第45話 私は天才!ドンガンバッチグー!

「思った通りであります!負の感情が中和されてるであります!」

ベルはバーサークグリップの改造が不可能と判断した為それに変わる制御装置兼強化アイテムを開発しているのだ。

コンテナパーツで部品を作るのはベルが担当し表面の錬金術で更に強化し壊れにくくかつ効果の促しを追加する作業を信道が担当し、魔宝術のルーンの刻み込みは賢者マナリアにお願いしている。

各部位のルーンを刻んで貰っている。

負の感情をスイッチにするなら、逆に仲間達との思い出を力に変わる様に。しかし、かなり難しい術式な為賢者あっての発明である。

「やはり、賢者様に任せて大正解でありました!」

「このルーンの刻み込みは私でも結構手こずる代物だったわよ!この負の感情のルーンが強すぎて上書きは私でも無理だもの。」

「だからそれを上回る私達の心を思い出を刻み込んでこのアイテムに取り付けて相殺するであります!」

「水晶を溶かしてコーティングしたぞ!」

「ありがとうであります!水晶の癒しの力をこのアイテムにコーティングして!更にこのダイヤをこっちにとりつけて!」

3人のスペシャリストがいればこそ、このアイテムは出来上がるんでありますな!

楽しみにしてるでありますよ涼さん!

:

日が暮れてきた頃。

「ひぃ〜ようやく焚き火起こすのがやっとかよ〜」

「僕はコップ一杯の水出すだけでもう疲れたよ…」

「私もダイヤ一個作れました…」

「我輩も…もう干からびそう…」

「くそ…体が動かない…胴体に戻れない…」

「皆んな大丈夫なの?」

アリシアはボロボロの涼達に食事を持って行く。

「でも、皆んなだいぶマナを感じられる様になったと思うわ!」

正直いきなり詠唱無しでマナを扱うなんて無茶をひいお祖母様がさせるからどうなるかと思ったけど、涼達はやっぱ勇者ね。詠唱無しはセンスも居るのにそれを初歩をいきなりやるなんて。どんなに頑張っても1日では具現化だけでも一苦労なのに。

「焚き火を起こしただけだぜ…」

「詠唱無しで火を具現化出来るなんて初歩でも凄いわよ!」

そうなのか?焚き火起こしただけなのに?

「そんなに詠唱無しって難しいのかい?」

「ええ、詠唱は覚えれば直ぐ術は使えるけど、詠唱無しはイメージを形にするからマナをどれだけ上手く使えるかなのよ」

俺達はそんな難しい術式を練習してるのかよ…まあ難しい言葉なんか言えないからな。

賢者様わざと難しい方をやらせたんだな…

「詠唱無しはマスターすれば瞬時に術を使えてより優位に立てるわよ涼!」

「姫さんは詠唱無し出来るのか?」

俺を止めた時は詠唱してたしな。

「涼、どさくさに呼び捨てで呼んだんだからアリシアでいいわよ。ていうか呼びなさい!これは命令よ!」

王族の権限そんな安い事に使っていいのかよ…

「わ、わかった!涼!」

真っ赤になるアリシア。

「わかったよ。アリシア!」

「わ、判ればいいのよ馬鹿…」

何で拗ねてんだ?

「で、アリシアは詠唱無し出来るのか?」

「一様出来るけど。みんなとどっこいどっこいかな」

王族でも難しいのか、詠唱無しって。

「そういや、サイネリアはどうなったんだ?」

あの街はアレっきりだ。

「大丈夫よ!お父様に救援要請をしといたから。ガネットが責任持ってるわ!」

「さすがお姫様!」

つか、いつの間に救援要請をしたんだ?

