加害者比重

殺人事件が起きた。

加害者が悪いのか?

それとも……。

被害者が悪いのか?


まだ若くて人生の可能性があった頃は、加害者が悪いという認識しかなかった。

ほとんどの人間が、そういう認識のまま、人生を終える。

だけど、私は……、途中から変わってしまった。

私自身、元受刑者だし……。

なぜ、変わったか?

日本人は自分さえ良ければ他人がどうなろうが知ったこっちゃない民族であり、恵まれた環境でヌクヌクと生きてきた被害妄想者と、不幸の背比べをして意地でも勝とうとしたがるクソガキしかいない……とわかったからである。

つまり、『敗北した奴が悪い』ということ。

どんな能力で生まれ、どんな環境で育つかは不可抗力のはずなのに、そこは何一つ考慮されない。

私が、家族なし、友人なし、恋人なし、結婚なし、子供なしで1回きりの人生を終え、葛藤と絶望に耐えられず、自暴自棄に陥ったとき、誰が手を差し伸べただろう?

「たった1回でも彼女が作れていれば……」と喚いたところで、何の意味もない。

負けは負け。

誰も見向きもしない。

生きる意味・気力・目的・希望の全てを失い、残された人生は、自殺をするか、殺人をするか、の二択しかなく、もう何をどうしたらいいのかわからない。

自殺?この状況で?以前と違って、今はもう、そういうタイミングではないな……。

結局、幸せな人生を送っている人間たちを切り刻むことでしか、私は、この1回きりの人生での存在価値を見いだせない……。

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