第44話 それぞれの成果
次の朝、涼達はさっそく賢者マナリアの指導の元魔宝石の基礎修行を始めた。
「なあ、賢者様よ…こんなんで力が強くなるのかよ?」
俺達はひたすら自分の魔宝石で術が使える様になる為のマナコントロールをやっている。
まずは、マナを感じる事からのスタート。
俺達は今まで宝救剣と宝石ばかりに頼って戦っていたので自分からマナを感じて術を使うのは無理だ。
「何ごともまずは基礎だよ!皆んなは、まずマナを感じる事が出来る様になる事だよ!」
だからって宝救剣無しでやるのかよ…いきなり無しで何もしてない人口宝石片手に自分の技を作れって無理だ!
「皆んなは勇者の剣に頼りすぎたの!この練習でマナを感じて少しずつ扱える量を増やしていけば、絶対に強くなれるから!」
「そう言われてもな…」
「何かコツはないんですか?」
「マナは命が作るエネルギー!つまり誰もが持っていて自然界に満ちているの!それを感じるの!」
だからそのコツが判らないんだよ!
「具体的にはどういった物かイメージ出来ないんです」
「いい疑問だよ!ヒントをあげる!イメージは一人一人違う!」
謎かけか?余計に判らない。
「イメージは違うですか…うーむ…」
ルーガルの人口宝石が光始めた。
「ルーガルくん!そのイメージをハッキリ型にしてみて!」
「やってみますぞ!」
人口宝石の輝きが強くなり、次の瞬間小さなつむじ風が起こったが直ぐに消えた。
「あー消えましたぞ…」
「ルーガルくん!出来たじゃない!!」
「アレがですか?」
「術が形になったのは君がマナを感じて集めたからあの風は起きたの!」
「では、アレがマナ!?」
「ルーガルどうやったんだ?」
「いや我輩も説明は…」
「説明出来ないが正解だよ!」
はい?説明出来ないが正解?なんで?
「マナは目に見えない!感じるにはその人のマナのイメージなの!イメージは人によって違うから説明出来ないの!」
「つまり、表現しやすい形を思い浮かべれば良いと?」
「その通り!大正解!」
それがわかっても具体的にどうすりゃいいんだよ。
「まあ、やってみるか…」
俺は火をイメージして自分の中にある魔宝石を感じるイメージで集めてみる…
俺は火をイメージした。その火の様な光を体の中で何となく感じて来た。
俺はその光を胸のうちに集めるイメージをしそれを持っている人口宝石に流す連想をしてみる。
「ん?アチ!アチアチ!」
持っていた人口宝石が熱を帯びた。
これは成功言うのか?つか火は上がってないし!
「水!水!!」
「わかった!」
コハクは水をイメージしたエネルギーを連想し人口宝石に流すとちょろっと水が出た。
「アレ?」
「水出ないじゃないか!熱い!熱い!」
俺はたまらず桶の水をかける。
「よし私も!」
リアはダイヤの形のエネルギーをイメージし自分に集めるイメージを連想し術を発動させるが。
ゴチーン
「あいた!」
カイエンの頭の上に空盥が落ちてきた。
その拍子で頭が外れた。
「ご、ごめんなさい!」
「何で盥が落ちてくんだよ!オイ本体俺はここだ!!」
本体は頭を拾う。
あーだこーだ言いながらも涼達はひたすら基礎をやる事にした。
まだまだ上達には程遠いかな。でも、さすが勇者に選ばれるだけあるわ!あえて教えなかったとは言え一番難しい詠唱なしをいきなりやってのけるなんてね。
そう賢者マナリアは実は詠唱無しのやり方を教えていたのだ。
術には詠唱ありと無しがあり、詠唱ありは決められた言葉を発すればマナがあつまり術は簡単に発動する。しかし、詠唱を覚えないといけない上に間違えると術は発動せずに威力は一定。
逆に詠唱無しはイメージだけで術を発動する為具現化出来るかはその人の腕前しだい。マナをどれだけ上手く使えるかで威力も変わる、ある意味上級クラスのやり方だ。たが、基礎であるマナの扱いが巧みに出来ないと意味がない。マナを感じて扱う基礎あっての方法なのだ。
詠唱ありは確かに直ぐに術は使える為マナの扱いは左右されないがやはり強さは変わるのだ。事が事だから涼達には詠唱無しを教えたのだ。
涼達が外で魔宝石の扱い方を習っている間、ベルはアリシアの情報からバーサークグリップを改造出来ないか研究している。
「みんな張り切ってるわね!」
「術の訓練だけじゃなく、パワーアップアイテムも重要でありますよ!姫様には可能な限り涼さんが変身した時の話を頼むであります!」
「役に立つの?」
「今はどんな情報も欲しいであります!兄様が作ったコレは!かなりのブラックボックスでありますが私は天才でありますから、これくらいはチョチョイのホイであります!」
そう上手くいくのかしら?
