第36話 強くなるには!

「ちっ!逃げたか!」

煙が晴れるとそこには涼達の姿は無かった。

穴がある?彼処からにげたのか?

「まあ、いいキャッチリリースって奴だな、奴らは必ずここに戻ってくる」

ヴァンデストは確信している涼達が必ずここに戻って来ることを…

:

ルビティラはカイアナスから離れた村に涼達を運んだ。

「いててて…」

涼は包帯でぐるぐる巻きにされベッドで横になっている。

他のみんなはアリシア姫が冷蔵庫を通ってガネットへ連れて行き医者へ見せに行ったのだ。

「大丈夫でありますか?涼さん?」

「なんとか…」

正直身体中悲鳴を上げてるいるが。

「いや、大丈夫じゃないだろ!」

「のぶさん?」

「のぶ一体なんでありますか?」

信道が難しい顔して涼の元へ行き座り込む。

「あの強化アイテムを調べてみたんだが、アレはもう使わない方がいい」

「え!?」

「何を言ってるでありますか!私の発明品は完璧でありますよ!」

「いや完璧じゃない!使う人間の魔宝石の力を無理矢理底上げする代物なんか!」

どういう事だ?

「それは…兄様に勝つ為に…」

「だがな、嬢ちゃん。魔宝石を無理矢理解放したら負担はかなりのし掛かるんだぞ!」

「なんの話をさっきからしてんだ?」

涼は2人に聞いた。

「調べたら、あのパワーアップアイテムは使用者の魔宝石を無理矢理底上げしてパワーアップする諸刃の剣だってわかったんだ!」

「諸刃の剣?」

「ようは長く使うとお前は変身出来なくなるかもしれないんだよ!」

は?変身出来なくなる??

信道の言葉で俺ははっとなる。

「魔宝石が砕けたらお前は変身出来なくなるだけじゃ済まない。下手したら死ぬんだぞ!」

「ベル?どういう事なんだ?」

「あのアイテムは…使う人間の魔宝石の力を一時的に爆発的に底上げして潜在能力を高めるんであります…ただ、かかる負担がその分多く二回使うだけで使用者はボロボロになってしまうんであります…」

つまり力の根源を無理矢理強くする代わりに身体は一気にダメージを受けるってことか。

「チェンジストーン無しで変身だから兵器を防具無しで使うようなもんだ!そりゃ身体に莫大な負担がのし掛かるだろ。何でそんなアイテムにしたんだ?」

「兄様に勝ちたかったからであります…」

「でもなそれで涼が変身出来なくなったら…」

「もういいよ、のぶさん!」

「涼!わかってるのか?力が足りないから無理矢理引き出して使い自滅するかもしれない!そんな道具を使ってるんだぞ!」

確かにこのままガッチ・ランクアップを使い続けるたら信道のいうとおりになるかもしれない。

でも…

「これがあったから上級魔人族にも、魔王とも戦えたんだ!ベルには感謝しかないよ!」

「涼さん…ごめんなさいであります…」

「謝る事なんかないぜ!ベルお前の発明のおかげでみんなこうして生きてるんだ!だから胸を張れ!」

涼は笑いながらベルの頭をくしゃくしゃする。

「涼さん!」

「だがな、涼今のお前がまたアレを使うと危険なんだぞ!」

「ならもっと強くなるしかないな!」

「簡単に言うな!魔宝石の力を高めるのは一朝一夕で出来る事じゃない!」

信道は語る。

魔宝石とはこの世界の人間がもつ魂の宝石。

それを磨き上げ鍛錬したものは術を会得したり気を操ったりと様々な力に変わる力の根源。それは己の心を磨き上げる事で力を増し方向性が違えば善にも悪にも変わる。

「俺は爺さんから教わっり長い間修行したが、お前達は基礎すら出来ないまま力を使い続けて変な癖がついて剣の力を出しきれてない!」

だから俺たちとのぶさんの強さの違いはそれだったのか。信道は先代の勇者である祖父から学びこれまで修行したのに対し、涼達は我流でこれまで戦い殆ど宝救剣の性能に任せっきりで根本的な基礎がないからムラがやたらとあるのだ。

「だからあのパワーアップアイテムを使うと負担がデカイんだ!」

「のぶさん、力が上がれば負担が減るって事だろ!」

「まあ、確かに魔宝石の力が上がればアイテムを使っても疲れるくらいで済むと思うが…」

正直俺もよくわかってないからな…

「ベル。そうなんだな?」

「ええ、力が上がればガッチ・ランクアップをより安全に使えるであります!今の涼さんの力量では二回使うだけで血だらけであります」

「なら少しでも俺自身が強くならないと!」

涼は起き上がり上着を着る。

「お前どこ行くんだ?」

「走ってくる!何事も体力だろ!」

「馬鹿!その身体で何言ってんだ!」

「じゃあ、どうすれば一刻も早くコイツを上手く使える様になるってんだ!」

涼はガッチ・ランクアップを取り出す。

「だから魔宝石は時間をかけて上げる物だから今からやっても意味はないんだ!」

「じゃあ何か方法ないのかよ!?」

「ある訳ないだろ!!」

「ワニ!」

いやあるぞい!は?今何て言った?

「ワニ爺!本当か?」

「ワニ!」

ああ!勿論ある勇者だけの方法がな!

