第39話 ハザードシリーズ
響き渡る凄い金属音。
ここは魔王軍の本部の研究室。そう、ベルの兄アッシュベルの務めている研究チームの本部。
「博士、出来ましたの?」
「アイカ様に勇者様方!出来上がりましたよ!」
アッシュベルは黒い宝石が取り付けられた剣の鍔の先に取り付けるアタッチメントを渡す。
「随分小さいですね?」
「これが奴らを潰せる秘密兵器なのか?」
「俄かには信じられないな…」
「博士本当に大丈夫なの?」
この小さいアタッチメントが奴らの息の根を止める事ができる発明なのか?
「大丈夫ですよ!データも取れて大量の材料も手に入りましたから!自身を持ってオススメしますよ。この、ハザードシリーズを!」
:
サイネリア国から秘密基地の馬車まで空間ジュエルを使い馬車の冷蔵庫に繋げると俺達は賢者マナリアを連れて秘密基地に戻ってきた。
「ワニ!」
マナリア!嬉しそうに飛びつくワニ爺。
「デイノ!」
マナリアもワニ爺を抱きしめた。
デイノ?ああ、ワニ爺の前の呼び名か。
ディノスクスって名前が本名だしな。
「デイノ!久しぶりね!元気にしてた!」
「ワニ!!」
勿論じゃ!お主も生きていてくれたか!
ワニ爺が泣いてるよ。
「ワニ爺良かったな!」
「ワニ爺?」
「ワニ!」
この鼻垂れが勝手につけたのだ!本意ではないのだ!!必死に訴えるワニ爺。
「ふふ、前より明るくなったわね!ワニ爺さん」
「ワニ!」
マナリアまで!オイ鼻垂れ!貴様のせいじゃ噛んでやる!て本当に噛み付いてくるなよワニ爺!
「やめろワニ爺!」
「ワニ!」
問答無用じゃあ!ワニ爺が俺の尻に噛み付いこうとした。
「こら!ワニ爺さん!噛んじゃダメよ!」
間一髪でマナリアさんが止めてくれた。
「ワニ!」
だが威厳が!
「デイノ!止めないと干物よ!」
「わ…ワニ…」
は、はい…アレ?ワニ爺どうした??
ワニ爺はそそくさと逃げていった。一体過去に何をされたんだ?ワニ爺の奴。
「改めてまして現勇者の皆さん!私はマナリア=セシリーです!」
この娘が先代の勇者様?マジで一体どうなってんだ?
「あの、失礼なんですがお歳は?」
ストレートだなコハク!!
「私?18歳よ!」
嘘つけ!嘘つけ!!
絶対に嘘だ!魔法かなんかで誤魔化してんだ。
「ですが、先代の勇者は皆100年前の人物と言う話を我輩達は聞いたのですが!」
「ああ、私…呪かかってるの…」
「は?呪い?」
「初代魔王に年齢操作の呪いをかけられて、それ以来人との歳の取り方が変わって、私は100年に1歳、歳をとるの…」
年齢操作の呪い!?
つまり、100年経たないと歳をとらないと。
マジかよ!永遠に若いじゃん!
「でも若い姿でずっといられるなら、別に悪い呪いじゃ!」
「好きな人と歳をとれないって…地獄なんだよ…友達も親もみんな無くなって私だけ取り残されて孫まで私より年上でもう居ない…こんな生き地獄…耐えられない…」
マナリアは涙をボロボロ流す。
確かに愛した人と最後を迎える事が出来なくなる…それは知ってる人が皆自分より先にいなくなり取り残され、またそれを繰り返して生きていく。確かにそんなの悲し過ぎる。
「孫いるんだ…」
いや突っ込む所違うぞ。
「それお母様よ」
「え…今何て言った?」
「だから、マナリア様の孫は私のお母様よ!ガネット女王様」
え…賢者マナリアの孫がアリシア姫の母親でつまりアリシア姫は…
「ひ孫!!姫さんは賢者さんのひ孫なのか!?」
「言ってなかったっけ?私のひいお祖母様が賢者マナリア様なのよ」
18歳でひ孫持ち…こんな設定あるのかよ??
