百回記念② ドキッ!?女だらけの温泉旅行

【作者前書き】


 今回は百回記念第二弾です。

 前回は男性側でしたが、今回は女性側です。

 よくありますね?

 アニメとかでのサービス回、水着回とか言うの。

 今回はそれをドラゴンフライでやっちゃいます。

 女性陣は何と温泉一泊二日のご招待を受けます。

 さあ果たしてどうなる事やら……

 では今回も前回と同様に会話劇形式でお届けします。

 楽しんで頂けたら幸いです。

 でははじまりはじまり~


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凛子「ここね……」


カンナ「着いたっ?」


グース【ええ、そのようですね】


カンナ「ねーママー?

    今日は何で温泉なのー?」


凛子「ドラゴンフライが百回を迎えたから感謝の気持ちを込めてだって」


カンナ「ふーん。

    よくわかんないっ」


グース【どうやらここが母屋のようです】



 凛子、カンナ、グースの三人はとある県の山間にある旅館に辿り着いた。



カンナ「何て名前だろ……

    ムムム……

    ママー、読めないー。

    上の看板に何て書いてあるのー?」


凛子「これはね神龍舘しんりゅうかんって読むのよカンナ。

   でも三文字とも旧字体なんて歴史のある旅館なのね」


グース【では中に入りましょう】


凛子「ええ」


カンナ「わーいっ」


 蘭堂凛子らんどうりんこ

 蘭堂らんどうカンナ。

 グース。


 旅館到着。


 キャラ参照話


 本編八~十七話、三十九~四十三話。特別編。閑話第二章。


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れん「ここね……」


ルンル【ねぇーん。

    まだ着かないのうん。

    アタシもう歩き疲れちゃったわん】


れん「ルンル、アンタ竜のくせに何言ってんの。

  着いたわよ、ここ。

  神龍舘しんりゅうかん


ルンル【ここねぇん。

    パンフレットにも乗ってたわん。

    ここの温泉って美肌効果があるんだって。

    ねぇねぇここでお肌プリップリにしちゃって竜司ちゃんに抱かれてきなさいよ】


れん「なっ!

  何でここで竜司の名前が出んのよっ!」


あかざ「ふう、やっと着いたかい。

  たまにはって思ってきてみたけどえらい山の中にあるんだな。

  ってれん、あんたまだ竜司君とヤッてないのかい?」


れん「ヤッ……ママッ!

  何を言ってんのよっ!?」


あかざ「まーヤるにせよヤらないにせよ。

  処女がもてはやされるのは成人までだよ。

  使わずに置いとくとアソコに蜘蛛の巣張っちまうぜ。

  ケケケ」


れん「うわ……

  ママ……

  下品過ぎる……

  さあ……

  中に入りましょ」


ルンル【あら?

    この子ったら出だしから何凹んでるのかしら?】


あかざ「私も良く解んね」


 新崎連しんざきれん

 ルンル。

 新崎藜しんざきあかざ


 旅館到着。


 キャラ参照話


 本編十七~二十九話。七十三~八十一話。特別編。


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ヒビキ「おっここだねっ!

    着いた着いたっ!

    氷織ひおりーっ!

    大丈夫かーっ!

    ついて来てるかーっ!」


氷織ひおり「はぁっ……

   はぁっ……

   大……

   丈……

   夫……

   です……はぁ」


ヒビキ「だからアタシがおんぶしてやろうかって言ったのに」


氷織ひおり「だから……

   大丈夫だってっ……!

   はぁ……言ってるでしょっ!

   来年は六年生になるんっ!

   ですからっ!

   おんぶなんてっ!

   子供じゃないんっ!

   ですからぁっ!」


 バタン


ヒビキ「氷織ひおりー?

    何も倒れるまで頑張らなくても良いんじゃないのかいっ?

    でも氷織ひおり、今年ぐらいから体力つけるの考えた方が良いかもね。

    ほら氷織ひおりしっかりしなっ!

    もう着いたよ」



氷織ひおりを抱きかかえるヒビキ)



嘉島かしまヒビキ。

嘉島氷織かしまひおり


 旅館到着。


 キャラ参照話


 本編三十~四十三話。特別編。


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華穏かのん「ここ………かな……?」



(母屋の前で見上げる華穏かのん



華穏かのん神龍しんりゅう……

   かん……

   でいいのかな……?

   何だか歴史を感じる建物ね……

   私今日来て良かったのかな……

   竜河岸とかじゃないんだけど……

   とりあえず入ろっかな?」


 花園華穏はなぞのかのん


 旅館到着


 キャラ参照話


 本編四十五~六十話。特別編。


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美々みみ「はぁ……

   はぁ……

   ここで……

   しょうか……」


はるか「ちょっと待ってね美々みみちゃん……

  って言うか大丈夫?

  ちょっとスミスッ!

  おぶってくれるのはいいけど揺らさないでよっ!

  手紙が読めないじゃないっ!」


スミス【はるはるっ!

    すみませぬっ……!

    ハァハァ……

    はるはるのおっぱいが背中に……

    何と言う役得……

    つるぺたは正義ッ!

    かわいいは正義ッ……!

    ハァハァ】


美々みみ「はい……

   はあはあ……

   大……

   丈夫です……

   私……

   運動は苦手で……」


杏奈あんな美々みみ……

   貴方、不相応なデカいもの二つもぶら下げてるからドン臭いのよ。

   ハッ!

   一体何を喰ったらそんなにもデカくなんのよっ!」


 ビターンッ!


美々みみ「イタッ!

   おっぱい叩かないで下さ~い……」


杏奈あんな「アハッ!

   おもしろいっ!

   おもしろいわぁっ!

   ねぇはるかッ!

   コレ面白いわよぉっ!

   すっごい揺れるわぁっ!

   揺れるわよぉっ!」


はるか「ちょっと杏奈あんな

  美々みみちゃん虐めるの止めなさいよ。

  スミス、ここみたいだからもう降ろして」


スミス【ぷにふにぷにふに……

    ってええっ!?

    もうっ!?】


 ぴたーんぴたーん


はるか杏奈あんなアンタいい加減に……

  ってうわっ凄っ!

  揺れてるわ……」


 ぴたーんぴたーん


杏奈あんな「キャハッ!

   キャハハハハッ!」


美々みみ「やめて下さ~い。

   形が崩れますぅ~」


杏奈あんな「アハッ!

   今何カップが言ったら止めてあげるわぁ」


美々みみ「Gですぅ……」


杏奈あんな「カッ!

   アンタ私の何倍上を歩いているのよっ!

   何?

   アンタから見たらC以下は地上を這う虫扱いっ!?

   天上人気取りっ!?

   いや……天乳人ねぇっ!

   もう許さないっ!

   もっと叩いてやるわっ!」


美々みみ「私何も言ってませ~ん」


はるか「二人ともいつまでもじゃれ合ってないで、着いたわよ。

  ここでしょ?

  神龍舘」


 名児耶杏奈みょうじやあんな

 夢野遥ゆめのはるか

 スミス。

 鷹司美々たかつかさみみ


 旅館到着。


 キャラ参照話


 本編六十一~七十七話。


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暮葉くれは「わぁーっ!

   ここねっ!

   ねぇねぇっ!

   ここでしょマス枝さんっ!?

   私達が今日泊まる旅館ってっ!」


マス枝「ええ確か神龍舘しんりゅうかん……

    って暮葉くれは、そんなにはしゃが無いの。

    でも温泉レポの仕事が来たら……

    このはしゃぎっぷりはアリかも知れないわね……」


つづり「ここね。

  ようやく着いたわ。

  よいしょっと……」


 ドサドサ


マス枝「つづりさん、ご苦労様。

    三人分の荷物重かったでしょ?」


つづり「いえいえ。

  私、吸血鬼ですんで。

  隊でも身体能力は一番高いんですよ」


暮葉くれは「マス枝さーんっ!

   つづりさーんっ!

   はやくーっ!

   こっちこっちーっ!」


マス枝「では行きましょうかつづりさん」


つづり「ええ」


 天華暮葉あましろくれは

 安藤マス枝。

 飛縁間綴ひえんまつづり


 旅館到着


 キャラ参照話


 本編八十七話~


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 (旅館 母屋)



暮葉くれは「わぁー。

   中も何か……

   歴史を感じるわね……

   わっ!

   見て見てっ!

   何か下に動物の死体があるわっ!」


マス枝「これは死体じゃないわよ。

    多分近くの猟師さんが召し取った熊の毛皮ね」


(いらっしゃいませーご予約のお客様でしょうか?)


