第46話 爆誕エンガホウキュオー!

「ヴァンデスト!来たぞ!」

サイネリアに到着した涼達は魔王の名を叫ぶ。

「おう来たか、赤いの!」

噴水の真ん中でヴァンデストとカズとカイトがいた。

何であいつらまでいるんだ?

「街の人に何かしたらただじゃおかないからな!」

「安心しな!邪魔だから城へ全員ぶち込んだ。誰も死んじゃいないさ」

「本当だろうな!」

「ああ。俺はお前とサシでやり合いたいんだよ!」

「わかった!やってやるよ!」

涼は宝救剣を取り出す。

「お前ら!邪魔すんなよ!」

「わかった」

「魔王様の仰せのままに」

カズとカイトはあくまで見届けるつもりだ。

「涼さん!頼んだでありますよ!」

「涼死ぬなよ!」

「ご健闘を!」

「気をつけてくださいね!」

「練習を忘れないでね!」

「涼!男を見せるんだ!」

「頼みましたよ!」

「涼!負けるなよ!」

「ああ!行くぜ!」

涼はチェンジストーンをはめ込む。

レッド!ザ!宝救武装!

「宝救武装!(ホウキュウチェンジ)」

涼は剣を空へ掲げると、剣先から赤い光が飛び出し涼に纏い赤いスーツに白いグローブとブーツにルビーの輝きの鎧を身に纏い。最後にパートナーを模したヘルメットを着用し変身完了する。

「情熱のルビー!ホウキュウレッド!」

「カッコつけはいい!さっさと来い!」

「慌てるなって!」

涼はバーサークグリップを取り付けるとグリップを引く。

ジャガーノートタイム!

「アイツいきなり暴走モードになる気か!」

「魔王相手には確かに必要だがそれじゃ勝てないだろよ」

涼はベルが開発した鞘を取り出す。

「あれは?」

「鞘?」

「剣を納めて降伏か?赤いの!」

涼はダイヤの側をチェンジストーンがはまっている表に剣に収めるとグリップをもう一度引いた。

ガチガチ!ガンガンターイム!

「宝救武装!」

剣先から黒い煙が吹き出し涼は黒いドラゴンゾンビのような姿に再び変身する。

「おいおい!変わってないじゃないか!」

「ベルちゃん!」

「大丈夫であります!信じてでありますよ!」

聞こえる…

初めてヒーローショーを見た時の感動が。

初めてスーツアクターをした時の子供達のワクワクした顔が。

見える!みんなと出会いこの世界の勇者に選ばれ憧れのヒーローに変身出来た喜びが。

涼の頭に響いてくるみんなの声が聞こえてくる。思い出したくないトラウマの中から聴こえてくるこの世界の仲間達の声が。

涼!僕達は信じてる!

コハク…

涼殿!我輩はずっと信じていますぞ!

ルーガル…

涼さん!私達は貴方の味方です!

リア…

涼!そんな下らない悩みなんか捨てちまえ!

カイエン…

涼!泣きたくなったら美味い飯を奮ってやる!

のぶさん…

涼さん!貴方は1人じゃないわ!

賢者様…

涼!貴方はヒーローじゃないかもしれないわ!でも私達のヒーローよ!貴方はだからこの気持ちを忘れたないで!私達のヒーローは絶対にくじけず立ち上がるわ!

アリシア…みんな!

そうだ、世界のヒーローになれなくてもいいんだ。誰かの心に残り、子供達の夢であり続けるそれが出来るからヒーローなんだ!

ヒーローは誰かの心にあればいい!重いものじゃない!ヒーローは…ヒーローは…

「ヒーローは誰かを笑顔に出来ればそれでいいんだ!正義は人を悲しませる事じゃないんだ、俺は今を生きるこの世界の人々の優しさを感じた。勇者とは誰かの笑顔の為に向かい立ち上がるそれで…それでいいんだ!」

涼の体から眩い光が溢れ出し黒い姿が砕けると砕けた破片が纏い透き通るダイヤの様な鎧に変わり纏い赤いスーツにマントを羽織った新たな姿に変わる。

ガンガン!ガンガン!撃ちまくれ!貫け一発必中!ホウキュウレッド!ガンナー!ガンナー!バッチグー!

