第40話 砕かれる希望

ハンターズが尋常じゃない力を手に入れ仲間である怪人を倒してしまった。

黒くなりまるで狂気に駆られたヤバイ奴みたいな精神になっている。

「素晴らしいですわ!勇者様達!さあ、偽勇者を殺し!アリシアを私の元に!」

いつのまにか現れたアイカがそう言う。

「ああ、アイカ!もちろんだよ!こいつらの首を君のために!」

マズイ、今のこいつらはかなりマズイ。

「みんな逃げるぞ!」

「涼?」

「何故ですか?我輩達も強く…」

「アイツらは俺達より強い!だから逃げる!」

涼は声を上げた。

「涼!そうだな、みんな逃げるぞ!」

信道がアリシア姫達を連れて走る。

「逃すか!」

カズが信道の元へ飛ぶ。

「させるか!」

涼はガッチ・ランクアップを取り付けると左にレバーを引き真ん中で止め人口宝石を押した。

アップ!アップ!アップ!ガッチランクアップ!ウインド!吹き過ぎ!

ホウキュウレッドは緑色になり風の様な速さでカズに追いつき剣を止めた。

「のぶさん!行け!」

「わかった!死ぬなよ!」

信道は転移ジュエルで秘密基地まで飛んだ。

「邪魔をするな!」

カズの剣が涼を切り裂く。

「うわっ!?」

涼は吹っ飛ばされ壁に埋まる。

「涼!」

「おっと!」

「お前らは俺らとな!」

涼の元へ行こうとするカイエン達に立ちはだかるカイトとアイン。

「そこを退け!」

カイエン達が剣を降りかざすが2人の体には傷一つつかない。

「は!?そんな馬鹿な!?」

俺達の攻撃が効かない?そんな馬鹿な!?どうなってんだよ!?

カイエンとルーガルはアインをコハクとリアはカイトと戦う。

しかし、今までとはまるで違う。攻撃は効かない上に傷もつかない。

「貴方達はもはや雑魚ですね!」

「「!?」」

アインが剣でカイエンとルーガルを斬り裂く。鎧もマスクも一瞬で砕け体から血を思いっきり吹き出す。

「ぐはっ!?」

「次元が…違う…」

ルーガルとカイエンは変身が退け地面に転がる。

「カイエン!ルーガル!」

「よそ見か?ガキ!」

「えっ!?」

コハクはカイトに一瞬で斬り裂かれ鎧も砕け腹から血が吹き出す。更に槍で腹部を貫かれ血を吐いたら。

「ぐはっ!?」

コハクは変身が解けて頭から倒れた。

「コハク!」

リアはマスク越しで泣き叫ぶ。

「ごめんよ!」

リアはカイトの拳を喰らい、鎧は砕けて内臓にもろダメージを受けリアは血を吐き倒れ変身が解けた。

「う…涼…さ…」

リアの意識が途絶えた。

「みんな!」

「後はお前だけだ!」

「覚悟してくださいね!」

アインとカイトまで涼の元へ来た。

あの装備で3体1は分が悪すぎるだろ。

涼は距離を取りながらレバーを下に二回引き真ん中で止め中央の宝石を押す。

アップ!アップ!アップ!ガッチランクアップ!ランド!育ちすぎ!

ホウキュウレッドの色が黄色に変わり重装甲の鎧を纏う姿に変わり両手のガントレットでハンターズの武器を弾き返す。

何だよこの武器はパワーが尋常じゃない、ランクアップでも防ぐのはキツイか!

「オラオラ!どうした!」

カイトが槍でひたすら突きまくる。

涼はひたすら弾くが一撃一撃が凄いパワーで当たる度に鎧が少しずつヒビが入っていく。

バキン!といい音を鳴らして両手のガントレットが砕け散った。

「なっ!?」

「スキやりです!」

アインの放った矢が涼の鎧を貫き、鎧は砕けた。

「うわ!くそ!」

涼は赤い姿になりレバーを左右上下に動かし中央で止め宝石を押し剣の持ち手のグリップを4回引く。

アップ!アップ!アップ!ガッチランクアップ!ラスト!盛りすぎじゃあ!