マス枝「はい、予約名はドラゴンフライメンバーで」


(はいはい。

 ドラゴンフライメンバーさんですね。

 お連れ様はもう到着してますよ。

 まずは昼食を広間にご用意してます。

 こちらへどうぞ)


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 (大広間)



 ガラッ


暮葉くれは「こんにちは~」


凛子「いらっしゃい。

   お疲れさまでした。

   あら……もしかして」


マス枝「初めまして。

    貴方が蘭堂凛子らんどうりんこさんですね。

    私は安藤マス恵。

    クレハのマネージャーをやっております」


(名刺を差し出すマス枝)


凛子「これはご丁寧に……

   やっぱり。

   もしかして貴方クレハ?」


暮葉くれは「ええそうよ」


凛子「ウチの娘が大ファンなのよ。

   良かったらお話してくれないかしら?」


暮葉くれは「いいわよ。

   どこかしら?

   その子」


凛子「今呼びます。

   カンナーッ!」


氷織ひおりと手遊びしていたカンナ。こちらにトテトテ一緒に来る)


カンナ「なあに?

    マ……

    えっ……?」


氷織ひおり「カンナ、どうしたんですか?」


(カンナの方を向いて軽く手を振りにっこり微笑む暮葉くれは


カンナ「まさか……

    クレハ……?」


暮葉くれは「そんなに震えなくても私よ。

   クレハよ。

   名前教えてくれる?」


カンナ「あっ……

    あうう……

    あっ……

    あのっ……」


氷織ひおり「さっきからどうしたんです?

   顔も物凄く赤いですよ」


カンナ「だってっ……

    ゴショゴショ……

    クレハだよ?

    あのクレハッ……!

    ゴショゴショ」


氷織ひおり「ゴニョゴニョ……

   誰ですそれ。

   私知りませんよ……

   ゴニョゴニョ」


カンナ「えーっ!

    氷織ひおりちゃん知らないのーっ!?

    TVとかで出てるじゃんっ!」


氷織ひおり「すっ……

   すいません……

   しゅん……」


暮葉くれは「あの……

   名前……」


凛子「ホラ……

   カンナ、頑張って……」


カンナ「あぁっ!

    ごめんなさいっ!

    あの……

    モジモジ……

    蘭堂らんどうカンナですっ!

    十歳ですっ!

    あの……

    クレハさんの大ファンですっ!」


暮葉くれは「カンナちゃんね。

   いつも応援ありがとう。

   よろしくっ」


カンナ「ハイッ……!

    キャーーッ!

    どうしようっ!

    クレハと握手しちゃったっ!」


凛子「良かったわねカンナ。

   さあさあ暮葉くれはさん達も席について。

   そろそろ始めましょう」


 ###



 自己紹介(最初の挨拶)



凛子「はいそれでは今日はD.Fドラゴンフライ百回記念温泉旅行にお越し頂き有難うございます。

   昼食&自己紹介の司会を務めさせて頂くのは私蘭堂凛子らんどうりんこと……」


グース「私、グースでお送りします」


あかざ「堅っ苦しいのは抜きにして早く喰わせてくれよ」


凛子「勿論堅苦しく仕切るつもりはありません。

   あくまでも私は自己紹介の仕切りとと乾杯の音頭だけです。

   じゃあグース……お願い」


グース「では皆さん、グラスをお持ち下さい」


あかざ「へへっ……待ってました」


ヒビキ「やっぱりこれがなくっちゃあねえ。

    ヘヘヘ」


凛子「では皆さん……カンパーイッ!」


一同「かんぱーいっ!」


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 (自己紹介と昼食)



料理:ジビエ肉の小鍋。

   山菜の天ぷら。

   コゴミの胡麻和え。

   わけぎと油揚げのぬた和え。

   御飯。

   具沢山の味噌汁。

   ビール。

   ジュース。


凛子「では皆さん。

   自己紹介の時はマイクを回していきますのでよろしくお願いします。

   ではまず私から……

   名前は蘭堂凛子らんどうりんこ

   歳は……三十九歳。

   職業は町医者をしています。

   どうぞよろしく。

   ハイ次はカンナよ」


カンナ「ねーねーママー。

    何を言ったら良いのー?」


凛子「自己紹介をするのよ」


カンナ「ふうん。

    じゃー……

    名前は蘭堂らんどうカンナです。

    十歳です。

    小学四年生です。

    たつがしです。

    よろしくおねがいしますっ!」


凛子「フフフ。

   はい良く出来ました。

   さっ次はグースにマイクを回してね」


カンナ「ハイッグースッ!」


グース「ありがとうございます。

    私の名前はマザーグース。

    マザーの衆の近衛の一で御座います。

    聖竜です。

    どうぞよろしくお願いします。

    はい次はれんさんですよ」


れん「モグモグ……

  はい、えーと……

  名前は新崎連しんざきれん

  年齢は十五歳。

  中学生です。

  よろしく。

  次はルンルね」


ルンル【あらん次はアタシ?

    モグモグ……

    名前はルンルッ!

    雷竜よぉんっ!】


はるか「あら?

  れんちゃん。

  久しぶりっ!」


れんはるかさん、

  ご無沙汰してます。

  えーと……スミスだっけ。

  久しぶりね」


スミス「おお、これはれん氏。

    お久しゅう御座いますぞ」


はるか「今日は一緒に楽しみましょ」


れん「ハイ!

  ルンル、次はママに回して」


あかざ「自己紹介は良いんだが……

  ちょっとれん……」


あかざれんに耳打ちする)


あかざ「ゴニョゴニョ……

  お前、あのブリッブリの服着たババアと知り合いなのか……?

  ゴニョゴニョ」


れん「ゴショゴショ……

  ちょっとっ!

  ママっ!

  そんな失礼な事言わないでよっ!

  名古屋でお世話になったのよっ……!

  って言うかママ、良く解ったわね。

  はるかさんが四十二歳だって」


あかざ「考古学で鍛えたアタシの審美眼を甘くみるんじゃねぇよ。

  ってあのバアア、アタシより年上かよ……」


凛子「あのー……

   自己紹介を進めて頂けないでしょうか……」


あかざ「おっわりーわりー。

  次はアタシだなっ。

  名前は新崎藜しんざきあかざ

  三十九歳。

  れんの母親で考古学者だ。

  よろしくなっ!」


カンナ「へーっ!

    お姉ちゃんのママ、学者さんなんだーっ!

    すっごーいっ!」


あかざ「そうだろっ!

  ヘヘン、もっと私を誉めやがれっ!」


れん「そんな良いものじゃないわよカンナちゃん。

  ママってば業界じゃ“暴君考古学者”で有名なんだから」


カンナ「ぼーくんこーこがくしゃ?」


れん「要するに滅茶苦茶なのよ。

  自分が怪しいと思ってる場所なら許可も取らずにどんどん掘っちゃうんだから」


カンナ「うわぁ……」


あかざ「コラッれん

  テメー何も知らない少女に何言ってんだっ。

  最近じゃちゃんと許可を取ってから掘る様にしてるよ」


れん「でも不許可でも掘っちゃうでしょママの場合。

  前、ウチに抗議文が来てたんだから」


あかざ「グッ……」


カンナ「おねーちゃんのママ……

    ちゃんと言ってから掘った方が良いと思うよ……」


あかざ「カ……カンナちゃん……

  だから言ったでしょ?

  最近はちゃんと許可を取ってるって……

  ホラァッ。

  ヘンな空気になっちゃったじゃんか。

  ホラホラ次ッ!」


氷織ひおり「次は私ですね……

   名前は嘉島氷織かしまひおり……

   十一歳……

   小学五年生です……

   そしてっ!

   天才美少女っ!

   竜河岸です……」


ヒビキ「いよっ!

    氷織ひおりっ!

    日本一ーーっ!」


氷織ひおり「フフン…………

   あれ?」


(一同ノーコメント。若干引いてる様な空気がそこはかとなく漂う)


氷織ひおり「ヒビキッ!

   みんな無言なのはどういう事ですかっ?

   やはり私はブチャイクなんですかっ!?」


ヒビキ「いーやっ!

    アタシから見ると氷織ひおりは一番可愛いよっ。

    皆が黙っているのは当然の事だからさっ!

    それで当たり前の事だから誰も声を上げないのさっ?」


氷織ひおり「確かに……」


ヒビキ「だから氷織ひおりは可愛い。

    それで良いじゃないか。

    オッ次はアタシだねッ!

    アタシの名前はヒビキ。

    本名はヒルメイダス・ビ・キールムット。

    王の衆で白の王だよっ!

    時々金氷帝きんひょうていと呼ばれる事もあったねえ」


あかざ「へえ……

  アンタ、ヒビキとか言ったね。

  王の衆って事は高位の竜ハイドラゴンかい?

  さっきのグースもそうだろ?

  一所に高位の竜ハイドラゴンが二人も居るって、このメンツどうなってやがんだよ」


ヒビキ「そんな事アタシャ知らないよっ!

    作者にでも聞いとくれっ!

    所でアンタ……

    確かあかざさんとか言ったねぇ。

    雰囲気からしてイケる口なんだろ?」


(ヒビキが手でお猪口を呑む仕草をする)


あかざ「そういうアンタもイケそうだ。

  なんたって高位の竜ハイドラゴンだもんな。

  じゃあ……」


ヒビキ「やるかっ!