音楽がやむと涼は凶々しい姿からキラキラに輝くダイヤの鎧を纏った新たな姿に変身完了した。

「な、なんだよアレ?」

「あの姿は?」

「それが本気か赤いの!」

ヴァンデストは剣を取り出し目にも留まらぬ速さで涼に剣を降りかざす。

カキン

しかし、刃は通らず弾かれてしまった。

「な、どういう事だ!」

ヴァンデストは剣で斬りまくるが涼には傷一つつかない。まるでダイヤモンドに斬りかかってるみたいだ。

「おら!」

涼はヴァンデストの剣を片手で弾き懐に拳を叩きこむ。

「ぐはっ!」

ヴァンデストはよろけた。

「この力は…以前とまるで違う!?」

「おいおい!何で意識があるんだよ!?」

「アレを使えば暴走する筈だ!何故だ?」

カズ達は理解出来ない。

「俺はもう飲まれない!もう迷わない!俺は今を受け入れそして覚悟を決めて闘う!」

涼はそういうと剣を構えて片方刃が出ている部分でヴァンデストに斬りかかる。

「うわ!」

剣に斬り裂かれたヴァンデストは飛ばされる。

一方的にヴァンデストを押している。

「すごい!あのヴァンデストを圧倒してる!」

「あんなの序の口であります!涼さん!」

「ああ!」

涼は宝救剣を銃の様に構えると鞘の先が銃口になっているのだこの鞘は!

反応する様に宝救剣も持ち手が下がり引き金が現れると涼は構える。

「銃になるのかよ!?」

「おら!」

宝救剣の銃口から赤い弾丸が放たれる。

ヴァンデストは両手で受け止めるが。勢いが強くダメージがはいり吹っ飛ばされる。

「くっ!」

涼はバーサークグリップを引くと赤いエネルギーが銃口に集まり巨大なルビーの弾が作られた。弾は真っ赤に輝き炎を纏いさながら太陽の様な輝きだ。

「ルビーソレイユキャノン!」

引き金を引くと弾は放たれヴァンデストに飛んでいく。

「くっ!う、ぐわっ!?」

ヴァンデストは剣で斬り裂こうと降りかざすが余りにも高温だった為に剣は溶けヴァンデストに直撃し爆発した。

「今だ!」

涼は宝救剣を剣に戻すとグリップを引く。

ガチガチフィニッシュターイム!!

宝救剣が巨大なダイヤの剣に変わりキラキラに輝きながらエネルギーを貯めると涼は降りかざす。

「宝救剣!金剛一線!」

涼はヴァンデストに必殺技を降りかざす。

ガキん

「何!?」

「中々やるな!赤いの!俺が魔王形態になるほど追い詰められるなんてな!」

ヴァンデストの姿が変わっていた。

手応えはあった筈だ。

人っぽい姿から角が巨大化し体が大きくなり怪人っぽい姿に変身している。

「魔王形態か!」

「ああなったヴァンデストはもう止まらないぜ!」

魔王形態ってそんな怪人形態みたいなもんまであったのかよ!特撮じゃ確かにある事だが。

「行くぜ赤いの!」

ヴァンデストは砂埃を撒き散らすほどのスピードで涼に突っ込むと新たに取り出した巨大な大剣を片手で振り回し涼に斬りかかる。

「速い!?うわっ!」

涼は反応が間に合わず吹っ飛ばされた。

涼は初めてダメージを受けた。

鎧が少しかけた。

「あんな奥の手があったのかよ…」

「オラオラ!どうした赤いの。前より遅いぞ!」

ヴァンデストは大剣を振り回して涼を切り回す。どんどん涼の鎧が剥がされていく。

「く!速いなやっぱ」

「オラよ!」

ヴァンデストは大剣で涼を斬り飛ばしす。

涼は転がりながらも体制を立て直すが鎧は完全に砕けてしまった。

「さあ!遊びは終わりだな!赤いの!!」

ヴァンデストは飛び上がり両手を上あげると巨大なエネルギーの球を作り出す。

「げ!街ごと吹っ飛ばす気だぞ!」

「魔王は調子乗ると直ぐに破壊したがる」

カズとカイトはヤバイと離れる。

「うわうわ!アレはマズイよベルちゃん!」

「俺たちも避難しないと!」

「馬鹿!城にいる住民が先だ!行くぞ!」

「ですが涼殿が!」

「大丈夫だ!なあ嬢ちゃん!」

「何が大丈夫なのよ!信道!」

「無論であります!奥の手はまだ見せてないであります!」

奥の手?

