生きたまま棺に入れられて
ここは地中だ。
地面から3メートル下である。
生きたまま棺に入れられて、地中に埋葬されてしまった。
閉所恐怖症の人からすれば、その究極の形態とでも言うべきか……。
こういう夢はよく見る。
ただ、実生活でこういう事態に陥る人はほとんどいないだろう。
あのときのことを思い出す。
貯金が無くなるまで、部屋の中に籠りきり……。
彼女1人作れないどころか、デート経験やセックス経験も無いまま、この世を去らなければならないという現実を前に、生きる意味・気力・目的・希望を失ってしまった。
仕事を辞めてしばらくしたら、身体が動かなくなり、精神も崩壊していった。
この世に頼れる人間など、どこにもいない。
会話の相手やメールの相手すらいない。
床に一日中寝たきりの状態で、排泄物垂れ流し生活をしていた。
まぁ、当たり前のように家族がいて、当たり前のように住む家があって……という人生の人には、そんな奴は、ゴミにしか映らないのだろうけど……。
きっと、生きたまま棺に入れられて、そのまま埋葬されたら、当時の私と同じ状況に陥るのだろう。
棺を中から叩いても、出られない。
棺の中から助けを求めても、誰にも聞こえない。
排泄はその場でしなければならないし、食料を調達しようにも身体が動かない。
私は夢じゃなくて人生経験として、それに似た疑似体験が記憶に残っている。
私の1回きりの人生とは、何だったのだろうか……。
生きたまま棺に入ると、そればかりが頭を駆け巡っていた気がする。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。