    呑み比べっ!」


あかざ「かかってきやがれっ!」


氷織ひおり「ヒビキ……

   程ほどにね……」


ヒビキ「わかってるってー氷織ひおりっ!

    おっ次の人、自己紹介しなっ」


華穏かのん「モグモグ……

   この小鍋美味しい……

   あ、次は私ですね。

   えーと、名前は花園華穏はなぞのかのん

   十四歳で中学生です。

   私竜河岸とかでも何でもない只の一般人なんですが……

   お呼ばれされてもよかったんでしょうか……」


凛子「もちろん良いわよ。

   手紙にも書いてあったし。

   “花園華穏はなぞのかのんって一般人が来ます”って」


華穏かのん「なら良いですけど……

   何で呼ばれたんだろ……?

   ハイ、じゃあ次の人」


はるか「次はアタシねっ!

  名前は夢野遥ゆめのはるかッ!

  年齢は永遠の十二歳ッ!

  職業はアイドルやってまーすっ!

  夢はぁー……

  武道館で単独ライブをやる事でーすっ!

  よろしくっ!」


暮葉くれは「へー。

   貴方もアイドルやってるのね。

   グーゼン……で良かったのかしら?

   マス枝さん」


マス枝「ええ合ってるわよ。

    暮葉くれは


はるか「貴方がクレハね……

  貴方とは今の段階で差がついているわ……

  っでもっファンの熱は負けないんだからッ!」


スミス「うおおおおーッ!

    はるはるーっ!

    拙僧達がついておりますぞーっ!」


杏奈「ハッ……

   アンタは権藤房代ごんどうふさよ(四十二)でしょ……

   ボソッ」


はるか「わーわーわーッ!

  コラッ!

  杏奈ッ!

  シィーッ!

  シィーッ!」


杏奈「ハッ……

   まぁいいわ」


はるか「ふうっ!

  あービックリした……

  ハイッ次はスミスよっ」


スミス「おー。

    はるはる、これはかたじけない。

    えー。

    拙者の名はスミス。

    本名は……ゲフンッ失礼。

    スーダン・ミゼット・スイフトと申す者。

    武竜でござる」


カンナ「ブリュー?」


グース「武竜?」


氷織ひおり「武竜ってどんな竜ですか?

   ヒビキ」


ヒビキ「いや……聞いた事無いねぇ。

    アンタも知らないのかい?

    グース」


グース「ええ。

    おそらく変異種ヴァリアントでは無いかと……」


ヒビキ「あー変異種ヴァリアントって言ったら

    突然生まれるって言う

    変わり種竜種だったっけ?

    んでスミスだっけ?

    アンタ何が出来るんだい?」


スミス「ムッフッフッフ。

    皆々様方。

    拙者に興味津々のご様子……

    ではお見せしましょうっ!」


あかざ「おーやれやれー。

  酒の肴にはちょうどいい」


スミス「御意。

    では少々前失礼……

    ムムム……」


 ゴン


(手をかざしたスミスの手から片手剣が現れ、床に落ちる)


あかざ「おっ?

  何か出てきたぞ……

  どれどれ……

  剣だね……

  イタッ。

  これマジもんだわ」


スミス「如何ですかな?

    拙者の能力は武器生成でござる。

    御望みとあればいくらでも……」


あかざ「へぇ、そいつはすげぇ」


スミス「武器でお困りの際は

    いつでもお声をかけて下されムッフッフ。

    ハイでは次の方どうぞ」


杏奈「あ……

   次はアタシ……?

   名前は名児耶杏奈みょうじやあんな……

   歳は十八歳……

   好きなものは竜司……

   はぁ……

   何でアタシここにいるんだろ……?

   ここに竜司が居たら……

   居てさえくれたらっ!

   物凄く楽しい旅行になったのに……」


カンナ「へーっ

    杏奈おねーちゃん。

    竜司にーちゃんの事スキなのー?」


杏奈「フフッ。

   それは好きなんて次元の話では無いわっ!

   竜司は私の未来の殿方っ!

   それは必然っ!

   必定っ!

   運命によって定められてることなのよぉぉぉぉっ!」


れん「相変わらずね……

  名児耶みょうじやさん……」


杏奈「あらぁっ!

   随分久しぶりじゃないのっ!

   このクソ女ッ……!

   クンクン……

   匂うわァっ!

   処女の匂いィィィィッ!

   その様子じゃ

   まだ竜司に抱かれていないみたいね……」


れん「そっ……

  そんな事貴方に関係無いでしょッ!

  私がいるうちは貴方になんか、絶対竜司は渡さないんだからっ!」


カンナ「アワワワ……

    オロオロ……」


あかざ「あーあーカンナちゃん。

  こっちに来ときな。

  モテない色ボケ女が、二人でやっかみ合ってるだけだから。

  ケケケ」


れん「誰が色ボケよっ!」


杏奈「カッ!

   娘も娘なら親も親ねぇっ!」


あかざ「ヘッ。

  まーアタシの見立てでは

  娘の方が一歩リードって所だけどなっ」


杏奈「カッ!

   どこがよっ!

   私のどこがっ!

   そのクソ女に劣ってるって言うのっ!?」


あかざ「はぁ。

  アンタ竜司君がどういう性格の男か把握してるのかい?

  アンタみたいに相手の気持ちを考えずに自分の気持ちばっかり病的に押し付ける奴の事

  何て言うか知ってっか……?

  ヤンデレって言うんだぜケケケ」


杏奈「ヤン……

   カッ!

   もう許さないわァァッ!

   私に対する数々の侮辱ッ!

   ぶっ飛ばすッ!

   ぶっ飛ばしてッ!

   私の足元に屈服させてやるわ……

   魔力注入インジェクトッ!」


凛子「あの……ちょっと……

   せっかくの楽しい旅行なのに揉め事は……」


あかざ「あーいいいい凛子。

  こういう手合いはいっぺん解らせないと

  目、覚めないからな。

  ルンルーちょっとこっち来い」


ルンル【なあにん。

    あかざさん】


あかざ「ちょっとアイツ、シメるわ……

  魔力注入インジェクト……」


杏奈「キエエエエエエェェェェェェッ!

   死ねェェェェェェェェェッ!」


(杏奈はあかざに飛びかかり、顔面に右ストレート)


 ドッゴォォォンッッ!


あかざ「はいヤンデレあるある~。

  同性を殴る時は必ず顔面を狙う~。

  だけどまだまだ魔力注入インジェクトの練度が甘い……

  よっと……

  フッ!」


 ズンッッ!


(顔に突き刺さった杏奈の拳を捻り上げ無造作に少し上げ、腹めがけて思い切り拳を打ち下ろすあかざ


杏奈「キャァァッ!

   オゴッ……」


あかざ「おや……

  意識断ち切るつもりで殴ったのにまだ意識があるなんてね。

  大したもんだ。

  でもまー見た所、何でか知らないがアンタの竜は居ないようだし残留魔力ももう尽きただろう。

  自分の席に戻っておとなしくしてな。

  ヤンデレちゃんケケケ」


杏奈「クッ……

   シスさえここに居れば……

   ブツブツブツ呪呪呪呪呪……」


あかざ「うわっヤンデレが

  こっちみてブツブツ言ってるぞ」


ヒビキ「あかざさんっ!

    一仕事お疲れさんっ!

    まー一杯やっとくれよっ。

    ……トクトク……

    しかしなかなかやるねぇ」


あかざ「おっとっと……

  まあもう現役じゃないけどねぇ……

  って次の自己紹介誰だ?」


美々みみ「次は私です……

   名前は鷹司美々たかつかさみみ……

   歳は十七歳……

   漫画家志望です……

   えと……

   私も竜河岸とかじゃ無く……

   華穏かのんさんと同じ一般人です……」


一同(竜除く)「おぉーっ」


美々みみ「エェッ……?

   何ですかぁっ……?」


カンナ「おねーちゃん、すっごーい!

    おっぱい大きいーっ!」


凛子「確かに……

   スタイルには自信あったけどこれは……」


氷織ひおり「ペタペタ……

   私もこれぐらいになれるでしょうか……」


れん「羨ましいなあ……

  私もこれぐらい欲しい……」


ルンル【だからキャベツ喰いなさいキャベツ】


あかざ「これは世の男共が放っておかないねえ……

  ゲヘヘ。

  んで美々みみちゃん

  具体的にサイズはいくつなんだい?」


美々みみ「えぇっ!?

   またそれですか……

   Gです……」


一同(竜除く)「おぉーっ!」


美々みみ「そっ……

   そんな良いものじゃないですよっ……

   肩も凝るし……

   目線も気になるし……」


華穏かのん「漫画家さんって事は絵が上手いんですね。

   どんな漫画を描くんですか?」


美々みみ「えっ……

   それはっ…………

   BLを……

   ゴニョゴニョ」


華穏かのん「えっ?