「おーいデザート作ったぞ!」

馬車から顔を出した信道が知らせに来た。

「デザートティラ!」

「そうね!行きましょうルビティラちゃん」

「ティラ!」

アリシアはルビティラと一緒に馬車へ向かう。ルビティラよ、お前は入れないだろ笑

:

「う…う…」

魔王軍の集中治療室。

そのベッドの上で両足の治療を受けているアイン。

他の先代勇者達の治療が完了した中、アインだけはまだ治療が終わらない。

それは、涼が変身が解けたアインに問答無用で必殺技を食らわせ、その際に両足が吹っ飛んでしまったからだ。

「くそ!何かのウィルスなのか?アインの足のデータが復元されないなんて!!」

「アバターが修復不可能のダメージなんてな…チートだけじゃなく、ウィルスデータまでどこの裏切り者が渡したんだ!」

2人はアッシュベルが涼にバーサークグリップを渡した事は知らない。

おそらく、あえて教えてない。涼にやったみたいたに。

「アイン様のお加減は?」

「アイツなら大丈夫さ、それよりアイカ。君の方は!?」

お前は女の心配が優先か…全くこいつは…

やれやれとカズ。

「大丈夫じゃありませんわ!あの犯罪者にビンタされて私の顔は酷い痣に…もう消えませんわ!」

アイカは泣き崩れる。

しかし、本当は等に治っていると聞いた。

この女…本当にあざといな…

しかし、奴の力は明らかに俺達を凌駕していた。ハザードシリーズは魔王クラスの力が手に入るチートアイテムだ。

奴はどんなルートに入ったら手に入れるイベントに導かれたんだ?

「カズ?どうした?」

「いや、奴の勇者イベントには何か改造データが組み込まれているのかと思ってならなくてな!」

「確かに俺達の時とは明らかに違うからな」

「運営側の妨害か?だったら早くログアウト出来る様に直せばいいものを!」

「ああ、この世界がバグに侵されたから俺達は帰れなくなったんだからな。俺達は帰る為にゲームを壊す事にしたんだからな」

「それで都合が悪くなったから、俺達を消して強制的にログアウトさせる為に奴を送り込んだかもな。そう考えれば奴が俺達の邪魔をする理由に繋がるな」

「だが、向こうに責任があるんだ!俺達には罪はない!邪魔するなら返り討ちにするだけだ!徹底的に倒して運営側に分からせてやる!」

本当に先代勇者達は何を言ってるんだ?

「難しい話してるな、先代勇者達」

「おお!ヴァンデスト!」

カイトは近くと肩を組む。

「聞いたぜ!また株をあげたんだよな!いいな魔王職は!」

「カイト、一様魔王だぞ」

「構わないさ!チビの方は赤いのにやられたんだってな?」

「ああ、俺達の技術が奴に渡っていてな!」

「赤いのにか?」

「ああ、俺達も油断してやられたくらいだからな」

「赤いのは今俺と同じ力があるか!面白いな!」

ヴァンデストはカイトから離れ何処かへ行く。

「待て!何処へ行く?」

「決まってんだろ。赤いの所だ!サシでやりたい!」

「ちょと待て!ヴァンデストお前が直々に行くのか?レプリカでいいだろ!」

「アレは性に合わん!俺は全力の赤いのを殺したいんだよ!」

「趣味の悪い事を…」

「俺は魔王だからな!」

ヴァンデストはそう言うと闇へ消えた。

「どうする?」

「俺達も行く。レッドには借りがあるからな!」

「だな、奴のチートを知らないといけないしな!」

「それもあるが確かめたい事もある」

カズとカイトもヴァンデストの跡を追う。

:

「眠い…ティラ…」

グサっ

目を覚ましたルビティラに何か刺さる。

「ん?何だこれティラ?涼!何か刺さったティラ!」

秘密基地の入り口に頭を突っ込み涼を呼ぶルビティラ。

「ん?なんだよ…朝っぱらから?…て!!ルビティラお前、頭に弓矢が刺さってんぞ!」

「だから呼びに来たティラ!」

矢が刺さってんだぞ。もっと慌てないのかお前は?いや宝石だかは平気なのか。

俺はルビティラに刺さった弓矢を引き抜くと結ばれている紙に気づく。

「これ?矢文か?」

「何?どうかしたの?」

奥からアリシアが出てきた。

「ルビティラちゃん!?あなた頭が穴空いてるわよ!!」

「大丈夫ティラ、直ぐに治るティラ!」

ルビティラはホラっと額を見せるといつのまにかキラキラのルビーのボディがある。

少しの傷ならあっという間に治るんだな。

俺は矢文を開いて読んでみるが。

「ん…読めない…」

文字が読めなかった…そういや、この世界の言葉が通じるのは宝救剣のおかげかもしれないな。

「そうだ!」

俺は宝救剣を取り出し前に作った翻訳ジュエルを使い手紙の文字を日本語に変えた。

「便利ね本当にその剣は…」

「宛先は…ヴァンデスト!?」

「ヴァンデストって!魔王の!?」

「何て書いてあるティラ!?」

なになに?

