やっぱり熱中症で死者が出た(元勾留者としてこれを予想していた)

最近、逮捕された容疑者が、牢屋の中で熱中症で死んだというニュースが流れた。

元勾留者として、やっぱり……、と思った。


牢屋の中には和式の便器がポツンと1つあるだけで、あとは何も無い。

鉄格子以外は、全てコンクリートの壁になっている。

便器を隠す壁もなければ、窓も無い。

空調なんて、もちろん、無い。

私は何度か、こういう所に入ったことがあるけど、季節はいつも涼しいとき……。

夏に居た経験が無い。

冬の寒さは、毛布と布団をかぶってしまえば問題もない。

看守に言えば、いらなくなった古着ももらえて、厚着もできたしね……。

ただ、暑いのは無理だろうな……と、このときから思っていた。

「夏、ヤバくない?」って、朝の体操の時間に、他の容疑者たちに質問しまくった記憶がある。

水を飲むにも、いちいち看守を呼ばなくてはいけない。

コップに水を注いでもらったら、看守はすぐにいなくなってしまうので、一気に飲んだら、もうその時点で水はない。

結局、看守を呼ばずに水を飲もうと思ったら、便器から汲み取るしかない。

夏はもう、それをやるしかないだろうな……、と思っていた。

この部屋に居たら、夏がヤバいことくらいすぐにわかる。

若い人はいいけど、じいさんたち、死んでしまうんじゃないかって、本気で思っていた。


やっぱり死者が出たね。

そりゃ死ぬわ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る