「具体的にこのアイテムをどうするの?」
「コレには負の感情をキーに魔王クラスまで力を引き出すジャガーノートモードって機能があるであります。しかし自我を失って暴走する諸刃の剣であります」
「確かに涼はまるで殺戮人形みたいになっていたわ!」
「そこでジャガーノートモードになっても自我を失わない様に改造するんであります!」
「自我を保てれば魔王にも勝てるってわけね!」
「そうであります!見てるでありますよ兄様!貴方のおもちゃなんかチョチョイのチョイでありますよ!」
ベルはゴーグルをつけて光のキーボードを出しウインドウを開くとキーボードを操作してバーサークグリップを調べ始めた。
あの暴走状態をコントロール出来ればきっとこれからの戦いで優位に立てるはず!涼ももう傷つかせないわ!
アリシアの話を聞きながらベルはバーサークグリップをいじるが…15分後
「む、無理であります…ブラックボックスすぎてルーンが刻めないどころか消す事も不可能であります!!」
「速いわよ!ベルちゃん!」
「だってここまで複雑な術式で組まれてるなんて思わなかったんでありますよ!」
あれからバラしてコアである魔石のルーンを解除して新しい術式を組もうとしたが、ことごとくベルの術式は弾かれかき消されを繰り返して全然先に進まず根をあげた。
「こうなったら!」
ベルはバーサークグリップを片手に外へ行く。
「ベルちゃん、どうするのよ?」
跡を追うアリシア。
「涼さん!」
「ん?どうしたベル」
「ちょっとコレで変身して欲しいであります!」
ベルはバーサークグリップを手渡す。
「ちょ!ベルちゃん。また涼が暴走したらどうするのよ!」
「でも情報が少なすぎるであります!こうなったら直接見て確かめるしかないであります!」
「でも!」
「わかったよ!ベル!」
即答するな!
「涼!貴方わかってるの?それを使ったら、また暴走するかもしれないのよ!」
「わかってるさ!」
「ならどうして?」
「今はみんなが居るから大丈夫だ!」
何よその根拠のない自信は!?
「まあ、確かに何かあったら俺たちがフォローするし心配すんなよ姫様!」
買い出しから戻った信道がそう言う。
「お帰りであります!のぶさん!ご苦労様であります。」
「ほら嬢ちゃん!」
ベルは信道から袋を受け取る。何を買いに行かせたんだ?
「皆んなに何かあったら!?」
「僕達は男だ!」
「こう言うのは我輩達が適任ですぞ!」
「まあ、そんときゃはブン殴るだけだ!」
「さあ、涼遠慮なく使え!お前ら行くぞ!」
「「「オウ!」」」
男性陣は剣を構えてチェンジストーンをセットする。
ブラック!ザ!宝救武装!
ブルー!ザ!宝救武装!
グリーン!ザ!宝救武装!
へい!とりあえずゴールド一丁!
「「「宝救武装!」」」
「乾杯!」
4人の剣から光が飛び出し纏い鎧を形成し見に纏い最後にパートナーを模したヘルメットを装着し変身完了!
「いい皆んな!まずくなったら涼のチェンジストーンを外すのよ!そうすれば元に戻るから!」
「了解!よし涼こい!」
「皆んな!頼むぜ!」
涼はバーサークグリップを宝救剣に取り付けチェンジストーンをはめ込む。
デンジャータイム!
レッド!ザ!バーサーク武装!
「バーサークチェンジ!」
黄泉!恨み!奈落!ホウキュウレッド!バーサーク!壊せーーーー!