よう!赤いの!

ヴァンデストだ。更に強くなったんだってな。お前の最初の全力相手を是非俺が直々に確かめて殺してみたくなった。

わかったら明朝にサイネリアの広場に来い。

来なければ街が地図から消えるがな!

「何だこれは?まるで果たし状じゃんか?」

「脅迫状の間違いじゃない?」

「幼稚な手紙ティラ」

確かにバカのひとつ覚えみたいな手紙だな。

「何にしても、ヤバイ事になってる」

俺は秘密基地にもどり仲間達に手紙を見せた。

「罠だなこれ絶対」

「間違いなく罠ですな」

「あからさまに罠だろこの手紙」

そりゃみりゃ解るよ。

「読む限りじゃ奴は涼とサシで勝負したい感じだな」

「それが罠なんですよ!おびき寄せる為の!」

「でも、ヴァンデストは強敵にはサシでやり合いたいと思うタイプだから」

「ひいお祖母様は魔王を知ってるんですか?」

「先代の勇者よ私は。前にも戦ったから知ってるわ」

ヴァンデストは確かに意地の悪い性格だけど、強い人との戦いは必ずサシで勝負したがる変な所があるから。

「何にしても行かないと街がヤバイんだよな」

「お前行くのか?」

「ああ、街を人質にされてる以上行かないと勇者の名折れだからな」

「だからって、あからさまに罠と解ってるとこに行くなんて」

「相手は魔王だからな何をするか判らない以上は行くしかないだろ!」

ヴァンデストは魔王だ。またカイアナスみたいな事になったら大変だ。

「まあ今んとこ魔王とやりあえるのは涼だけだからな…」

「しかし!涼殿1人で勝てる程甘い相手ではないですぞ!」

「大丈夫であります!」

ベルがドアを蹴ぶって入って来た。

「ベルちゃん」

「行儀悪いぞベル」

「首無しわかってるでありますよ!」

名前で呼べよ。

「涼さん!ついに完成したでありますよ!」

ベルは両手に抱えている鞘みたいな物を手渡す。

「鞘?」

渡されたのは確かに鞘だ。

しかも、リバーシブルになっている。

片方は水晶でもう片方はダイヤだ、しかも下の方が歯がむき出しになる様な設計だ。

「これをグリップを取り付けた宝救剣に収めればもう暴走しないであります!」

「本当か!?」

「私は天才でありますよ!そして、3人のスペシャリストの結晶!名付けて!」

「名付けて!!」

凄そうなアイテムだからな!きっとカッコいい名前だな。

いや、ベルのネーミングセンスは涼より酷いからな当てにはならん。

「斬って!撃って!勝ちが揺るがないバッチグーな発明!名付け、ドンガンバッチグー!であります!」

「かっけえーな!ベル!」

「「「「「「「いや!ダサいから!」」」」」」」

「ダサすぎるティラ!!」

ほら言わんこっちゃない!ダサすぎるネーミングセンスだった。

「えー!このバッチグーなネーミングセンスの何処がダサいでありますか!」

「ガキ丸出しでダサすぎるんだよ!お前も涼も!」

「首無し何て事を言うでありますか!!」

「カイエンだ!名前いい加減に覚えろ、じゃリンコ!」

「誰がチビジャリでありますか!!」

「そこまで行ってないわ!」

「おーい!置いてくぞ!」

カイエンとベルが言い争いをしてると皆は冷蔵庫で目的地へ向かおうとしている。

「置いてくな!」

「であります!」

「いってらティラ!」

涼達はサイネリアへ向かった。


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