「もう、アリシアちゃん!おばあちゃんって言わないでよ!」
「マナリア様私貴女のひ孫よ!いい加減受け入れてほしいわよ」
「いや!ひ孫なんてせめて妹!妹にして!まだおばあちゃんはイヤ!」
オイ…呪いで歳とらないの嫌じゃなかったのかよ?天邪鬼な賢者だな。
いや歳はとるか…換算したら…
言わないでー!!回想シーンに紛れてくんな!
「おほん、話がズレたわ!マナリア様を賢者と見てお願いがあってきたのよ!」
「お願い?」
「この人達にホウキュウジャーの先生になってほしいの!」
「せ、先生?私が?」
「身内の頼みを聞いて下さい!賢者様!」
アリシアが頭を下げる。
「あ、頭を上げてアリシアちゃん!王族が頭を下げないで!」
「貴女は私の家族です!大好きなひいお祖母様です!」
アリシアは頭を上げない。
ここまでして頼むなんて、よっぽど凄い人なんだなこの人は!
涼も土下座をする。
「涼!?」
「姫さんだけにはさせられねぇ!賢者様俺達を鍛えてくれ!この通りだ!」
「賢者マナリア!僕たちを鍛えて下さい」
「私達今のままじゃ駄目なんです」
「我輩何でもやりますぞ!」
「頭は無いが頭を下げる頼む!」
みんな頭を下げる。
「のぶさん…」
「大丈夫だよ。爺さんはあの人は本当に優しい人だと教えてくれたからな」
「どうやら、噂通りの人達みたいね」
マナリアは立ち上がる。
「いいですよ!貴方達の先輩として色々教えてあげます!」
「賢者様!」
「お祖母様!」
マナリアはアリシアの頬を引っ張る。
「ただし、お祖母様は無しね💢」
「いたいたいたいたい!!」
うわあ…笑いながら怒ってるよ…マジ怖い…
「アーアーアーアー!」
ゴルーケンが騒いでいる。
これは魔人族が現れたか!
「イカちゃん、何処?」
「くーくー!」
サイネリア国内です!と教えてくれるイカちゃん。本当にいい子だ!
は!?目と鼻の先だと?
「たく、まだ眠いってのにも〜みんな行くぜ!」
俺達は馬車の冷蔵庫を潜ってサイネリアの広場に出た。
「出てこい勇者共!さもないと死人が増えるぞ!」
「オイ!芋鼻!」
「誰が芋鼻だ!」
つかなんだあの怪人は?芋鼻がついてまるでゴブリンだ!!いやゴブリンに失礼かな。
「好き勝手に暴れやがって!」
「不細工な面は他で見せびらかせ!」
「五月蝿い!顔は言うな!!」
「悪人ヅラよりはいいだろうが!みんな行くぜ!」
涼達は宝救剣を信道は宝救丁とチェンジエッグを取り出すとチェンジストーンを剣にはめ信道はチェンジストーンに入れてボタンを押す。
レッド!ザ!宝救武装!
ブルー!ザ!宝救武装!
ブラック!ザ!宝救武装!
グリーン!ザ!宝救武装!
ピンク!ザ!宝救武装!
へい!とりあえずゴールド一丁!
「「「「「宝救武装!」」」」」
「乾杯!」
剣から各カラーの光が飛び出し体に纏い鎧を形成し装着し最後に各パートナーを模したヘルメットを被り変身完了する!
