第37話 勝利と思い知られる残酷…

ヴァンデストと俺達は剣を振りかざし激しくぶつけ合い火花を散らしている。

以前とは明らかに変身している時の感じが変わっている!

体は以前より軽く視界もよりクリアでハッキリ見える上にパワーも上がっている。

「おら!」

俺はヴァンデストの攻撃を初めてかわすと宝救剣をヴァンデストに叩きつけて斬り裂いた。

「何だ!?以前とは違う?俺が攻撃を受けるなんて?どういう事だ?」

「俺達は本当の意味で繋がり信頼を得たんだ!」

「信頼だと?」

「宝石獣達との更なる繋がりを得た俺達は昨日とは違うんだよ!」

リアとコハクは剣を構えてヴァンデストに突っ込んでいく。

「しゃらくせえ!」

カキン!

コハクはヴァンデストの剣をトリケラキャノンで受け止めた。

リアはすかさずヴァンデストの懐にパキケファログローブをお見舞いした。

「ぐはっ!?」

ヴァンデストはモロにくらい少し後ろに下がり膝をついた。

「この力は!?いったい?何故俺にダメージが!?」

ヴァンデストはまるで理解出来ない。

何故昨日は圧倒した相手に今度は動きを見切られてしまっている。

「ありえねぇっ!俺は魔王だっ!」

ヴァンデストは一瞬で消えた。

凄まじい速さで消えた様にみえたのだ。

「今の我輩達なら!」

「見えるんだよな!」

ルーガルが紙一重で見えない一撃をラプトルバンカーで受け止めた。

「昨日のお返しだ!」

ルーガルはステゴアーチェリー爪モードにしてヴァンデストの腹に刺してそのまま爪からエネルギー弾を放ち爆発させる。

ヴァンデストは吹っ飛ばされ床に転がる。

「おお!カイエン殿新しい技ですな!」

「エネルギーの爪なんて初めてだ!」

そう、ステゴアーチェリーに爪のエネルギーが展開するスキルはさっきマスクにアイコンが現れ初めて使ったのだ。

きっとオニステ達との繋がりが強くなったから出たのだろう。

「我輩も!」

ルーガルはラプトルバンカーを槍モードにしその刃先が飛び出してヴァンデストに伸びていく。鎖付きの仕込みがあったのだ!

「うわ!」

伸びてきた槍の刃先がヴァンデストの左手を引き裂き、鎖は勢いよく戻り槍の刃は先に再び収まる。

「これは練習が必要ですな!」

反動でルーガルも少しよろけた。

「すげぇな!ルーガル!」

「貴様ら!」

ヴァンデストは飛び上がり両手から黒炎を放つ。

ルーガルとカイエンはかわす。

「次は俺だ!」

信道は宝救丁からビームの刃を伸ばし片手には濁酒銃を構えヴァンデストに放つ。

「酒なんか効くか!」

「冷酒一撃!」

「なにっ!?」

濁酒銃から氷のエネルギーが放たれヴァンデストの翼に当たり一瞬で凍りつきヴァンデストはバランスを崩して地面に落ちた。

ヴァンデストは着地する。すかさずヴァンデストに信道とコハク達が宝救剣を降りかざす。

「ちっ!多勢に無勢とは!」

「魔王にはいいハンデだろ!」

ヴァンデストは魔王だけあり全ての攻撃を交わしながら受け止めて反撃する。

しかし、コハク達もそれを受け止めて剣を打ち返している。

「俺も行くぜ!」

涼はガッチ・ランクアップをとりだし宝救剣を合体させた。

ガッチリアップ!

涼はレバーを上に二回動かして真ん中に固定して中心の人口宝石を押す。

アップ!アップ!アップ!ガッチランクアップ!フレイム!熱すぎ!

宝救剣から赤い炎の様なエネルギーが飛び出して涼の体に纏いガーネットで出来た炎のディテールが入った鎧をまとい赤いマントを羽織るとルビティラを模したマスクを装着し変身完了した。

「ホウキュウレッド・ランクアップ!」

涼は変身を終え決めポーズ!

やる意味あんのか??

「行くぜ!ヴァンデスト!」

涼の足から炎が吹き出して勢いよく飛び上がりヴァンデストに斬りかかる。

「ほざけ!赤いの!」

ヴァンデストは体から黒いオーラを放ち信道達を吹き飛ばした。翼の氷も弾き飛び飛び上がり涼に剣を振りかざす。

2人の剣が激しくぶつかり合い炎が吹き出してお互い力一杯ぶつかる。

「ヴァンデスト!俺は絶対にお前を許さねぇっ!!」

「人間ごとに許される筋合いはないわっ!」

違い剣が弾き飛び2人は距離をとる。

涼はそのまま右にレバーを2回引き真ん中で止めて宝石を押す。

涼はそのまま走る。

アップ!アップ!アップガッチランクアップ!ウォーター!濡れすぎ!

