コペルニクス的転回(大麻の合法化が日本に馴染まない理由)

「薬のおかげで自殺や殺人を免れて、真面目に働けている」という人は、世界中を探せばいくらでもいる。

残念ながら、この国ではその主張が通らない。

それを言うと、コペルニクスになってしまうね。


人間は独りでは真っすぐ生きられない……。


この言葉がわかる人は、この国にはほとんどいない。

これがわかれば、「薬のおかげ……」という言葉の意味もわかるだろう。

独りでも真っすぐ生きられる人は、持って生まれた才能(外見・性格・身体的能力・知能指数(IQ))に恵まれた人だけ……、ほとんどの人はそうではない。

日本人は自分さえ良ければ他人がどうなろうが知ったこっちゃない民族だ。

恵まれた環境でヌクヌクと生きてきた被害妄想者と、不幸の背比べをして意地でも勝とうとしたがるクソガキしかいない。

10代から独りで生きた、(才能の無い)私の感覚なんて、誰にもわからない……。


どれほど生きていけない世界か……。


『努力・我慢・行動・ポジティブ・ネガティブ・前向き・後向き・プラス思考・マイナス思考・諦める・諦めない・強い・弱い……』などという薄っぺらい言葉を使って、何でもかんでも自分の力で勝ち得たことにしたがるクソガキしかいないこの国では、私の言葉は通じない。

人間関係ゼロの天涯孤独の私に向かって、『お気楽な一人暮らしをしている奴』『煩わしい人間関係から解放された羨ましい奴』という捉え方しかできない日本人には幻滅する。

元受刑者、元路上生活者、元精神病棟患者……などの肩書が必ず付いてくるこっちの世界の景色を、こいつらが目にすることは無い。


国は『薬は絶対ダメ!』と言う。

それ自体は正しいと思う。

現状では、このまま違法の扱いにしておくべきだと思う。

ただ、これには前提があって、当たり前のように家族がいて、当たり前のように住む家があって、当たり前のように友人がいて、当たり前のように恋愛ができて、当たり前のように結婚ができて、当たり前のように子供がいる、または、そのどれか一つでも叶えられた人を対象にしなければいけない。

統計を見てもわかる通り、こういうクソガキどもが薬をやる理由なんて、理由にもならない薄っぺらいものだ。

『好奇心・興味本位・周りの雰囲気・何となく……』

それだけで7割を超えるのだから驚きだ。

『生きるため……』という答えが無い時点で、こいつらがそれをやる必要はないだろう。

こういうクソガキたちは、国や自治体の言うことをよく聞いて、薬に手を出さないことを希望する。

やる必要の無い人が、薬に手を出して依存症に陥るのだから、ただの自業自得であり、こんな連中が大麻の合法化を訴えるのは、本末転倒である。

ちなみに、国や自治体も正しいことを言っているわけではない。

以前も書いたが、薬、イコール、依存症ではない!

捕まるのは依存症になる奴だけなので、捕まっていない奴がその1000倍・10000倍いる現実を無視しているし、そもそも、ほとんどの人は依存症にならない。

実際の総数は遥かに多い……。


大麻の合法化については、牢屋の中でヤクザの兄ちゃんたちとよく議論した。

彼らは、そういう容疑でそこにいたから、私よりも遥かに詳しい。

まぁ、私からみたら、結局、こいつらも『好奇心・興味本位・周りの雰囲気・何となく……』の枠内の人たちでしかないけど……。

面会者や身元引受人がいる時点では、私からしたらあり得ないし、ただのクソガキとしか映らなかった。

ただ「何があかんの?」という部分については共感する。

薬、イコール、悪と押し付けてくる国の手法は、汚いものに蓋をしているだけだから……。


ここからは私の意見だが、私自身、この世に会話の相手とメールの相手が一人もいない人生を送ってきた。

もちろん、初めからぶっ壊れていたわけではなく、良い人生を送りたいと頑張っていた時期もある。

ただ、日本社会では家族観が無いと、必然的に弾かれてしまうので、独りの力ではどうすることもできず、絶望してしまうのである。

これは経験したものでしかわからない。

生きる意味・気力・目的・希望の全てを失う天涯孤独の世界は、真っすぐ生きていける世界ではない。

最後は、自殺と殺人の二択しか残らない。

それを回避する唯一の手段として、薬が必要だと、私は訴えたいのです。

もし、反対するのではあれば、国は家族主義国家の象徴とも言える理不尽な保証人制度を廃止し(住民票という国が身元を保証しているにもかかわらず、身元保証人がいないと仕事に就けない……、連帯保証人がいないと家を借りられない……)を廃止し、私に家族(配偶者や恋人、子供)を責任を持って用意すべきである。

私の人生経験では、裁判所以外で身元を保証してくれるのは、保証人代行業者や緊急連絡先代行業者くらいだが、これらの業者は地下組織が運営しているケースが多く、ここを利用すると、ブラック企業や犯罪集団の勧誘の標的になりやすい。

この家族主義国家日本で、薬はやるな!天涯孤独は自己責任!その状態でも、真っすぐ生きなさい!は、人間である以上、不可能なのである。


時代の流れとともに、家族主義国家日本の家族主義は徐々に壊れつつあるが……、まだまだ全然といったところ……。

恵まれた環境でヌクヌクと生きている人が大半を占めるこの国では、薬を生きる根幹と捉える土壌が無い。

戦争をするレベルまで国が荒廃しないと、「生きるために……」という風にはならないだろう。

天動説が支配する世の中では、地動説は早すぎるね。

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