「宝救剣!ランクアップフィニッシュ!」

涼は剣を降りかざすとルビティラを模したエネルギーが4体放たれたハンターズに向かう。

「効くか!そんな技!」

カズは軽く振りかざし涼の技を簡単に粉砕した。

「そんなっ!?」

「終わりだ!」

「終わりです!」

「終わったな!」

いつのまにか涼の懐にハンターズの武器全てが鎧に突き刺さり砕け内部で爆発し涼は血を雨のように吹き出した。

「ぐはっ!?」

涼は理解が追いつかずいつのまにか体を貫かれ血を流し倒れると変身が解けると、ガッチ・ランクアップは火花を散らし砕け爆発し壊れてしまった。

「何だ…この…力の差は…」

涼の意識が朦朧としている。

「まあ、こんなもんか」

「さあ、トドメと行きましょうか!」

「ああ、キャラデータをデリートしてやる!また作り直せよな!あははは!」

明らかにこいつらの神経がおかしい。

まるで悪魔に魂を売ったみたいなそんな次元の強さだ。

「やべ…体が…うごかねぇ…」

血を流し過ぎた…このままじゃ…まじで死ぬな…

「あばよ!」

カイトの黒い槍が涼の頭を狙い襲いかかる。

その時、金色の鎖が飛んできた。

鎖は涼に纏わりつき彼を引っ張り攻撃をかわす。

涼を巻きつけた鎖の先には濁酒銃。

「ゴールド!」

信道が銃から放った鎖で涼を間一髪で救ったのだ。

「のぶ…さん…みんな…は…」

「お前のおかげで逃がせた、もう喋るな!」

「おっさん!次はテメェを斬りつけてやるよ!」

「悪いがお断りだ!」

「くーくーくー!」

背後からイカちゃんが飛び出して巨大化し口からイカ墨を吐き出した。

しまった視界が奪われた!

「イカ子ちゃん!撤退だ!」

「くーくーくー」

わかっていますわ!イカちゃんは墨に紛れて空へ飛んで行きこの場を離れた。

「ちっ!逃げたか!」

「卑怯ですねゴールドは!」

「まあいい、作戦はこれからだ!」

ハンターズはサイネリアの人々に武器を振りかざし斬りかかり、魔宝石を集め始めた!

「さてと、あらかた集めたらアリシアをふふふ」

アイカは不気味な笑みで空を見上げる。

:

命かながら逃げてきた涼達は皆急いで治療を受けている。

賢者マナリアは魔宝術が巧みで若くして賢者にらなり勇者になった大ベテランだ。

この人がいなかったら涼達は間に合わず間違いなく命を落としただろう。

治療を終えたマナリアがソファーに座る。

「ひいお祖母様!涼は!涼達は大丈夫なの!?」

アリシアは泣きながらマナリアに泣きつく。

「大丈夫よ!のぶくんがみんなを早く連れてきたから命に別状はないから、ね!」

「ひいお祖母様…うわぁぁぁぁぁん!!!」

アリシアはマナリアの胸の中で大泣きした。

なんて無力なの…私…涼達は何度も私を助けてくれたのに私は…何もしてあげられない…何が王の宝石よ…アレキサンドライトどうして力を出してくれないの!?

「た、大変であります!!」

研究室から慌ててベルが飛び出して来た。

「どうした?嬢ちゃん?」

「ベルちゃん…?」

「何が大変なの?」

「今偵察機を回収したらこんな演説が!であります!!」

ベルは慌てて機械の端末を動かし術式を発動し光のキーボードをいじり画面を展開し先程とった映像を流す。

「嬢ちゃん…まじで凄いな…」

信道は感心した。

信道は錬金術は一流だがコンテナと魔宝石を組み合わせた科学は正直判らないからだ。

「流れたわよ!」

画面に映るはアリシアの従姉妹のアイカだ。

「チンチクリン科学者どうせ見ているのでしょう?」

映像越しでも偉そうだな。

「アイカ…様…」

「チンチクリンじゃないであります!」

「映像に怒ってもしょうがないだろ…」

信道はベルをなだめる。

「見ての通り、サイネリアは制圧しましたわよ!」

おいおい、あいつら国を制圧したのか!?

「まもなく、サイネリアの王の首が飛びますわ、国を解放して欲しいならアリシアと宝石獣達を明け渡しなさい!でないと街は廃墟と化しますわよ!」

なっ!?