「ここは涼さんで大丈夫だから私達は城へ行って救助に!アリシアちゃん!」

「本当に大丈夫なの?」

「涼さんを私達の発明を信じるであります姫様!」

「わかったわ。行きましょう!」

アリシア達は涼を信じて城へ走る。

「くらいな!デスメテオ!」

ヴァンデストは巨大なエネルギーの球を放つ。バチバチと凄いエネルギーだこれが落ちてきたら街は消し炭だ。

「させるかよ!ヴァンデスト!」

涼は鞘を外し裏の水晶の部分に変える刃先が上になり涼は鞘をはめ込んだ。

ドンドン!スピードタイム!

「ん?」

「宝救武装!」

涼の両手両足の武装が外れると両肩に翡翠の様なプロテクターが追加され。身軽そうな翡翠の様な輝きの鎧が装備されマントが枝分かれした。

ドンドン!ドンドン!斬りまくれ!悪を根こそぎ斬りまくれ!ホウキュウレッド!ラピード!ラピード!バッチグー!

「オリャア!」

涼は凄い勢いで飛び上がりヴァンデストの攻撃を一刀両断した。

エネルギーは真っ二つになり上空で大爆破した。

「あははは!最高だぜ赤いの!」

ヴァンデストと涼の剣が激しくぶつかり合い火花を散らす。剣がぶつかるたびに衝撃波が発生し周りの瓦礫が吹っ飛んでいく。

「名残惜しいな赤いの!そろそろ決着つけるかな?」

「ああ!これで終わりにしてやる!」

涼達は互いに離れると必殺技を構える。

ヴァンデストは黒い雷をバチバチと火花を散らしながらエネルギーを剣に集めていく。

涼はグリップのポンプを上げると剣のグリップを4回引く。

「喰らえや!赤いの!」

「宝救剣!翡翠兜割り!!」

互いの剣が交わり斬り合う。

涼は膝をつく。

「へへ…やるな…赤いの…」

ヴァンデストの体が爆発すると倒れた。

そしてついにヴァンデストは爆死した。

「はぁ…はぁ…勝った…」

しかし、一息つくまもなくヴァンデストは巨大化して復活した。

「まだまだ行くぜ!赤いの!」

「やっぱデカくなるか!」

「涼!来てやったティラ!」

ルビティラが待っていたかの様に現れ涼の元へ走る。

「ワニ!」

ワシらも来たぞ!ワニ爺達も駆けつけてきた。

「涼!」

「ヴァンデストがデカくなってる!?」

「よし!俺達も行くぜ!」

「行きますぞ!」

「行きましょう!」

「姫様達は馬車へ戻ってろ!」

「了解であります!」

「行きましょう!」

「みんな!勝ちなさいよ!!」

アリシア達はマナリアの術で馬車へ戻った。

「よし!行くぜ!」

涼達は宝石獣達に乗り込む。

「よし!合体だ!」

「行くティラよ!」

ルビティラが雄叫びをあげる。

「三位一体!」

「「「「「「え?」」」」」」

「真・宝石合体!!」

涼が叫ぶと宝石獣達は輝きバラけた。

まず、ルビティラが頭と胴体と膝までを構成する。次に右肩にマリケラの頭がつき右手を構成、左肩にマリケラの頭がつき左手を構成する。ワニ爺の体が両手の装甲を構築し装着される、頭と尻尾以外は足に着く下駄パーツになり、その上に右の足先にオニステの頭が、左の足先にラルトルの頭が着き二体のパーツが両足を構築し下駄パーツそのままルビティラの両足に合体する。ゴルーケンの翼が両膝の左右に合体する。残りはルビティラの背にバックパック的な形になり合体しその上にワニ爺の頭が着く。

アンキロの胴体と甲羅、その先にルビティラの頭が着き口を開くとそこにイカちゃんが刺さり大剣になる。アンキロの尾の代わりにバラケタカブトのパーツが長い持ち手になり合体する。

ワニ爺とルビティラの尾が左右の肘に合体しカブトの頭と装甲が胸に着き最後にゴルーケンの頭がカブトになり顔に被さり合体完了した。

「完成!エンガホウキュウオー!!」

うおーーー!10体合体出来たー!!

「いきなり合体させるなティラ!」

「まじかよ更に合体したのか!?」

「もう何でもありだな涼…」

「これ大丈夫なんですか?」

「確かに10体合体なんて凄いですが」

「多分負担が大きい筈だ、やったからには速攻で行くぞ!」

「ああ!行くぜ!」

エンガホウキュウオーは巨大なイカ大剣改を降りかざすとヴァンデストを一気に薙ぎ払う。

新たな宝石巨人エンガホウキュウオーと魔王ヴァンデストの最後の決戦が始まる。

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