剣を降りかざすと同時にホウキュウレッドは青くなる。

剣から水の刃が放たれた。

ヴァンデストは水の刃で腹を引き裂かれ血が吹き出す。

「俺に血を流させるなんてな…赤いの俺と互角になったわけか!ああっ!!」

ヴァンデストは叫ぶと消えた。

「音速の世界は俺も行けるぜ!」

涼はレバーを左に二回動かし真ん中で止め中心の宝石を押しすと走り出し涼も消えた。

アップ!アップ!アップ!ガッチランクアップ!ウインドウ!吹き過ぎ!

緑色になりプロテクターが外れ分かれたマントが翼の様に見える。

音速の世界では涼はティラノファングを片手にヴァンデストと激しい肉弾戦を繰り広げている。

「このスピードに余裕でついてくるとはな!中々やるじゃねぇか、赤いの!」

「アンタもな!」

涼達は一旦離れる。

違いにすべるように着地し剣に持ち変え2人は突っ込んで行く。

涼は走りながらレバーを下に二回動かして真ん中で止め宝石を押す。

アップ!アップ!アップ!ガッチランクアップ!ランド!育ちすぎ!

ホウキュウレッドは黄色くなると体に固そうなプロテクターが追加され肩あてとガントレットが装着された。

「「おら!」」

互いに一歩も譲らない。

純粋な力比べが繰り広げられる。

涼とヴァンデストは互いの両手を掴み力比べをしている。

「正直ここまでやるとはな!」

「負ける訳にはいかないんだよっ!!」

「惜しいな!赤いの!お前が人間族なんてな!魔人族になりゃ好きに殺しが出来るのによ!」

「俺は人殺しなんかならない!」

魔人族になる?こいつ何を言ってるんだ?

「そう言う奴が一番過ちを犯すもんだ!」

「平気で人を殺せる奴と俺達戦隊を一緒にするんじゃねぇっ!」

涼はヴァンデストを力で持ち上げ投げ飛ばした。涼の元へ仲間たちが集う。

「みんな!今度こそトドメだ!」

「「「「「おう!」」」」」

コハク達4人は宝救剣に各宝石をはめ込みグリップを4回引く。信道はチェンジエッグに丸い金塊を入れてボタンを押し裏にし切れ目に宝救丁を当ててスライドさせる。

涼は赤い姿に戻るとレバーを上下左右に動かし真ん中で止め宝石を押し剣の持ち手のグリップを4回引く。

六人の剣が光り輝く。

アップ!アップ!アップ!ガッチランクアップ!ラスト!盛りすぎじゃあ!

「「「「「宝救剣!」」」」」

「宝救丁!」

「「「「「「スーパーカラットフィニッシュ!」」」」」」

六人の剣から六色の恐竜のエネルギーが放たれヴァンデストに向かっていく。

「くっ!」

ヴァンデストは魔剣で攻撃を防ぐ。

しかし、涼達の攻撃はヴァンデストの予想を上回るパワーで魔剣を砕きヴァンデストを貫いた。

「へ…第1ラウンドは…勝ちをやるよ…」

ヴァンデストはそう言うと倒れ爆死した。

しかし…

すぐさま巨大化し復活した。

塔の中で復活したため天井を貫き外へ出た。

涼達も飛び降り地面に着地した。

「さあ、第2ラウンドと行こうじゃないか!」

「望むところだ!ルビティラっ!」

「ティラ!」

待ちくたびれたぜ!とルビティラと他の宝石獣達が巨大化し駆けつけた。

「みんな!行くぜ、宝石合体!」

宝石獣達は光だしバラけるとルビティラ達は三体の宝石巨人に合体し涼達をコックピットへ転送した。

「「「完成!ホウキュウオー!」」」

「「完成!ゲーターオー!」」

「上がったぜ!エンカイオー!」

宝石巨人三体が揃う。

「材料ごときが勝てると思うな!」

ヴァンデストが魔剣を振り回す。

ホウキュウオーはパッキーの頭で受け止めて弾き、ゲーターオーは槍で弾き、エンカイオーがイカ大剣を降りかざすが魔剣のパワーに押されて三体は吹き飛ばされた。

「うわ!」

「巨大化してパワー上がってないか?」

「上がってると思います!」

「どうしますかね?」

「あわてんな、俺達もまだこれからだ!」

「みんな!ちょい提案だ!」

信道が涼達に提案を伝えた。

「こないのか?こちらから行くぞ!」

ヴァンデストは魔剣からエネルギーの刃を放つ。ホウキュウオー達は受ける寸前にバラけて交わした。

宝石獣達は再び合体を始めた。

ルビティラはパッキーとアンキロを両手に合体させた姿になる。これは一度は嫌がった形態だ。更にそこにゴルーケンが合体し飛び上がる。コックピットに信道も転送された。

「完成!ホウキュオーボクサー+イカロス!」

「途中で合体を変えただと!?」

「涼達だけじゃないぜ!」

ゲーターオーも右にラルトル左にマリケラをカブトの頭を兜にしイカちゃんはステゴの背中が持ち手に張り付いた巨大な刀になった。

ステゴの体はゲーターオーの両足につき下駄みたいになってる。ワニ爺の頭は胸についている。コハクもコックピットに乗り込む。

「「「完成!侍ゲーターオー!」」」

侍!?兜じゃないんかい!