あの女は…本当にいつもいつも…さすがの信道も頭にきた。

「明日の正午まで待ちますわ!でわ、よい返事をお待ちしてますわ!ちゅ!」

アリシアは投げキッスをすると映像は切れた。

「くっ!」

アリシアは泣きながら壁に八つ当たりをする。痛い…こんな痛み…無力感に比べたら。

「なんてアバズレでありますか!!爆弾落としてやるであります!!」

「落ち着け!奴らにあの黒い武器がある限り勝ち目はない!」

「でも!あんな鬼畜な方法!」

「我が姪ながら情け無い…」

マナリアからみてアイカは遠い姪で彼女は大大叔母さんに当たるようなものだ。あれが自分の子孫の1人と思うと流石に情け無い。

「しかし、街一つ人質か…」

「条件を飲むなんて絶対に無理であります!」

「何とかしてアイカを黙らせないと…」

だな、確かに策を練らないと真面目な姫様だから絶対に自分を犠牲にしようとする筈だ。

「みんなお茶入れたから飲まない?」

アリシア姫がお茶を入れて信道達に持って来た。

「姫様有難うであります!」

「アリシアちゃんの紅茶は美味しいからね!」

「確かに俺も振舞ってもらったな!フルーツケーキと一緒に。ん…美味いな!」

姫様は紅茶が趣味だ。腕前は中々のものだ。

「姫様、美味しいでありま…す…!?」

あれ?目眩かするであります…

「アリシア…ちゃん…まさか…」

紅茶に薬を…もった…の…!?

「姫様…まさか…よせ…」

頭が…意識が…飛んでいく…姫…様…行くな…

「ごめんなさい…」

信道達の意識はそこで途切れた。

「ティラ…?」

姫!何処に行く?

ルビティラがむくりと起き上がり馬車を出たアリシアを追いかける。

「ルビティラちゃん…はい!お夜食!」

「ティラ!」

わーケーキ!ルビティラは一口で丸呑みした。

「ティラ!」

うんまーい!…眠い💤

ルビティラはばたりと倒れて眠ってしまった。

「みんな…ごめんなさい…」

アリシアはサイネリアに向かう。

みんなに迷惑をかける訳には行かないわ!

話し合ってみるわアイカ様と!

アリシアは決意を改め闇の中へ消えていった。

:

「う…う…ん…ここは?」

涼は目を覚ました。

目の前は見慣れた秘密基地の天井だった。

身体がだいぶ楽になってる、賢者様が魔法をかけてくれたんだろ。

他のみんなはまだ目を覚ましていない。

のぶさんは朝早いから起きてるだろ。

「のぶさんおはよう…!?」

目の前で信道達が倒れている。

「のぶさん!ベル!賢者様!」

俺は駆け寄りのぶさん達を揺する。

「オイ!のぶさん!のぶさん!」

「ん…涼…目が覚めたか?」

「ああ、何があったんだ?」

「姫様が…俺達に薬をもりやがった…あの女の元に一人で…」

なんだって!?

あの姫さんは!無茶しやがって!

俺はのぶさんをソファーに運ぶと急いで姫様を追いかける。

「涼…待て!」

くそ!まだ痺れが取れねえ!

涼…死ぬんじゃないぞ!

「ルビティラ!」

「ティラ…?」

何だよ…?寝ぼけてる場合か!!

「姫様が一人でサイネリアに向かっちまった!俺達も追いかけるぞ!」

「ティラ!?」

なんだと!?声を上げるルビティラ。

「ティラ!」

乗れ涼!急ぐぞ!

「頼んだルビティラ!」

「待ちたまえ!」

ん?

俺の背後に突然現れた魔王軍の幹部でベルの兄 アッシュベル。

「お前は!何でここに!!」

「ウガァァァ!」

コイツっ!!牙を剥き出しにし構えるルビティラ。

「待って下さいよ!僕はただ君に用があるだけですよ」

「俺に用だと?」

「剣を下ろして下さいよ!先代勇者が何故強くなったのと、彼らを止める方法を教えに来ただけですから!」

「ティラ!」

テメェの話なんか聞くか!と警戒するルビティラ。

「待てルビティラ!話をきかせろや!」

「懐が広い事!さすが勇者様!彼らは僕の新発明を使いあれだけの力を手に入れたんですよ!」

「新発明?あの黒い奴か?」

「ええ!ハザードシリーズです!」

「ハザードシリーズ…?」

「そして、コレが最初に作った彼らの物よりパワーが上の試作品」

アッシュベルは懐から掌に収まるプッシュがついた黒いアタッチメントを取り出した。

「バーサークグリップ!」


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