奇妙な音楽と共に黒い煙とバチバチと花火を上げながら煙は涼に纏い棘だらけの凶々し黒い鎧とヘルメットを装備したやはり見た目はドラゾンビのようだ。
「それがバーサークか」
「まるでドラゴンゾンビですな…」
「趣味悪い装備だな…」
「俺の趣味じゃねーよ!!」
「時間がないから始めるぞ!」
信道の言う通りバーサークは理性を保てる時間はかなり短い。早くデータを集めないと。
信道達は涼と組手を始める。
皆で涼に攻撃をするが鎧は固くビクともせず涼が反撃すればあまりの力に吹っ飛ばされた。軽く攻撃しても鎧がヒビ入るのかよ。
「涼!手加減しろよ!」
「してるが加減が効かないんだよ」
「やっかいな装備だな…」
「これをどうやって抑えるんですかな?」
「軽く受けて装備にヒビはいるんじゃな、こりゃ改造しないと危なくて使えないわな」
「う…!?」
急に意識が朦朧としてきた。
まずい…限界が来たか…
「意識が…」
涼は膝をつく。
「不味いわ!みんな涼のチェンジストーンを外して!」
「わかった!」
コハク達が涼から剣を取ろうとした時だった。
「お前ら!離れろ!」
「「「え!?」」」
涼のヘルメットが赤く光り輝き。
三人を片手で薙ぎ払う。
「うわ!」
「間に合わなかったか!」
「なんか理性失うスピードが早くなってませぬか!?」
確かに前より理性が飛ぶのが速すぎるわ!
涼は剣の持ち手のグリップを引く。
ジャガーノートタイム!
ヤバイ暴走モードだ!
涼は凄い速さでつっこみコハク達に襲いかかる。4人は散り散りになり交わした。
当たった岩は廃になりくちた。
「げ!あんなの食らったら死ぬぞ!」
「つか、近づけるかあんなの!」
確かに近づくのも難しい。
「不味いわ!障壁を貼ります!」
「私も!」
ピンク!ザ!宝救武装!
「宝救武装!」
リアが変身すると賢者マナリアと共にダイヤで障壁を貼る。
「う…が…あ…」
涼は奇声を上げながら障壁に近づき殴りまくる。
「凄い力!長くは持たないかも!」
「ダイヤモンドさえ砕く勢いなんて!どうすればいいんでしょう!」
魔宝石の障壁にヒビが入り始めた。
不味い、このままじゃみんなが!!
「私も!水晶のマナを持って課の者に閃光の光を浴びせよ!」
アリシアが周りの水晶のマナを集め涼目掛けて光の弾を放つ。
「クリスタルオーラバインド!」
涼の顔に当たり爆発すると虹色の光が降り注ぎ涼の視界を奪う。しかしこんな術じゃ目くらましくらいしか!
「ん?見るであります!」
光を浴びた涼のヘルメットが凶々しい光を止めた。
「ん?はっ!?みんな!!」
理性が戻った涼は宝救剣からチェンジストーンを外すと元に戻った。
「この馬鹿!やっと戻ったか!」
「僕らを殺す気か!!」
「すまん…」
「けど何で意識が戻ったんですかな?」
確かに、何で元に戻ったんだ?
「姫様の術が涼さんを正気に戻したみたいでありますな!」
「私の術が?」
「使ったのは水晶のマナを使った術だったわね」
「水晶は確か光属性のヒーリング効果のある術でありますね!」
もしかしたら、負の感情がキーになるこのアイテムに聖の属性である水晶を組み込んだアイテムを開発すれば暴走を抑える事ができるでありますかね?
「姫様!お手柄であります!このデータがあれば涼さんは暴走無くパワーアップが見込めるかもしれないであります!!」
「本当か!ベル!」
「天才に不可能はないであります!でも一人では完成は無理であります!のぶさん、賢者様。力を貸して欲しいであります!」
「勿論だ!」
「私が役に立つなら喜んで!」
「さっそく作るであります!」
「アリシアちゃん!皆んなの基礎のおさらいをお願い出来る?」
「判りましたわひいお祖母様!」
「お祖母様はやめて!」
その後、ベルと信道、賢者マナリアは研究室にこもり何かを作り始めた。
一体何を作るんだ?
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