   ビーエルって何ですか?」


美々みみ「えっと……

   それはっ……

   あのっ……」


あかざ「あーあれだ華穏かのんちゃん。

  要するにホモ漫画だ」


華穏かのん「え……?

   ホ……」


凛子「ちょっとあかざさん。

   カンナや氷織ひおりちゃんも居るんですから」


あかざ「おっわりーわりー。

  じゃあ自己紹介先に進めっか」


暮葉くれは「次は私ねっ!

   えーと……

   名前は天華暮葉あましろくれはっ!

   歳は……

   えーと……何歳だっけ?

   マス枝さんっ」


マス枝「十五歳でしょ」


暮葉くれは「そうそうっ!

   十五歳っ!

   竜の時の名前はアルビノッ!

   今アイドルやってますッ!

   よろしくっ!

   来週には新曲“紡がれる糸”が出ます。

   ミディアムバラードですっ。

   あと最近は女優業も始めてます。

   日曜八時のドラマ“サイコパスシリアル”にも出演してます。

   宜しくお願いしますっ!」


カンナ「クレハちゃーんっ!」


暮葉くれは「フフフ」


氷織ひおり「カンナちゃんが聞くなら……

   聞いてみようかな?」


あかざ「アンタ確か見た事ある……

  竜でアイドルやってるって

  変わり者だったっけ?」


暮葉くれは「そうよっ!」


あかざ「じゃあ何で竜の姿で活動しねぇんだ?

  その方が見た目にもインパクトあるだろうに」


マス枝「それは暮葉くれはが目指しているのが

    トップアイドルだからです」


あかざ「どういうこったい?

  というかアンタは?」


マス枝「申し遅れました。

    私は安藤マス枝。

    年齢は三十四歳。

    暮葉くれはのマネージャーをやってます。

    今回は暮葉くれはが温泉に行くと言い出したので同行させてもらいました」


あかざ「へぇなるほどね。

  それじゃアイドル以外なら良いって事かい?」


マス枝「ええ。

    昨今では竜が出るドラマ等も増えてます。

    俳優としてやっていくなら

    竜の姿でもアリだわ。

    声優も姿が見えないからアリかもね。

    でもアイドルは違うっ!

    あかざさんっ!

    アイドルの語源を知ってますかっ!?」


あかざ「いっ……いやっ……」


マス枝「語源はラテン語のイドラから

    来ていると言われていますっ!

    その意味は偶像っ!

    そして偶像とはッ!

    崇拝の対象となる像の事ッ!

    人々から人気を集めるアイドルを目指すのに竜の形ではダメですっ!」


暮葉くれは「マ……マス枝さん……

   落ち着いて……

   周り見て……

   これって確か“引いてる”って……

   感じじゃない?」


マス枝「ハッ……

    オホン。

    失礼しました。

    そう言った理由でトップアイドルを目指すからには人型じゃないと駄目なんです」


暮葉くれは「そうなのよ。

   だからアイドルになるためこっちに来てから竜に戻った事無いもの。

   この前も竜司の前で竜になろうとして

   服を脱ぎだしたら

   竜司に慌てて止められちゃって……」


れん「竜司の前で服を脱いだァァァッツ!?」


杏奈「カッ!

   あのクソメスも竜司をッ!

   狙っているのぉぉぉっ!?」


れん「名古屋では大丈夫だと思っていたのにっ!

  油断したわっ!

  ねえその話詳しく教えてくれない……?」


暮葉くれは「ね……ねぇ……

   れん……さん……

   何か凄く……近いんだけど……」


れん「あらぁ?

  そうかしら?

  オホホホ。

  それでどう言う状況で服を脱ぐことに?」


暮葉くれは「えっ……えぇ。

   静岡の一日署長の仕事の時に竜司と知り合ってその時ガレアも居てー。

   ガレアってば私だって気づかないからそれならって……。

   その時借り物の制服着てて。

   破くわけにも行かないから

   服を脱ごうとしたのよ」


れん「ほっ……

  なぁんだ。

  そう言う事なのね」


暮葉くれは「そうなのよ。

   それで竜司とガレアと三人で竜界に戻った時もせっかくだから竜の姿になろうとした時も竜司ったら慌てて止めてね。

   私に女の子は肌を晒しちゃいけませんってくどくど語ってたわ」


れん「……一つ確認しておきたいんだけど……

  暮葉くれはさん、あなた竜司の事が好きなの?」


暮葉くれは「“好き”……かぁ。

   今私人間の感情について勉強中なの。

   好きって感情が一番解らない。

   言葉を辞書で引いてもピンと来なくて。

   マス枝さんに聞いたら“大事な人”が出来たら自然とわかるわよって言ってたけど、大事な人って考えてもマス枝さんしか出ないし。

   でも同性じゃ好きって言うのは違うって本で見たし」


れん「じゃあ竜司の事は好きじゃないの?」


暮葉くれは「だから解らないんだってば。

   マス枝さんがとっても大事なら……

   竜司は少し大事……かな?

   いや少しじゃないかな……

   半分ぐらい……?

   あれ?

   良く解らなくなってきた」


暮葉くれはキョトン顔)


れん「プッ。

  なあにそれ。

  暮葉くれはさん、貴方って変わってるわね」


暮葉くれはれんさん。

   貴方も竜司の話でそんなに取り乱すなんて。

   それは竜司の事“スキ”って事なのかしら?」


れん「…………うん」


暮葉くれは「ウフフ真っ赤になっちゃって可愛いわね。

   ねえれんさん、私と友達になってくれない?

   貴方を見て“スキ”って感情を理解したいわ」


れん「ええいいわよ。

  私の事はれんで良いわ。

  よろしく暮葉くれはさん」


暮葉くれは「私の事も暮葉くれはで良いわよフフフ」


つづり「あのー……

  お取込み中の所悪いんだけど私で最後だし

  自己紹介終わらせたいんだけど良いかな?」


暮葉くれは「あっつづりさんごめなさい。

   どうぞ」


つづり「ありがとう。

  えー。

  最後ですー。

  名前は飛縁間綴ひえんまつづり

  二十四歳。

  警視庁の特殊交通警ら隊で婦警やってます。

  私の竜は今日お留守番。

  シンコっていう桃色の乙女チックな竜よ。

  それで私……吸血鬼でーすっ!」


一同「え……ざわ」


つづり「あーみなさんっ。

  ザワザワしないザワザワしない。

  吸血鬼って言っても

  今じゃレンフィールド症候群シンドロームって

  病名もあるれっきとした病なのよ。

  それでこの病気にかかっている人は

  大抵血液提供者ドナーがいるわ。

  私の場合は同僚で恋人のカズって人」


れん「へぇ……

  吸血鬼ってホントに居たんだ……」


つづり「ムフフフ……

  貴方がれんちゃんね……

  さっきから名前が出てる竜司君を好きな子……

  ムフフフ……

  ムフフフ……

  ムフフのフ」


れん「なっ……

  何ですか……

  その気持ち悪い含み笑いは」


つづり「ムフッ

  いやね私の恋人も竜河岸なんだけどー。

  スキルが残留思念を読んで、それを速記で描くことが出来るのよ。

  竜司君にカズが披露した時にね……

  見ちゃったのムフ」


れん「な……

  何を……ごくり」


つづり「何ってっ!

  思い切りチューしちゃってる所よぉぉ!

  れんちゃん貴方、大胆ねぇっ!」


れん「なっ……!?」


つづり「淡いわぁっ!

  淡いわぁっ!

  淡い恋心だわぁっ!」


暮葉くれは「どうしたのれん

   耳まで真っ赤よ」


れん「べっ……別に何でもないわよっ

  暮葉くれはっ!」


つづり「あら?

  暮葉くれはちゃん聞いてなかったの?

  えーとねれんちゃんと竜司君がね……チュ」


れんつづりさんっ!

  言いふらさないでっ!

  わーっ!

  わーっ!」


 ドタバタドタバタ


凛子「はいはい。

   皆さん食事が済んだら部屋に案内します。

   それで温泉に行きましょう」


一同「はーいっ!」


 ###



 部屋へ移動



A室:蘭堂凛子。

   グース。

   新崎藜しんざきあかざ

   嘉島ヒビキ。

   夢野遥ゆめのはるか

   スミス。

   名児耶杏奈みょうじやあんな

   安藤マス枝。

   飛縁間綴ひえんまつづり


B室:蘭堂カンナ。

   新崎蓮しんざきれん

   ルンル。

   嘉島氷織かしまひおり

   花園花穏はなぞのかのん

   鷹司美々たかつかさみみ

   天華暮葉あましろくれは



凛子「じゃあ部屋割りを確認したら

   後は自由行動です。

   はい、れんちゃん。

   これが部屋の鍵よ。

   失くさないでね」


れん「ハイありがとうございます。

  さっ。

  みんな行こっ」


B室一同「はーいっ!」


 ワイワイ


凛子「さて私達も行きますか?」


 ###



 (A室)



凛子「へぇ結構広くていい部屋じゃない」


あかざ「おっ

  ここ酒が呑み放題らしいぜっ!