「情熱のルビー!ホウキュウレッド!」
「激突のオニキス!ホウキュウブラック!」
「揺蕩うアクアマリン!ホウキュウブルー!」
「疾風のエメラルド!ホウキュウグリーン!」
「輝きのピンクダイヤ!ホウキュウピンク!」
「一金提供!ホウキュウゴールド!見参!」
「「「「「「勇気の宝石を身に纏い!」」」」」」
「宝石戦隊!」
「「「「「「ホウキュウジャー」」」」」」
名乗りを終えると花火が上がる。
「今の勇者って派手なんだね…」
「アレは涼の趣味です…」
なんだか恥ずかしくなってきちゃった。
「カッコつけてんじゃねぇぞ!」
「芋鼻野郎!今倒してやるぜ!」
俺達が剣を構えた時。
「まちな!」
上から声が聞こえて来たので向いてみると、先代の勇者達が現れて俺達の前に降りて来た。
「先代の馬鹿勇者」
「勇者様達!何故ここに?」
「悪いな俺達もコイツらに用があってな!」
カズ達はそう言うと凶宝剣の鍔に黒い宝石がついたアタッチメントを取り付けた。
「それは?」
「これは、貴方達を懲らしめる為の僕たちの新しい力です!」
「まあ、野郎はデリートするが女の子は怪我させないようにはするぜ!」
「無駄話はよせ!行くぞ!」
カズ達はアタッチメントを掴み上に引くさながらポンプアクションだな。
デリートタイム!
なんだこの五月蝿い音声は?
すると剣から凶々しい黒い煙とバチバチと黒い花火が上がって先代の勇者達に纏い始めた。
「「「ハザードチェンジ!」」」
ガッチャク!と鳴り響く音声!
処刑タイム!
凄い!科学!勇者!ハンターズ!危険!危険!デンジャーラース!サイコーー!
うわ、五月蝿いなんだこの特撮感丸出しの趣味悪い音声は!?この音声に合わせてスーツ鎧にマスクが構築され身にまとう。
この音声が終わるとハンターズの姿が黒く凶々しくあからさまに普通じゃない力をバチバチに出して変身した。
「「「我らハンターズ・ビヨンド!」」」
3人の姿は黒いスーツに鎧にマスクととにかく黒い。
「何だアレは?」
「黒くなった??」
「前とはあからさまに」
「違いますぞ…」
涼達も彼らの変貌ぶりに驚く。
「勇者様!ここは俺が!」
「お前…邪魔」
カズはゴブリン怪人の腹を殴り吹っ飛ばした。
明らかに尋常じゃない所まで吹っ飛んだぞ!
見かけだけじゃない!?
「あ、アレは…」
「三人共…まだ」
「そんな馬鹿なであります…」
後からやって来たベルは目を疑う。
「何すんですか?勇者様」
「お前が邪魔なんだよ!」
カイトは黒い槍を取り出す。
マッサスピアー!血祭りタイム!
ゴブリン怪人はカイトの槍で一瞬で体を引き裂かれ血の雨を流す。
その後も容赦なく怪人を斬りまくるカイト。
「カイトさん僕にも!」
シュンサアーチェリー!蜂の巣タイム!
カイトが槍を刺したままアインに投げた。
「それ!」
アインの放った弓が無数に分離し雨のように怪人に刺さりまくる。酷い光景だ。
「ラストは貰うぞ!」
ブッコブレード!ぶっ殺タイム!
カズはもはや虫の息のゴブリン怪人を容赦なく斬りにかかる。
「くたばれ!豚鼻!!」
判決!死刑!ハイ終わり!!
趣味の悪い音楽が流れながらゴブリン怪人は跡形もなく斬り裂かれ破裂し爆死した。
「嘘だろ…仲間を平気で…」
涼は目の前の酷い光景が直視できない。
「どうだ?俺達の新しい力は!」
「これは貴方達も死が決まりましたね!」
「あははは!さあ、こいよ!直ぐに消してやるからよ!」
先代勇者達は何だかおかしい…まるで殺しを楽しむ様に味方を消してしまった。
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