No.5 編入生 下

学校も始まり、今日は授業というほどの授業もなく、午前中は大体が科目の説明で終わった。

なぜこんなに進むのが早いのかって?

だって俺の通ってる学校、中高一貫だもん

あれ?言ってなかったっけ?

まぁそんなわけで校舎は中学も高校と同じ校舎なもんで、中学の時となんなら変わってない。

校舎の説明とかいらないだろ?

だから入学式の後、すぐ授業ってわけだ。



とりあえず、午前中の授業が終わってお昼になった。



「青空さん」



「どうした?イセリア?」



「放課後に、校舎の案内をして頂いてもよろしいですか?」

「まだどこに何があるのかわからないもので……」


まぁそりゃそうだろうなぁ

今日来たばっかだもんね

なんか授業の感じ見てて、すごい授業態度いいし、超優等生って感じだったんだよなぁ


俺なんかとはほぼ真逆だなぁ



「あぁ。そんなことか。もともと案内するつもりだったから、大丈夫だよ」

「とりあえず昼休みになったし、お昼食べよ?」

「裕も一緒にお昼どう?」



「俺もいいの?」

「じゃぁご一緒させてもらおうか」

「いいかな?イセリアさん?」



「裕さん、イセリアと、呼び捨てにして頂いて構いませんよ?」

「あと、青空さんがよろしいなら。ご一緒しましょう」



「あ、ごめんね?なんか慣れなくて。女の子を呼び捨てで呼ぶの、なかなかないもんだから」



「まぁそんなこと後でもいいだろ?」

「とりあえず食おうぜ!」

「もう腹ペコ」


ちなみに俺は、腹が減りすぎて三時間目が終わってすぐ少し早弁をしました!


だってさ!?授業中にイセリアにお腹の音聞かれて、笑われたんだよ?

クソ恥ずかしいじゃん!?

めっちゃ顔真っ赤になったわ!?





モグモグ……



「イセリアってもうなんか結構有名人?」



「あ、それ俺も思った」



「いえいえ、そんなことはないと思いますが?」



「じゃぁあの廊下の大群を見ても、同じことが言えるのかね?」



「あの方々は何をしに来たんでしょうか?」



「多分編入生が美少女だって聞いて、昼に見に来たんでしょ〜?」

「多分今後は告白の嵐になるよ。イセリアがモテモテかぁ」



廊下には、イセリアの噂を聞きつけた他クラスの生徒が大勢いた。


イセリアを一目見ると見惚れてしまっている男子生徒が多い。


なんか自分で言って恥ずかしくなってきたな

だって、自分で設計したイセリアを自分で褒めてるのって複雑じゃない?


まぁ今更?って感じだろうけどな



「俺と裕は、今後死んでしまうかも……」



「そうだね。不慮の事故に見せかけた、うちの学校の生徒の犯行」



ガタッ

「では今のうちに処理しておきましょう」



「ちょっと待った。なんでそんなにイセリアは怒ってるの?」



「初めてだったので……」



「イセリアさん!?そこで顔を赤らめないで!?」

「すごく変な誤解されるから!」

「この学校で初めてできた、友達を守ろうとしてくれたんだよね?」



「ちょっとおふざけが過ぎましたね」



「じゃぁなんでそんなに不満そうな顔をしてらっしゃるのかな?」



「気のせいではないでしょうか?」



「まぁそうゆうことにしておくよ」




後で、家で吐いてもらおうではないか!

イッヒッヒッヒッヒ



「青空?なんだかすごく怖い顔してるよ?」



「すまん。考え事してたんだ」



「深入りはしないでおくよ」



キーンコーンカーンコーン



「予鈴じゃん。早く片付けようぜ」



予鈴の音を聞いたからなのか、廊下にいた大群はいなくなっていた。




授業も終わり、放課後に案内すると約束をしていたので、イセリアとの待ち合わせ場所である、昇降口に向かっていた。



「お、イセリア。待った?」



「えぇ、すごく待ちました」



「いやいや、そこは、今来たところですっていうのがお約束なんじゃないの?」



「そんなお約束知りません!」



「まぁいっか。取り敢えず、ココが9階建てなのは知ってるだろ?」



「はい。というか、私はこの校舎の構造、配置などすべて把握済みです」



そんなに有能なんですか……

少しは楽しみにしてたんだけどなぁ

イセリアと2人きりだし、好きな人と2人きりなんて、超憧れるシチュエーションじゃね?

しかも放課後だよ?



「じゃぁなんで?放課後に案内して欲しいって言ったの?」



「能力のことを説明しようかと思ったのと、学校で2人きりってなんだか憧れませんか?」

「マスターなら憧れると思ったのですが」



「俺のためを思ってやってくれたの?」



「まぁ、そうですね」

「でも、私がやりたいからやっているだけですので、私のワガママでもあります」



「なら良いんだけど」



イセリアが俺のことを思ってやってくれた!

しかもイセリアが俺と同じこと考えてたなんて!

やべぇ、すげぇ嬉しいんだけど!?



「ではマスター。私の能力は知っていますよね?」



「圧縮だっけ?」



「そうです。細かな説明は省きますが、私の能力は物でなくても、圧縮ができるようなのです」



「つまり、ドユコト?」



「つまりですね、治癒能力を圧縮して放つこと、時間という概念さえも圧縮して放つことが可能なのです」



「放たれたものに当たるとどうなるの?」



「時間でしたら簡単に言うと、早く動くことができます」

「これはもう自分で試してあります」



それって結構チートじゃね?

あ、多分これ説明してないと思うけど、グローブタイプのデバイスはこれと同じことができる。ただし、ものすごい負荷が心臓にかかるけど



「じゃぁちょっと、俺に打ってみてくれる?」



「了解です」

-リダクション5-



おお、確かに早く動けてる!

なんか周りが遅くなったような感じだ

でもなんだろ、グローブの時みたいに負荷が私のかかってないような…


-オフ-


「ありがとう。負荷がかかってないのはなんでだろ?」



「私の能力は圧縮です。つまりはもともとあるものを、凝縮しています。つまりは、時間を圧縮した場合、周囲にいる人、物は一時的に普段の動くために必要な時間を、奪われることになります」



「簡単にいうと?」



「自分が早くなっているのではなく、周りが遅くなっているのだと思います。私の能力は、5倍まで圧縮することが可能です。つまり、2倍だと周りが2倍遅くなると言った感じです。ですがリダクションを放たれたものや人は、普段と変わらないスピードで動くことができるので、早く見えるというわけですね」



「ほう。じゃぁ治癒の方もいっしょか」



「多分そうではないかと」



やっぱりチートじみてるな!

俺のイセリアさんまじで有能!



「じゃぁ取り敢えず帰ろうか」



「あ、あの……て、手を繋いでも、よろしいですか……?」


ギュッ


「恥ずかしいよね。こうゆうの」

「でもなんで急に?」



「やりたいと思ったからです!」



「そっか!」



なんか俺幸せすぎません?

死んじゃうのかもしれないなぁ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

holder(ホルダー) kopan @kopan

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