  ヘヘヘ。

  ヒビキよっさっきの続きと行こうや」


ヒビキ「へえ。

    アタシにもパンフ見せとくれよっ!

    つまみも沢山あるねぇ。

    ヘヘヘッ。

    あかざよっ。

    いっちょやるかいっ!」


はるか「ちょっとちょっとアンタ達ッ!

  さっきも酒飲んで部屋に来るなりまた酒?

  まずは温泉からでしょ?」


スミス「ウム。

    まっことはるはるの言う通り」


杏奈「フン……

   酒酒酒って醜いったらありゃしないわ」


マス枝「ここはスケジュール的にも

    まずは温泉に入りゆっくりとした後で

    夕食を頂き、その直後晩酌と言うのが

    ベターではないでしょうか?」


つづり「アタシは別に注文無いよー」


あかざ「えー、そんなの面倒じゃーん。

  ヤダヤダヤダ!

  呑みたい呑みたい呑みたい呑みたいっ!」


凛子「あらあらあら。

   困ったわね。

   私もお酒は呑む気でいたから

   折角秘蔵のお酒を持って来たのに……」


あかざ「何ッ!?

  秘蔵の酒だってっ!?」


ヒビキ「早く見せてくれよっ凛子っ!」


凛子「クスクス……

   これで上手く行きそうね……

   グースアレを出してちょうだい」


グース「はい主人マスター


(グースは手荷物のバッグから一升瓶を取り出す)



 純米大吟醸 八岐大蛇やまたのおろち



あかざ「うおぉぉぉぉぉっ!

  これはっ!

  幻の純米大吟醸八岐大蛇やまたのおろちじゃねぇぇぇぇかぁぁぁぁっ!」


ヒビキ「なんだいそりゃ?

    アタシは聞いた事無いね」


あかざ「あぁ無理ねぇさ。

  市場に出回ったのは十回以下。

  出るとすぐ売り切れる正真正銘の幻の酒さ。

  アタシも竜河岸か竜自体が作った酒があるって噂だけしか聞いた事無かったんだが……

  凛子さんよ、これどうしたんだい?

  多分オークションに出しゃあ、数千万は行く代物だぜ」


凛子「以前一国の首相を直した事があったの。

   その方がその時の恩を忘れないと言う事で

   誕生日になると高価な品を頂くんです。

   八岐大蛇やまたのおろちは三十九歳の誕生日に……」


あかざ「ハイッ!

  凛子先生ッ!

  私言う事聞きますっ!

  オイッ!

  お前らッ!

  さっさと風呂の支度をしろっ」


ヒビキ「あかざ……

    アンタ良い性格してるねぇ……」


凛子「フフフ。

   解ってくれて良かったわ」


あかざ「さー行こ行こー。

  レッツバスタイムッ!」


 ###



 (B室)



れん「へーっ結構いい部屋じゃない」


ルンル【ホントねぇん。

    アタシの巨体でも充分寛げるわぁ】


カンナ「わーっ!

    凄いよっ!

    景色ッ!

    見て見てっ!

    氷織ひおりちゃんっ!」


氷織ひおり「カンナちゃん、走ると転びますよ…………

   わぁ……

   確かに物凄くいい眺めですね」



(季節は晩秋。

 二人の眼下に広がる山々は深い紅葉で覆われ、木々の間から見える川の清流は心を洗い流すかの様な浄水で溢れている。

 微かに聞こえる川の音が優しく鼓膜を撫でる)



花穏かのん「これからどうします?

   晩御飯まで大分時間がありますよ」


れん「せっかく温泉に来たんだし

  みんなでお風呂に行きましょ」


 (準備中)


カンナ「アーッ!

    やっぱりーッ!

    おねーちゃんおっぱいおっきーっ!」


れん「ちょ……

  ちょっとっ!?

  美々みみさん、何で服を脱ぎだすのっ!?」


美々みみ「えっと……

   浴衣に着替えようと思って……」


れん「でもわざわざここで脱がなくても……」


美々みみ「えっと……

   そのっ……

   実は……

   ブラがきつくって早く外したくて……」


れん「うわ……

  マジですか……」


暮葉くれは「なになに?

   れん、どうしたの?」


れん「あぁ……

  暮葉くれは……

  美々みみさんの……

  胸が……

  G以上かもって話よ……

  クスン……

  自信無くしちゃうなあ……」


暮葉くれは「ねえねえ。

   何でおっぱいおっきい方がいいの?」


れん「えっと……

  それは……」


ルンル【世の中の男どもが巨乳好きだからよ】


暮葉くれは「ふうん。

   そうなのね。

   じゃあ竜司もおっぱいおっきい方が

   良いのかしら?」


れん「ちょ……

  薄々感づいてたけど……

  口には出さなかったのに……

  しゅん」


ルンル【まだ竜司ちゃんが

    巨乳好きと決まってないでしょうに。

    まー竜司ちゃん?

    真面目ぶってムッツリな所があるけど】


暮葉くれは「ムッツリってなあに?」


れん「もーっ!

  これ以上精神的ダメージを負わさないでっ!

  さっお風呂に行きましょっ!」


花穏かのん「はーいっ。

   うわ美々みみさん……

   ブラの色赤なんですね……

   情熱的……」


美々みみ「サイズが合うブラが

   こんな色しか無いんですよ~」


 ###



 (露天風呂)



カンナ「わーっ!

    ひっろーいっ!」


氷織ひおり「カンナちゃん、走ると転びますよ。

   レディなんですから……

   身体にバスタオルを巻かないと……」


カンナ「えーっめんどくさいーっ!」


凛子「こらカンナ。

   お姉ちゃんの言う事聞かないと駄目でしょ」


カンナ「あっママ」


れん「皆さん、先に入られてたんですね」


あかざ「おーれん

  先にやってるぜーっ。

  どれ……

  娘の成長具合を見てやろうかね……」


あかざは素早く蓮の後ろに回り込み下から両胸を鷲掴む)


れん「ちょっ……ママッ!

  ……何してっ!?

  ……あぁっ!」


あかざ「モミモミ……

  モミモミ……

  ふむ……

  れんっ!

  やったじゃねぇかっ!

  ちょっと成長してるぜっ!」


れん「えっ!?

  ホントッ!?」


あかざ「私の見立てでは七十五のCって所だね」


れん「クスン……

  嬉しい……

  すっごく嬉しい……」


あかざ「泣く程かよ……」


美々みみ「でもれんさん。

   ブラのサイズとかきつくなかったんですか?

   普通大きくなるとキツくなりますけど……」


れん「そっ……

  それはっ……

  見栄はって少し大きいの買ってた……」


美々みみ「フフフ。

   れんさんって可愛いですね。

   それじゃあ今は

   ちょうど良くなったんじゃないですか?」


れん「そーなのよっ!

  ブカついてた部分がっ!

  気持ち減ったかなって思ってたのよーっ!」


あかざ「キラーンッ!

  メインディッシュ登場っ!

  ではさっそく……」



(連の後ろに立っていたあかざは素早く美々みみの後ろへ。

 更にそのまま纏っているバスタオルを剥ぎ取る。

 掴んだバスタオルは放り投げ、一糸まとわぬ姿の美々みみの両脇から両手を差し入れる。

 そして美々みみの豊満な胸を鷲掴み、激しく揉みしだく)



美々みみ「えっ!?

   キャァァァァッ!

   やっ!

   止めて下さいっ!」


あかざ「モミモミ……

  モミモミ……

  おっ?

  おぉ……

  おぉぉおおおぉっ!

  こりゃすっげぇ!

  美々みみちゃんっ!

  アンタGって言ってたけどこれHはあるぞっ!」


美々みみ「やっ……

   止めてっ……

   あぁっ……!」


カンナ「おねーちゃん達、どーしたのー?」


あかざ「おっカンナちゃん。

  いい所に。

  ホラ触ってみな。

  マジすげぇから」


美々みみの胸をつつくカンナ)


カンナ「いいの……?

    わっホントだぁ……

    指が沈んで見えなくなるぅ……」


あかざ「なっ?

  すげぇだろっ。

  フー満足満足っ!

  さー身体洗ってもう一っ風呂浴びるかねぇ」


カンナ「氷織ひおりちゃーん。

    身体洗いっこしよーっ」


れん「ちょっ!

  ちょっとっ!

  二人ともっ!

