路地裏の園児たち
初夏の昼下がり、清々しい太陽の光が差し込む。
風は穏やかに吹いている。
住宅地の一角に、会社がある。
しばらくは、ここの一階の倉庫で働くことに……。
昼休みになった。
私は、会社の人間関係を全て拒絶している。
昼食を誰かと共にしたことは一度もない。
そこから逃げるように、フラフラと路地裏を歩いていた。
すると、前方から声が聞こえた。
弾むような声だった。
角を曲がってきたのは、4人の園児と、その母親たちだった。
近所なのだろうか?
母親同士も子供同士も、親しげに会話をしている。
笑顔が印象的だった。
弾けている。
間もなくすれ違うけど、私は視線をどこに向ければいいのか……。
ずっと独りで生きてきた人生と、これからもずっと独りで生きるであろう人生が、私に、そういうぎこちない行動を取らせてしまう。
清々しい太陽の光が差し込む。
風は穏やかに吹いている。
暖かくて温かい季節なのに、心にある暗い影が、私を重くしている。
同じ場所で、同じ時間に、同じ光に照らされているのに、とても重い。
育児放棄を食らった私が、生まれて初めての集団生活だった幼稚園で、どんな目にあったかなんて、誰にわかるだろうか……。
忘れたい過去と、リンクしてほしくない。
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