「ころころ変わるんじゃねえ!」

ヴァンデストの魔剣を侍ゲーターオーのイカ大太刀が受け止めて弾く。

「のぶの言う通りだったな!」

「数で駄目なら」

「力を合わせればいい!」

侍ゲーターオーはイカ大太刀でヴァンデストの体を斬り裂いた。

「くっついただけで何でこんな!」

「まだ判らないのかよ!」

ホウキュウオーも上空からパッキーとアンキロのダブルダイヤモンドで連続パンチをお見舞いした。

「ぐわっ!」

ヴァンデストは吹っ飛ばされた。

「仲間の力を合わせれば、いくらでも強くなるからだ!」

「仲間だと!?」

理解出来ない弱い存在にどうしてこんな力が?魔人族でもないあいつらに??

「仲間が居ないお前はもう強くなれない!超宝石合体!」

宝石獣達は再びバラけると集まり、エンカイオーに再び合体し、ホウキュウオーとゲーターオーは更に合体しゲーターホウキュウオーになった。5人はコックピットに集まる。

「完成!ゲーターホウキュウオー!」

「みんな、キメるぜ!」

ゲーターホウキュウオーはバスターソードをエンカイオーはイカ大剣を構える。

剣にエネルギーが溜まっていく。

「エンカイオー!ダイオウイカ一閃!」

「「「「「ゲーターホウキュウオー!バスターソード!」」」」」

二体の宝石巨人は同時に剣を降りかざす。

ヴァンデストは魔剣で受け止めるがまたも力が勝り魔剣は砕け散りヴァンデストは一刀両断された。

「仲間…か…人間族も…やるじゃ…いか…」

ヴァンデストは倒れ爆死した。

「やったーー!!」

「魔王に勝ったぞ!」

「俺達やったんだ!」

「ええ、私達やったんですね!」

「俺達やったぞー!」

「ああ、みんなお疲れさん!」

涼達は魔王ヴァンデストを倒した。

ヴァンデストが倒されるとカイアナスの港町は元に戻っていった。

俺達は街の入り口で止まっている馬車に向かって走っている。

「姫さん!俺達、魔王を倒したぞ!」

しかしアリシア姫とベルは立ち尽くしたまま。

「姫さん?ベル?」

「どうしたんだ!姫様?」

信道が訪ねると、振り返るアリシア姫は涙を流していた。これは嬉し泣きではない。

よく見ると街の人達は誰一人として起きておらず、皆倒れたままだ。

「これは…いったい?」

「涼…みんな…目を覚まさないの…」

アリシアはぼろぼろと涙を流す。

「街の人達…目を覚まさないであります…」

なんだと…!?

「嘘だろ…死んでる…!?」

カイエンの顔が真っ青になる。

何でだよ?魔王を倒したんだぞ!何でみんな元に戻ってないんだよ!

「魔宝石は抜かれたらもう戻らないんだよ!」

俺達の目の前に先代の勇者とアイカそして、倒したはずのヴァンデストが居た。

「お前らっ!」

「ヴァンデスト??さっき俺達が倒したはずだ!」

間違いなく俺達がこの手で倒したはずだ!

「アレはレプリカといってNPCをそっくりにして作った偽物で遠隔操作ができるんですよ!」

アインが馬鹿丁寧に説明した。

つまり、あれは偽物!?

「言っただろ、いずれ過ちを犯すとな!赤いのお前は人殺しをしたんだよっ!」

「俺が…人を殺した…」

涼はショックのあまり腰が抜けてしまい座り込む。

「そうですわ!偽勇者は人殺しなんですわ!この悪魔!」

「まあNPCでイベントが終われば元に戻るだけ良かったな!」

「まあ、戦隊ごっこもゲームだから良かったものを、リアルならお前はただの殺人だ!」

こいつら…涼がどんな思いで闘っていたかもしらないで、お前らがけしかけた事なのを悪いと思わないのかよ!

「それはお前だろうがっ!」

「貴様らっ!!!」

「どこまで外道な!」

「お前らいずれ死神が迎えに来るぞ!」

「貴方達は最低です!」

「この馬鹿勇者!謝るであります!」

全くだ。

「ちんちくりん科学者が裏切り者のクセに!」

「チビ言うな!厚化粧!!」

激怒するベル。

「何ですってまな板!」

「アイカ相手にすんなって僻んでるんだよあの子供は!君のスタイルの良さに」

カイトは何げに失礼な事を言っている。

「ムキィ!女の敵であります!ぶっころであります!」

ベルは懐からロケットランチャーをぶっ放そうとする。

「やめないか!」

カイエンはベルを捕まえて吊るす。

「首なしこそ止めるであります!」

名前で呼べよ!

「行くぞ馬鹿が移りそうだ…」

「ですね、カイトさん行きますよ」

「オイ待てって!」

「お待ち下さい」

「赤いのまた会おうや!」

カイト達は何処かへ消えた。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る