぎ奪われてく感覚だ」

「気を引き締めろよ。持ってかれたら途切れて無駄になるからな!」

信道が声を上げた。

「う…凄い力…です」

「頑張れみんな!」

正直いつ意識が飛ぶか判らないほどのエネルギーが持っていかれてる。

たつのもキツイな。

「マナ貧血が酷いであります」

「賢者でもかなりキツイわ」

「みんな頑張って!」

「気合いを入れぬか涼を助けたいのだろ!」

簡単に言うなよコイツ…魔宝石は命と直結してる。故に馬鹿みたいに疲労が頭をかき回してくる。限界まで渡したら多分動けなくなる。

「まだか…ブラキオ…」

「よいぞ。そのままだ!」

正直みんな限界が近い。

一人また一人と膝をつく。

「さあ、ラストスパートだ。お前達気合いを入れてくぞ!」

「「「「「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーー!!!!!!!!」」」」」」」

仲間達は声を上げ最後の力をブラキオサンドライトとアリシアに注がれる。

ブラキオサンドライトは光り輝く。

「皆の者感謝する!」

ブラキオサンドライトの体がどんどん巨大化していく。

「うわ!な、何だ?」

突然巨大化して現れたブラキオサンドライトにカルタノハオーは後ろへ下がる。

「デカイティラ!」

「待たせたな!二人共!」

「涼、ルビティラちゃんお待たせ!」

「アリシア、ブラキオ!」

「若干小さいがこれで充分だ!」

ブラキオサンドライトは最初に比べると小さい方だがそれでもかなりデカイ。

60メートルはあるかないか位だぞ。アレで小さい方かよ。

「上手くいったな…」

「もう喋りたくない…ですぞ」

「す、凄い…」

「頭がくらくらする…」

胴体も気力無くなった。

「後は頼むぞ…」

「みんな大丈夫?」

「マナリア様も…よく座れるでありますな」

皆んなもはや動けない。

「涼。皆んなを介護して!後は私がやるわ!」

「わかった!アリシア、ブラキオ頼むぞ!」

「兄貴に一発食らわせろティラ!」

涼とルビティラはコハク達の元へ向かう。

「よし、アリシア、まずは人型になるぞ!」

「え?貴方人型になれたの!?」

「前は無理だったが今の大きさなら可能だ。」

確かにあのサイズじゃ返って効率悪かったしな。

「わかったわ!え〜と」

「アリシア!こういう場面は変形だ!」

涼がわざわざ通信し教えた。

「どういう場面だ?」

「涼はほっときましょう」

いつもの事だし。

「宝石変形!」

アリシアの掛け声でブラキオサンドライトがバラけた。まず長い首が外れ前足で立ち上がり下半身を構成し後ろ足にパーツが合わさり両手と肩が作られた合わさる。右肩に長い首が変形したキャノン砲が合体され尻尾が長い槍になり左手に合わさる。最後にブラキオの頭がそのままくっつき口が開くと顔が現れたそして上半身に残りのパーツが合わさり鎧になり完成した。

今、宝石神とパートナーの心と仲間たちの力が合わさり最強のパワーと硬さを誇る神の巨人が降臨するぜ。

「我は大王、ブラキオダイオーだ!」

「完成ブラキオダイオー!」

「うぉぉぉぉーーー!四号ロボ来たーーーーーーー!」

涼は高らかに叫ぶ。

「涼、馬鹿やってないで手伝えティラ!」

全くその通りだ。

カルタノハオーは飛び上がりブラキオダイオーに剣をふりかざし斬りつける。

しかし、全く傷一つ付いていない。

カルタノハオーはそんな馬鹿なとばかりに今度は顔に上空から蹴りを入れるがブラキオダイオーはビクともせず動かない。

「凄い!あのカルタノハオーが手も足も出ないなんて!」

マジかよアレで本当に弱くなったのかよ!?

ブラキオダイオーは右肩のブラキオレールガンから電磁砲を放ちカルタノハオーはぶっ飛ばした。

「ブラキオ倒しちゃ駄目よ!」

「わかっている。さあアリシア邪気を祓うぞ!」

「どうやって?」

「邪気を祓えるのはアレキサンドライトの力だけだ。我のレールガンにお前のアレキサンドライトの光を乗せて放つ。そうすれば邪気は祓える!」

「わかったわ!」

ブラキオダイオーは右肩のブラキオレールガンにエネルギーを集める。

コックピットではアリシアが宝救聖剣(ホウキュウカリバー)にアレキサンドライトのエネルギーを集めると持ち手のグリップを4回引く。そしてブラキオレールガンエネルギーが貯まる。

「ブラキオダイオー!アレキサンドスバスター!」

「はっ!」

アリシアが剣を振りかざすとレールガンから莫大なエネルギーが放たれる。

カルタノハオーは対応が間に合わずモロに食らう。そして激しい爆発と共にカルタノハオーは合体が解け三体が落ちてきた。

「ウガァァァ!」

「ギィー!」

「オゥガー!」

三体の宝石獣の身体にヒビが入り周りの黒い結晶が砕けると中から鮮やかな輝きの宝石が現れ三体は元の姿に戻った。

「邪気が抜けたぞ!」

ブラキオはそう言うと小さくなり元に戻る。

涼と回復した仲間たちがカルタノ達に近寄る。

「ぶるぶる。ガル?」

アン?此処は何処じゃ??

