突然、この世から消えて(スペースシャトル『チャレンジャー号』爆発事故の生放送を見て)
あのとき、私は小学生だった。
あの放送は今でもハッキリと覚えている。
たまたま見ていた。
長年、あれは生放送だと思っていたけど、録画放送だったらしいね……。
まぁ、ネットや携帯電話が無い時代だから、たとえ数時間ズレていても、誰も気づかんけど……。
あの放送とは、スペースシャトル『チャレンジャー号』の空中爆発事故のことだ。
私と同じように、多くの人があの放送を見ていたと思う。
打ち上げから宇宙まで飛んでいく様を、興味深く見ていた。
打ち上げから73秒後、突然、空中で大爆発した。
(あっ!)と思ったね。
シャトルは木端微塵となった。
まぁ、当時の私には、かなりの衝撃映像だった。
最近、動画サイトで、あのときの映像を何十年ぶりに見てみた。
懐かしいな……と思ったくらいで、特に、何かを感じることはなかった。
テロリストによる首切り惨殺動画を山のように見ても、何も感じなかったくらいだから仕方ないね。
私も人生経験を積んでしまったから、もう、昔のようなインパクトは無いね。
それでも、ちょっとだけ『人生』や『人間社会』を考える暇つぶしにはなったかな?
7人の宇宙飛行士は、一瞬で全員が死んだ。
このドキュメンタリー動画を見ると、海面に激突するまでの数分間は生きていた可能性があるらしいが、実際はどうだったのだろう。
命が消えるのは、一瞬……。
人々の記憶から消えるのも一瞬……。
世界中を駆け巡ったこのニュースも、もう、何かのきっかけが無ければ誰も思い出すことはない。
短くて、いつ終わるかわからない人生だからこそ、今という時間を大切にしなければならないという強迫観念にかられるが、私にできることは何も無い。
残念ながら、そういう人生だった。
私が、突然、この世にから消えても、おそらく、誰も気づかないだろうね。
人間関係ゼロの天涯孤独の死なんて、きっと、そんなもんだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。