  美々みみさん置いてきぼりっ!?」


美々みみ「もう私駄目ですぅ~~

   ……ハァハァハァ」


(全裸のままその場でへたり込む美々みみ


カンナ「んしょんしょ……

    ねーねー氷織ひおりちゃん。

    おねーちゃんのおっぱい凄かったよー。

    指が沈んで見えなくなるんだから。

    私もあれぐらいになるかなぁっ?」


 シャァァァァ


氷織ひおり「私達はまだ子供なんですから。

   胸の大きさなんて……

   気にしなくていいと思いますよ……

   はい有難うございます。

   次は私ですね」


カンナ「ハーイッ」


氷織ひおり「私達が美々みみさんぐらいの歳になればスタイル抜群になってますよ……

   かゆい所は御座いませんか……?」


カンナ「フフフ。

    氷織ひおりちゃん床屋さんみたい」


氷織ひおり「フフフそうですね。

   じゃあ頭流しますよ……」


ヒビキ「おやぁっ?

    おかしいねぇ。

    氷織ひおりさっきもう子供じゃないみたいな事言ってたのにねぇ。

    ククク」


氷織ひおり「なっ……!!?

   ヒビキ何を言ってるんですかっ!?

   それはそれ。

   これはこれって言うじゃありませんか……」


ヒビキ「ククク。

    まあそう言う事にしといてやるよっ」


はるか「あぁぁぁぁあぁ……」


杏奈あんな「ハッ。

   アンタ完全にババアの溜息になってるわよ。

   メイクも落ちると小皺も見えるしね。

   若作りって言っても四十二歳ねフン」


はるか「何よ杏奈あんなっ!

  私にケンカ売ってるのっ!?」


杏奈あんな「ハッ。

   名古屋に戻ったら

   いくらでもやったげるわよぉっ!」


はるか「アンタ……

  栄の一件で保護観察処分中なの

  すっかり忘れてるでしょ……」


杏奈あんな「ハッ。そんなの関係無いわよぉっ」


 ###



 (露天風呂内)



暮葉くれは「う~~~んっ!

   気持ちいいわね~~っ!」


ヒビキ「おうっ!

    ちょいとごめんよっ……

    ふぅ~~っ。

    いいねぇ……

    たまの温泉ってのも」


グース「私からすれば少し温いですが……」


暮葉くれは「ヒルメイダス、グース。

   二人とも久しぶりね」


ヒビキ「おうっ!

    アルビノッ!

    ひっさしぶりだねぇっ」


グース「私はこちらに来て以来でしょうか。

    アルビノはいつからこちらへ?」


暮葉くれは「私は十か月ぐらい前かなあ……

   その前にも一度来た事があったんだけどね。

   その時はすぐに帰ったけど。

   それにしてもヒビキってそんな性格だったっけ?」


ヒビキ「ん?

    アタシャ変わんないよっ!

    ずっとこのままさっ!」


暮葉くれは「えー。

   八十年ぐらい前にマザーの城で

   会った時はもっとこう……

   凄く冷た~い雰囲気じゃなかった?」


ヒビキ「そうかいっ?

    アタシャ変わったつもり無いけどねっ!」


暮葉くれは「マザーの城で逢った時を考えたらこんなに

   近づけるなんて思って無かったもんっ」


ヒビキ「あー思い出した思い出した。

    そんときゃまだ竜の姿の頃だろ。

    アタシは氷織ひおりの親代わりになるって

    決めたから竜の姿は捨てたんだ」


暮葉くれは「へぇ貴方も色々あったのねぇ。

   グースは相変わらずっぽいけど。

   なにその白髪と肌の色」


グース「私は日本歴史に興味があってこちらに来て

    呼んだ家系が歌舞伎を営んでいまして。

    それから歌舞伎好きになったのですよ。

    この白髪と肌の色は歌舞伎の演目“鏡獅子”を模しております」


暮葉くれは「へぇ」


 ###



 (再び洗い場)



 カポーン


美々みみ「ふぅ……

   ようやく身体を洗える……

   ゴシゴシゴシ」


凛子「フフフ美々みみちゃん。

   お隣良いかしら?」


美々みみ「あ、ハイ……

   ゴシゴシ……

   ゴシゴシ……

   チラチラ……

   ゴシゴシ」


凛子「あら?

   美々みみちゃん、どうかした?」


美々みみ「いえ……

   凛子さんも凄く胸が大きいなあって……

   それで私よりもずっと年上なのに

   全然垂れていなくて……

   ツンと上を向いてて凄いなあって……」


凛子「あら?

   ありがと。

   でも美々みみちゃんも

   私より大きい胸してるじゃない」


美々みみ「でも言うじゃないですか……

   大きいと歳を重ねると垂れるって……

   ちょっと良いですか……?」


美々みみは凛子の大きな双胸をマジマジと見つめ、恐る恐る右手の人差し指でつついてみる)


 ぷにん


美々みみ「わっ……凄いっ。

   トレーニングで胸筋つけてるかと思ったら

   この柔らかさ……」


凛子「やんっ。

   コラやめなさいっ!

   そんな事する悪い子はこうだぞっ!

   ツンツン」


(お返しと凛子も美々みみの胸をつつき出す)


美々みみ「やだっ!

   あんっ!

   凛子さん止めて下さよう……

   くすぐったいですよう」


凛子「あら可愛い反応。

   そんな可愛い声出されちゃうと

   もっとしたくなるわね。

   エイッエイッ」


つづり「隣しっつれーいっ。

  おや?

  隣にデカパイが四つ。

  これは漫画のお約束をしなきゃだわっ!」


つづりは素早く凛子の後ろへ回り、両脇から両手を差し入れる。

 同時に豊満な胸を鷲掴み激しく揉みしだく)


凛子「エイッエ……

   キャアッ!

   ちょっとっ!

   つづりさんっ!

   そんな突然激しく揉まないでっ!

   あぁっ……」


華穏かのん「何やってんですか……

   三人して……」


つづり「おっとぅ。

  お次はなかなかの微乳登場っ!」


花穏かのん「誰が微乳ですかっ!」


つづり「私は胸の大きさで差別しないよっ。

  どぉーれ。

  華穏かのんちゃんもお約束っ!」


つづりは凛子の後ろから華穏かのんの後ろに移動。

 同じように両手を差し入れ、華穏かのんのささやかな胸を絞る様に揉み出す)


華穏かのん「はぁん……

   いやぁ……

   だめぇ……」


つづり「ほうほう。

  大きさはささやかだけど感度は華穏かのんちゃんが一番かもね」


凛子「自分ばっかり揉んで自分はどうなのよっ!」


(負けじとつづりの胸を揉み出す凛子)


れん「貴方達何やってるの……

  凛子さんまで……」


ルンル【アンタも揉んでもらいなさいな。

    更におっきくなるわよ】


れん「ルンルッ!

  何を言ってるのよっ!」


マス枝「ふむそれでは……

    もみもみ……

    フム七十五のC。

    貴方のお母さんの眼は確かね。

    では続いて……」


れん「ちょちょっ!

  ちょっとっ!

  マス枝さんっ!」


(マス枝の手が胸から滑らかに下に降りる)


マス枝「フム……

    ウエスト五十四……

    ヒップ八十五……

    フム合格。

    八十点。

    れんさん、貴方アイドルに興味ない?」


れん「なななっ!

  何言ってんですかッ!」


マス枝「興味があったら私を訪ねなさい。

    一から矯正してあげるわ」


れん「タハハ……」


 ドッタンバッタン


美々みみ「キャーーーッ!

   触るのは胸だけにして下さーいっ!」


凛子「つづりさんも割と良いもの持ってるじゃない」


 ドッタンバッタン


つづり「イヤァァァ……

  私、胸弱いのぉ」


 ドッタンバッタン


華穏かのん「うわ。凛子さん……

   三十九歳とは思えないハリ……

   私もこんな風になれるかな……」


凛子「きゃんっ!

   華穏かのんちゃん、脇はっ……

   やめてっ……」


 ドッタンバッタン


カンナ「コラーーーーーーッ!」


(カンナの声で我に返る一同)


カンナ「ムムムー。

    みんなっ!

    こんな所で騒いじゃ駄目でしょっ!

    メッ!」


一同「すっ……すいません……」


カンナ「わかればよろしい」


 ###


(一同各部屋に戻り、夕食まで親睦を深める。

 そして広間で夕食を終え、部屋に戻る)



 (A室)



あかざ「さぁヤッマタノオロチ~♪

  ヤッマタノオロチ~♪」


ヒビキ「幻の酒かぁ……

    どんな味なんだろねっ!」


あかざ「さーさー。

  早速準備だ……

  あ、もしもし?

  注文良いかい?

  まずビール。

  大瓶で三ダース。

  それとチーカマとジャーキー十袋ずつ。

  それと……

  みんな何か要るかい?」


ヒビキ「パンフ見せとくれっ!

    ……どれどれ

    ビールだけじゃ味気ないからねえ……

    これっ小野酒造店の“夜明け前”ッ!

    これ一升おくれっ!」


マス枝「私にも見せてもらえますか?

    ……ワインのピノ・ノワールを一本貰えますか?」


凛子「あら?

   ピノ・ノワールあるの?