宝石竜カルノタウルス。

コイツはサファイアの宝石獣だったのか!

見事な青と紫の輝きツノはアメジストっぽい感じだ。ルビティラより豪華な奴だったのか。

「兄貴!」

「ガル!?」

ティラ坊!?何でお前がこがぁな所におるんじゃ??何故に広島弁??なのか?

「ケラ!」

ママ!マリケラがスティラコに駆け寄り顔をスリスリ。

「ラー!」

トリケラちゃん。大きくなって!

宝石竜スティラコサウルス。

「マリケラの母親は同じ色の石なのか?」

「タンザナイトね!」

変身を解いたアリシアがそう言った。

「綺麗な水色ですね!」

「青いタンザナイトは希少なの」

確かにかなり綺麗な水色だ。

「テラー!」

ミーには出迎えないですか〜アミーゴ!

「なんだコヤツは?」

「テラー!」

美味しいそうなイモリだプテーン!

宝石竜プテラノドン。

「い、イモリだと!貴様まで言うか!!」

「怒るなルーガル!しかし変な喋り方だなコイツ。何の宝石獣だ?」

「コイツはシトリンか」

シトリンとは黄色の水晶だ。

コイツは水晶で出来てるのか?

「オイ、カルタノ、スティラコ、プテラもう大丈夫だぞ!」

「ガル!」

あん?何じゃおんどりゃ!ああ!?

凄い威圧感で声を上げるカルタノ。

「お、オイオイ。お前達を助けたんだぞ?つか判らないのか?」

「テラー!」

ユーは誰でーすか? は?散々あったろ。

「ラー!」

私達、何処かでお会いしましたか?まさか、操られて時の記憶が無いのか?

「ガル!」

あのクソ餓鬼は何処へ消えた?食い殺してやる!うわ物騒な事言ってんじゃねーよ。

「それって先代の馬鹿勇者の三人か?」

「ガル?」

何でお前が知っとんじゃ人間族!!いやだから散々あったろ。

「お前達は魔人族には操られていたんだ!」

「ガル!」

何じゃと!?そりゃ本当か?ティラ坊?

「ああ、兄貴達は操られて街をぶっ壊していたティラよ」

「テラー!?」

ミー達が人間族の街を壊した!?

「ラー!」

それは本当?トリケラちゃん。

「ケラ!」

本当だよ。

「ガル…」

あながち嘘しゃないんじゃな…教えろ何があったか!

カルタノ達にこれまでの事を説明した。

:

とりあえず街じゃ目立つから城まで来てもらいカルタノ達も小さくなってもらう。

「ガル…」

ワシらがあの餓鬼共に操られて街をぶっ壊したか…

「それは違うぞカルタノ」

「ガル!?」

頭(かしら)!何でそんな姿に!?

「お前達を止めたのは我だ!お前達は邪気に囚われいたのだ。何があったか説明しろ。」

「ガル…」

実は覚えてないんだ。

「テラー」

ミーも覚えてない…

「ラー」

私も覚えないですわ。

どうやら操られていた時の事は全く覚えていなかったのか。

「そうか。でも元に戻って良かったなカルタノ」

「ガル…」

馴れ馴れしいぞ人間!つかダサイ呼び名をつけるな!どうも俺のセンスは宝石獣には伝わらんか。

「兄貴。涼は今の勇者ティラよ!兄貴達を助ける為に頑張っていたんだティラ。だから…」

「ガル…」

わあっとるわい。そんな事…だが人間は信用ならん…そんだけじゃ…

まあいい様に使われていたならな。しかもあんな連中にそりゃ警戒するな。

「カルタノ。お前達に返す言葉も無い。でもわかってほしいんだ。俺達ホウキュウジャーはお前達を仲間と思ってる!」

「ガル?」

ホウキュウジャー?何だそのふざけた名前は。ふざけてねーよ!

「テラー!」

ミーは好きだなそのネーミングセンス!イッツクールだアミーゴ!

なんか五月蝿いなコイツ。ゴルーケンより五月蝿いな。

「ガル…」

行くぞお前ら…カルタノ達はそう言うと巨大化した。

「カルタノ何処に行くんだ?」

「兄貴!!」

「ガル!」

心配すんな…家へ帰って身体を癒すだけじゃ…家?

「宝石岩(ジュエルロック)にティラか?」

「ラー」

そうですね。

「テラー!」

ミーもくったくった。

「宝石岩?」

「ルビティラの故郷ティラ!」

「お前の故郷?」

「生き残った宝石獣達のシェルターみたいな場所だ」

あの日魔人族にはよってほんとんどの仲間が死に絶えた日に我が若い連中を逃した場所だ。

「ガル…」

あばよティラ坊。しばしの別れだ。

「兄貴…」

「ガル!」

オイ人間!ん?俺か?

カルタノは涼を呼ぶと口から紫色の石を吐き出した。

「これは、勇者石!?」

「ガル…」

まあ、何だ…一様礼だ。気が向いたら来てやる…

カルタノはそう言うとガネットを後にした。

「テラー!」

でわミーも!ユー達が気に入ったよ〜

「ラー!」

私達のも。何かあれば読んで下さい。

「テラー!」

カルタノの親分は素直じゃないからな〜ま、気にしないアルデンテ〜

「ラー!」

でわ、皆さんトリケラをお願いします。

スティラコとプテラもそう言ってカルタノを追いかけて行きあっという間に何処へ消えた。

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