「マジかよ!ワニ爺教えてくれ!」

「僕達にも教えてよ!」

涼が振り向くと戻ってきた皆んなが居た。

「みんな!大丈夫か?」

「当たり前だ!」

「我輩達は不死身ですぞ!」

「デュラハンが死ぬかよ!」

「で、ワニ爺さん!私達が今以上に強くなる方法があるんですよね?」

「ワニ爺!教えてあげて!」

「みんなちょっと待て!」

のぶは待ったをかける。

「いくら魔王に負けたからって事を急いでもしょうがないだろ!引くのもまた勇気だぞ!」

「のぶさん、俺達は急がないとならないんだんよ!」

「死に急ぐような事をするなと言ってるだけだ!仲間だから…俺は…」

「のぶ、僕達は大丈夫だ!」

「我輩達は前に進まねばならないんですよのぶ殿!」

「このままってのは癪に触るからな!一発あの野郎を殴りたいしな!」

「モタモタしてたら、また犠牲者がでます!」

お前ら…そんなに…

「仲間として信じてくれよ!のぶさん!」

「信道!追いつかれるのが怖い訳?」

たく、姫様までからかうなよ…

「…たく…戦隊ってやつは…」

「可能性かあるなら試しそして勝つ!これも戦隊だ!」

戦隊とは何とも馬鹿ばかり…まあ、こんな奴らだから俺も仲間になったんだよな。しゃあない信じるしかないか。

「で、ワニ爺どうするんだ?」

「ワニ!」

その方法は!

「その方法は?」

「ワニ!」

その方法は!早く言えよ!

「ワニ!」

宝石獣達と戯れる事だ!

……は?

「ワニ爺…俺達をからかってんのか?」

「ワニ!」

断じて違う!

「じゃあ何で宝石獣達と戯れる事なんだよ?」

「ワニ!」

それはお前達と宝石獣達の心が真の意味で繋がり絆をより強固にするためだ!

「それで強くなれんのか?」

正直信じられない。そりゃそうだそんな方法で強くなるなら最初からやっている。

「つか、何で今まで言わなかったんだ?」

「ワニ!」

そりゃ人間を完全に信じていなかったからだ!

は?何でだよ!

「信じてないってどうしてだよ?」

「ワニ!」

人間は身勝手だからなワシらの仲間を砕きジャラジャラしたものにしたんだ。仕方がないだろ!

確かに宝石獣達は先代勇者達に滅ぼされた。

魔人族が関与した事とは言え人間もやったんだ信用なくすよなそりゃ…

「ワニ!」

だが、お前達はワシが好きな鼻垂れ達だった!そして今ワシらはお前達を好いている。

ワニ爺の背後には他の宝石獣達が。

「ケラ!」

ご主人!

「パッキー!」

リア様!

「ギャオ!」

蜥蜴野郎!

「テゴ!」

カイエン!

宝石獣達は皆パートナー達の足元へ来ると皆は宝石獣達を抱き上げる。

「ティラ!」

俺も混ぜろ!

ルビティラが入り口から頭を出した。

「ルビティラ!もっと小さくなればいいだろ?」

「ティラ!」

俺はこれ以上小さくなれない…マジかよ不器用なんだな…

「不器用だなお前」

「ティラ!」

ほっとけ!拗ねるなって笑

「ワニ!」

大丈夫そうだな!

ワニ爺は宝石獣達を呼び集めた。

「ワニ!」

鼻垂れ共ワシは此奴らを信じ力を託したいと思うがどう思う?

「ケラ!」

僕は賛成です!

「パッキー!」

リアちゃんの為ならやるよ!

「キロ!」

あたしもいいわよ〜

「ギャオ!」

まだ若干未熟だがムカつきはしないな。

「テゴ〜」

素直にいいって言えばいいのに。

「ギャオ!」

五月蝿いわうすのろ!

「きーきー」

拙者も及ばずながら!

「アーアー!」

「くーくー」

私達も異議なしです!

「ティラ!」

決まりだな!

宝石獣達は涼達に顔を向ける。

「ワニ!」

皆の者!ワシらはお前達と更なる誓いを立てる!これは真の仲間の誓いだ!

「真の仲間の誓い…」

「ティラ!」

俺達の心、お前達に託すぞ!

「ルビティラ!みんな!」

宝石獣達は眩い光を放ち涼達にの心にある魔宝石に更なる光を与え輝きを増す契約を、真の仲間の契約を施した。

:

次の日の朝。

涼達はヴァンデストの城へやって来た。

「オイ、ヴァンデスト!」

「あん?」

扉を蹴り開けた涼は声を上げる。

「またやられに来たか?馬鹿な奴らだ!」

「今度は負けるかよ!昨日の俺達とは違う!」

涼達は宝救剣を信道は宝救丁を取り出す。

宝救剣にはチェンジストーンをはめ込み。信道はチェンジエッグにチェンジストーンをはめ込みスイッチを入れる。

レッド!ザ!宝救武装!

ブルー!ザ!宝救武装!

ピンク!ザ!宝救武装!

グリーン!ザ!宝救武装!

ブラック!ザ!宝救武装!

へい!とりあえずゴールド一丁!

「「「「「宝救武装!(ほうきゅうチェンジ)」」」」」

「乾杯!(プロージット)」

涼達は剣を掲げ、信道は宝救丁の刃とチェンジエッグの裏の切れ目に刃を当てスライドすると、剣から光が吹き出して各自に纏い鎧を形成し最後に各パートナーを模したヘルメットを被り変身完了!

「情熱のルビー!ホウキュウレッド!」

「激突のオニキス!ホウキュウブラック!」

「揺蕩うアクアマリン!ホウキュウブルー!」

「疾風のエメラルド!ホウキュウグリーン!」

「輝きのピンクダイヤモンド!ホウキュウピンク!」

「一金提供!ホウキュウゴールド!見参!」

「「「「「「勇気の宝石を身に纏い!」」」」」」

「宝石戦隊!」

「「「「「「ホウキュウジャー」」」」」」

名乗りを終えると花火が外から打ち上がる。

「カッコつけてないでかかって来いよ!」

「俺達をなめるなよ!」

涼達は剣を引き抜きヴァンデストに向かっていった。

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