   私も同じの一本貰えるかしら?」


グース「私は主人マスターが飲むものを頂きます」


つづり「私はビールでいい」


はるか「私はカクテルにするわ。

  ピーチフィズあるかしら?」


あかざ「おっあるぜぇ」


はるか「じゃあお願い。

  スミスと杏奈はどうすんの?」


スミス【拙者は酒では無く緑茶を頂くでござる】


杏奈「……何でも良いわ……

   ハァ……竜司」


あかざ「じゃー注文すっぞー。

  つまみも適当に追加しとくかんなー」


凛子「お願いします」



 (二十分後)



 ピンポーン


あかざ「おっ来た来た……」


(注文の品を部屋に運び入れる一同)


あかざ「じゃあみんなグラスは持ったなっ?

  かんぱーいっ!」


一同(杏奈を除く)「かんぱーいっ!」


(宴は始まり……そして時は進む)


あかざ「んぐっんぐっ……

  ぷはぁ~っ!

  さすが高位の竜ハイドラゴンだ。

  全然変わらないねぇっ。

  ホレ返杯だ」


ヒビキ「いやアンタもなかなかだよっ!

    前にげんって若いのと飲み比べたが

    この辺りでぶっ倒れちまったからねえ」


あかざ「アタシはまだまだイケるぜっ!

  とは言いつつそろそろビールも飽きてきた……

  ではそろそろ……」


ヒビキ「おっ開けるのかいっ?」


あかざ「あぁっ。

  凛子ーっ!

  八岐大蛇やまたのおろちそろそろ開けようと思うんだがっ!

  どうだいっ!?」


凛子「ええいいわよ」


あかざ「他にも日本酒飲める奴はこっちこーいっ!

  こんな機会めったにないぞーっ!」


あかざの呼びかけにマス枝とはるかも寄って来る)


あかざ「さーさーっ。

  お立合いっ!

  ここに取り出したるは幻の純米大吟醸……

  八岐大蛇やまたのおろちだーっ!

  さぁ、みんなグラスは持ったね。

  それじゃー注いでいくよ……」


 トクトク……


マス枝「見た感じ普通の日本酒ですね」


凛子「まあ幻と言っても日本酒ですし」


グース「澄んだ水で綺麗なものですね」


はるか「私、普段は日本酒は飲まないんだけどねえ」


あかざ「さぁ最後は私だ……

  トクトク……

  さあ注ぎ終わった……

  みんなっ!

  呑めっ!」


 グビッ


あかざ「こっこれはっ……。

  なんて不思議な味だ……

  舌の上で八つの味がするぜっ!」


ヒビキ「へぇ面白い酒だねえ。

    ベースは辛口だね。

    舌の上で柱が立つような

    極上の辛口だっ!」


マス枝「ホントですね……

    口の中でどんどん味が変わります。

    しかもその八つの味は

    ケンカせず調和している……」


凛子「ええ。数千万ってのも頷けるわね」


グース「ZZZZZZZZ」


はるか「あら?

  美味しいじゃないっ!」


(瞬く間に空になる八岐大蛇やまたのおろちの瓶)


あかざ「はぁぁぁ……

  至福のひと時だった……

  何か呑み比べなんて

  馬鹿らしくなって来ねぇかヒビキよ……」


ヒビキ「何だいそりゃ?

    まあ気持ちはわからなくも無いけどねえ。

    じゃあどうする?

    各々勝手にチビチビやるかい?」


あかざ「あぁ……

  それも良いかもな。

  ヒビキっ!

  “夜明け前”くれよっ!」


ヒビキ「アイヨッほれ」


あかざはグラスを持って千鳥足で杏奈の元へ)


 ドシン


あかざ「ウィ~ヒック。

  どうしたい?

  ヤンデレちゃんっ。

  一人で黄昏て……」


杏奈「なあにっ?

   酔っぱらいは向こうで皆と呑んでなさいよっ」


あかざ「まーそう言うなって。

  んぐっ……

  うめぇ……」


杏奈「ねぇ……

   私そんなに病んでるかしら……?」


あかざ「何だァ?

  ヤンデレって言った事気にしてんのか?

  確か栄の犯人ってヤンデレちゃんだろ?」


杏奈「ヤンデレちゃんって止めなさいよっ。

   杏奈って名前があるんだからっ!

   ……ええそうよ……」


あかざ「じゃあ杏奈。

  それも竜司君絡みで起こしたのかい?」


杏奈「グッ……

   ええっそうよっ!

   私は竜司のためを思ってしたのにっ!

   全然竜司は解ってくれないっ!

   私を拒絶するっ!

   そして貴方の娘とッ!

   一緒に私を攻撃して来たわ……」


あかざ「ふーん……

  んぐっ……

  うめぇ……

  まー杏奈が娘や竜司君に……

  何をしたかは聞かねぇさ……

  ある程度想像もつくしね……

  杏奈みたいな奴昔ツレに居たよ……

  あの人のためなら死んでも良いってね」


杏奈「……その人はどうなったの……?」


あかざ「男と一緒に無理心中……

  馬鹿な奴さ……

  んぐっ」


(飲み干すあかざの眼から薄っすら涙が見える)


杏奈「貴方……

   泣いてるの……?」


あかざ「へっバッキャロー。

  泣いてなんかいるかいっ。

  まぁ人生の先輩として……

  大きく差がつけられた娘との差を一気に詰める方法を教えてやろう」


杏奈「えっ!?

   何それっ!?

   教えてっ!」


あかざ「それはな……

  ギャップ萌えだ」


杏奈「ギャップ萌え?」


あかざ「いいか?

  今の竜司君の杏奈に対する印象は……

  おそらく恐怖。

  いわば最悪レベルだ。

  だがギャップ萌えは

  マイナスであればある程効力を発揮する。

  恐怖の対象の杏奈が

  しおらしい所や可愛らしい所を見せんだよ。

  すると竜司君はこう思うだろう

  「あれ? 杏奈ってホントは可愛いんじゃ?」

  ってなっ!」


杏奈「おおぉぉおおぉっ!

   そうよっ!

   そうよねっ!」


あかざ「後は自分で考えな。

  語尾に”にゃん”付けるだけでも大分違うと思うぜー。

  何せ男なんざ単純な奴らばっかだからなー。

  ケケケ」


(急に杏奈が平伏し、あかざに向かって拝みだした)


杏奈「おおおおっ……

   神よ……」


あかざ「いや神じゃねーし」


杏奈「でも神様……

   良いの?

   私、神様の娘の恋敵よ」


あかざ「ん?

  別に。

  アタシは面白けりゃそれでいいんだ。

  ライバルが居ない恋愛は面白くないだろ?

  ってか神様ってやめろ」


(宴会は進み、最終的には杏奈も酒を飲み出した挙句、そのまま全員酔いつぶれて寝てしまった)


 ###


(時は少し遡る)



 (B室)



れん「晩御飯美味しかったわねー」


暮葉くれは「私はもう少し辛い方が好きだなぁ……」


カンナ「あっ!?

    もーお布団が敷いてあるーっ!

    すっごーいっ!」


華穏かのん「これからどうします?

   私まだ眠たくないんですけど」


氷織ひおり「私も……」


カンナ「あたしもーっ!」


ルンル【アンタたち何言ってんのよう。

    これだけ女子が集まったら

    やる事って言ったら一つじゃなぁい】


れん「な……何よ……?」


ルンル【パジャマパーティにィ

    決まってるじゃなぁいっ!

    ウォォッ!

    キタコレッ!】


れん「……うん……

  ルンルにしては良い考えかもね」


華穏かのんれんさん。

   この竜なんて言ったんですか?」


美々みみ「私も教えて欲しいです……」


れん「あ、そっか二人とも竜の言葉が解らないんだっけ。

  あのね、パジャマパーティしたらどうって言ったのよ」


華穏かのん「へー。

   漫画とかで見る奴ですねっ。

   面白そうじゃないですかっ」


美々みみ「私も興味あります……」


れん「じゃーっ

  パジャマ持って来てる人は着替えて。

  無い人は浴衣で……

  パーティだーっ!」


カンナ「だーっ!」


氷織ひおり「だ……だー……」


暮葉くれは「ねーねー。

   パジャマパーティってなあに?」



(キョトン顔の暮葉くれはを尻目にみんなお菓子と飲み物を注文。

 品を受け取り、布団に潜り込む。

 お菓子も食べ始め、女子会らしく話が盛り上がってきた)



れん「ねえねえ。

  美々みみさんは好きな人っていないの?」


美々みみ「ええっ?

   居ないですよう……

   そんなひと……」


れん「えーそんなナイスバディなのに勿体ないーっ。

  ねーっ?

  みんなそう思わない?」


カンナ「よくわかんないけどそうだそうだーっ」


氷織ひおり「ポリポリ……

   私はノーコメントで」


華穏かのん「確かに美々みみさんの身体……。

   これがあれば

   何でも出来そうですよねシシシ」


暮葉くれは「よ……よくわからないけど……。

   美々みみの身体があれば何でもできるのねっ!」


ルンル【アルビノだっけ?

    何言ってんのよ。

    そんな何でも出来る訳ないじゃない。

    出来てもせーぜーオトコを手玉に取るぐらいだわよ。

    ふあぁ~アタシ眠たくなってきたから

    そろそろ寝るわ……】


れん「あ、ルンル。

  おやすみー」


暮葉くれは「手玉に取る……

   どういう事かしら……」


美々みみ「もうっ!

   私の事は良いじゃないですかっ!

   それよりもれんさんっ!

   竜司さんとはどうなんですかっ!?」


れん「えぇっ!?

  どどっ!?

  どうって言われても……

  私の見立てでは……

  友達以上恋人未満……」


美々みみ「何ですかっ!

   その煮え切らない態度はっ!

   竜司さんは一級のヘタレ受けの素質がある人なんですっ!

   もっとれんさんがリードするぐらいじゃないと困りますっ!

   キラーンッ」


れん「な……

  何の話……?」


美々みみ「何ってッ!

   BLのキャラの話に決まってますっ!

   キラーンッ!」



(一同絶句する。

 漂う引いている空気を感じ取った美々みみの前に良く解ってない暮葉くれはが口を開く)



暮葉くれは「よ……よくわからないけどっ……。

   竜司は凄いヘタレ受けなのねっ!」


美々みみ「はっ……!?

   ごめんなさぁい……

   私……

   趣味の話になると

   突っ走っちゃうんですぅ……」


れん「カンナちゃんと氷織ひおりちゃんは

  クラスに好きな男子とか居ないの?」


カンナ「んーよくわかんなーい」


氷織ひおり「クラスメイトなんて子供ばかりです……」


れん「例えば仲の良い男子とか」


カンナ「んーと。

    哲君かなー?

    でも哲君。

    優しい時もあるけど

    時々意地悪するからあんまり……」


れん「おやぁっ?

  これは……」


華穏かのん「えぇ。

   れんさんこれは……」


美々みみ「多分……

   間違いないですねフフフ」


カンナ「エー。

    なになにー?

    教えてよーっ」


暮葉くれは「エー。

   なになにー?

   教えてよーっ」


れん暮葉くれは……

  一言一句同じって……

  タハハ……

  オホン。

  いい?

  カンナちゃん、暮葉くれは

  それは多分哲君は……

  カンナちゃんの事を好きなんだと思うよ」


カンナ「そうなのー?

    でもじゃー何で意地悪するのー?」


暮葉くれは「そうなのー?

   じゃあ何で意地悪するの?」


れん暮葉くれは……

  またカンナちゃんと同じになってる……

  タハハ……

  あのね。

  それは哲君が……

  カンナちゃんの気を引きたいのよ」


カンナ「気を引く?」


暮葉くれは「気を引く?」


れん「……現にクラスの男子って言って

  真っ先に名前が出てきたでしょ。

  それだけカンナちゃんの中で印象が強いって事ね」


カンナ「あ、ホントだ。

    でも哲君、意地悪だしなーっ」


暮葉くれは「凄い……

   ホントだわ……」


れん「次会ったら哲君に顔を近づけてみたら?

  多分哲君の顔真っ赤になるわよっ。

  それで少し優しくなるんじゃないかしら?」


カンナ「次会ったらやってみよーっと」


れん「その時の哲君の反応が見ものねフフフ」


華穏かのん「フフフ。ええそうですね」


美々みみ「ウフフフ。

   そうですね」



(夜も更け、話疲れてみんな寝静まった深夜。

 れんは一人トイレで起きる。

 そして用を済ませ戻って来た時)



れん「あ……

  暮葉くれは……

  起きてたの?」



(窓辺の椅子に座りながら月を見上げる暮葉くれは

 その美しい姿は天女が故郷を想っているかの様だった)



暮葉くれは「あ……

   れん……

   起こしちゃった?」


れん「いえ。

  私はトイレよ」


暮葉くれは「ねぇ……

   眠たくなければ少しお話しない?」


れん「ええいいわよ」


暮葉くれはの対面に座るれん


暮葉くれは「今日のパジャマパーティ楽しかったわ……

   皆笑ったり恥ずかしがったり怒ったり……

   色々な感情が溢れてて……

   やっぱり人間って凄いのね」


れん「そう?

  別に普通よ。

  こんなの」


暮葉くれは「いえ……

   私達竜からしたら全然普通じゃないわ……

   つい何十年か前までは竜は腹が減ったら魔力で満たして

   腹が立ったら魔力を使ってウサを晴らす……

   それが竜だった……

   でも貴方達人間に触れあってから

   物凄く竜達わたしたちは変わったわ……ありがとう」


れん「別にお礼を言われる事じゃないって。

  でも完全な生物って言うのも

  色々大変なのねえ」


暮葉くれは「あとねっ!

   私の中で竜司が何なのかわかったのっ!」


れん「へえ。

  何だったの?」


暮葉くれは「フフフ。

   それはねっ。

   れんと一緒っ。

   友達以上恋人未満っ!」


れん暮葉くれは……

  意味判ってて言ってる?

  それって普通は好きな人との距離を表す言葉として使うのよ」


暮葉くれは「えっそうなのっ?

   じゃあ私竜司の事スキなのかしら?」


れん「私に聞かれても……」


暮葉くれは「ごめんなさい。

   私まだ竜司の事スキかどうかは解らない。

   でもさっき聞いたれんの言葉が

   しっくりきたから……」


れん「まあ良いわ……

  そういう恋愛もあるから……

  となると暮葉くれはは私の好敵手ライバルねっ。

  負けないからっ」


暮葉くれは「よ……よくわからないけど私もよっ……

   で良いのかな?」


れん「なあにそれ。

  暮葉くれはってやっぱり変わってるわフフフ」


暮葉くれは「ムムム。

   何よーそんなにおかしくないもんっ……

   フフフ」


れん「フフフ」


暮葉くれは「フフフ」



(月明かりの下、微笑み合う二人の少女。

 こうして夜は更けていった)



 ###



 (神龍舘しんりゅうかん 母屋)



凛子「さあ皆さん。

   忘れ物は無いですか?」


一同「はーい」


(外に出る一同)


凛子「さあ。

   この旅行はここで終わりです。

   最後に今まで。

   そして今回と長々と読んでくれた読者に

   一言ずつコメントを頂きます。

   じゃあカンナからお願い」


カンナ「ハイッ!

    どくしゃのみなさんっ!

    ドラゴンフライをいつも読んでくれてありがとうございまァすっ!」


グース「読者の皆様方。

    いつも応援ありがとうございます。

    予定では私は最終章でまた出演するそうなのでその時は宜しくお願いします」


れん「みんなっ!

  ドラゴンフライをいつも読んでくれてありがとうっ!

  私と竜司の恋の結末もちゃんと見ててねっ!」


ルンル【ハァイ。

    読者のみんなチャオッ。

    アタシとれんも最終章で出演予定だからん

    応援よろしくねん】


あかざ「あたしはどうなんだろ……?

  出んのかねぇ……

  作者が目立つキャラだから出し渋ってるって話だし……

  まーどうでもいいや。

  応援ありがとなっ」


氷織ひおり「私は出るかどうかよくわかりません……

   みんなありがと……」


ヒビキ「アタシャ毎日酒が呑めりゃあ

    それでいいさね。

    読者の皆ッ!

    アタシに酒で勝てる奴がいたらかかってきなっ」


華穏かのん「ドラゴンフライをいつも読んでくれてありがとうございます。

   私は多分もう本編では出ないと思います……」


はるか「はーいっ

  みんなのアイドルっはるはるだっよーんっ。

  私も最終章で出る予定だから楽しみにしててねっ。

  それが武道館の単独ライブならいいのになあ……

  みんなこれからも応援よろしくねっ」


スミス【いつもドラゴンフライを読んでくれて

    感謝感激恐悦至極……

    拙者も最終章で出る予定ですぞ。

    これからも宜しくお願い申し上げる】


杏奈「今回の旅行は良かったわ……

   なんせ神からの啓示があったんだもの……

   ククキコキク……

   読者のみんなァッ!

   アタシと竜司が結ばれるシーンを見せてあげるわっ。

   楽しみにしてなさぁいっ」


美々みみ「いつも応援ありがとうございます……

   多分私も本編では出ないと思います……」


暮葉くれは「読者のみんなっ!

   いつも応援ありがとうっ!

   私はこれから大活躍するから期待しててねっ!」


マス枝「私は恐らく静岡編のみでしょう。

    ただ暮葉くれははこれからも出演し続けます。

    読者の皆さんどうか見守っていて下さい」


つづり「読者のみんなーっ!

  いつも応援あんがとねっ。

  私は前の章ではあんまし出番無かったけど次章からは大暴れするからねっ!」


凛子「では最後に私がせーのと言ったら皆さん一斉にお願いします……

   せーのっ!」


一同「ドラゴンフライ百話おめでとう!」


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