ご挨拶
「リラン!アール辺境伯のご子息と婚約って、本当なのかい!?」
「ええ。ええ。実は、本当なの。お父様。」
わたしも、正直、今でもびっくりしています。
お父様は、わたしと同じ金髪青目をしていて、見た感じですと、若々しく見えますね。
でも、実際は、50代後半な男爵家当主です。
「そ、そうか。アール辺境伯三姉弟は、非常に優秀で、ご次男のリエール様も評判が良い。」
「リエール様も、声をかけて下さったお姉様とお兄様も、とてもお優しくて、二時間くらい、お話しをさせていただきました。」
「それは、良いね。辺境伯ご夫妻も知っている方だからね、父としても、嬉しい縁談だよ。」
「嬉しい縁談!ありがとうございます!」
なぜ、わたしを………?とは思いますけれども、政略結婚は、貴族に、よくあることですよね。
幸い、評判良く、誠実そうですから、安心して婿に迎えれますね!
「アール辺境伯リルスト殿は、ある意味天才と言えよう。騎士としても領主としても、かなり優秀な人材だと私は思っているよ。」
「まあ!騎士団長だったお父様が言うのなら、間違いなく、優秀なんでしょうね。」
どんな方かは分かりませんが、それほど優秀なお方の息子と婚約が出来るなんて!
ただの男爵令嬢にしては運が良すぎて、まるで夢を見ているかのようですよ………?
「リルスト殿の奥方様は、マリーエ夫人だよ。リランも、知っているだろう?」
「えっ?時々視察に来てるマリーエ夫人って、リエール様のお母様、なんですかっ!?」
「ああ、わざわざ、辺境伯夫人が視察に来て、見て下さっているんだ。」
「それは、凄いことですね!今まで、わたし、気付いていませんでしたよ。」
マリーエ夫人、良いところの貴族のお嬢様で、優秀な文官だと思ってました。
あのおっとりほわほわなお方が、筋肉ムキムキ騎士エースのリュエル兄様のお母様というのも 非常に、かなり意外ですね。
「リラン、わたくしも、母も驚きましたよ。」
「わたくしも、びっくりよー!リランさん!」
「リランお姉ちゃん、おむこさんくるの?」
「お母様! それに、叔母様達も!」
お母様に、叔母様に、従妹のハルファちゃん。
どうやら、この3人、わたしとお父様の会話を聞いていたようですね〜。
あ、お父様が大きい声出したからでしょうか?
「アール辺境伯のリルスト様って、お父さんの部下だった人じゃなかったかしら?」
「えええっ?お父様の部下っ!?お父様、凄いお方を、部下にしていたのですね!?」
「ああ。うん、そうだよ。まさか、リランが、リルスト殿の息子と、ねー。」
まさかの、アール辺境伯は、お父様の元部下!
今や、地位で言うなら、アール辺境伯のほうがかなり高いのだけど………
「ふふふ。アール辺境伯も、奥様も、とってもお優しい方よ。良かったわね。おめでとう。」
「はい、ありがとうございます。お母様。」
薄い茶髪に黒目のお母様。わたしと色合いは、全く違うのですが、わたしは母とそっくりなんだそうです。
ちなみに、母も若々しく見えますが、50代な男爵夫人です。
「辺境伯家の方がリランさんの婿に来て下さるなんて、凄いことじゃないの!おめでとう!」
「はい、ありがとうございます。叔母様。」
ステファ叔母様は、お父様の年の離れた妹で、とてもお綺麗な金髪碧眼の美女です。
「わああ!リランお姉ちゃん、婚約したのっ?おめでとうございますっ!」
「ふふふ。ありがとねー。ハルファちゃん。」
ハルファちゃんは、ステファ叔母様の一人娘。
女手ひとつで育てて来たけれど、限界があると感じたのか、去年から、一緒に暮らしてます。
「わたくしの娘も、貴女みたいに素敵なお方と出会えると良いわねー。」
「ええ、ハルファちゃんなら、ぜったい素敵なお方が現れますよ。可愛いですもの。」
「ふふ。そうよね!ハルファ頑張りなさい!」
「えっ?う、うん!がんばる!」
ハルファちゃんは、まだ7歳だから頑張るのは早いと思うんだけど………
あの、叔母様、張り切りすぎじゃありません?
「そうだわ!リラン!」
「は、はい、なんでしょう?お母様。」
「アール辺境伯のリエール様、でしたかしら?もちろん、わたくしは、歓迎するわ。我が家に招待しても、構わないかしら?」
「は、はい、リエール様です。良いのですか?ありがとうございます!お母様!」
という訳で、リエール様がお忙しくない時に、我が家にお呼びすることになりました。
あ、試しに、リゼ姉様とリュエル兄様も呼んでみようかしら………?
数日後の暖かい日。
なんと、我が家に、リエール様とリゼ姉様が。
リュエル兄様は、残念ながら、騎士団のエースとして、護衛任務のお仕事らしいです。
どうやら、皇太子殿下が、外交のため、隣国に向かうのだそうです。
「呼んで下さって、ありがとう。リラン。」
「いえいえ、むしろ、リエール様だけでなく、リゼ姉様も!ありがとう存じます!」
「うふふ。構わないわよ。わたくしの、未来の可愛い義妹ですもの。お呼びして下さいな。」
「残念ながら、兄上は来れなかったけれどね。来れて良かったよ。リラン、久しぶり。」
「はい、リエール様!お久しぶりですね!」
あまりにも、この姉弟が麗しすぎて、家族皆が固まってしまいました。
唯一、ハルファちゃんは、興味津々ですねー。
「初めまして。この度、あなたがたの娘さんと婚約をすることとなりました、アール辺境伯の次男、リエールです。」
「わたくし、その姉のリゼッタと申します。」
リエール様は濃紺のスーツを、リゼ姉様は淡い紫のロングドレスを着ていますね。
その後ろに、辺境伯の護衛騎士の方がいます。
「これは、これは、ご丁寧に!ありがとう存じます。私は、ヴィーエ男爵の、アルストと申す者でございます。」
「わたくしは、妻の、メリーサでございます。娘のリランがお世話になります。」
「リランさんの叔母の、ステファと申します。この子は、私の娘、ハルファです。」
「ハルファ、ですっ!ななさいだよー!」
ハルファちゃんが、張り切り過ぎて、お二人はびっくりしたようですけれど。
あー、そうですね。確かに、あまりフランクにお声を掛けられたことは無いかもしれません。
「彼は、わたくしの護衛騎士、レオーノよ。」
「よろしくお願いします。お久しぶりですね。アルスト騎士団長。」
「レオーノ、久々だなあ。彼は、レオーノは、平民出身だが、私が騎士団にいた頃の右腕だ。今は、辺境伯に仕えてるんだな。」
「あら、そうでしたの!?父上は、何も言ってませんでしたわ!過保護じゃありません?」
「リゼ様は、大事なお嬢様ですので。」
「まあ!ありがとう。レオーノ。」
「アール辺境伯リルスト殿には、大変お世話になりまして。ご令嬢とご子息に会えて、嬉しい限りです。リルスト殿は、元気ですか?」
「はい、父は貴方に会いたがっていました。」
「おや、そうですか!ぜひ、またお会いしたいものですね!よろしくお伝えして下さい。」
「ええ、父上に伝えておきます。これからも、よろしくお願いしますね。お義父さん。」
「ああ、よろしく頼むよ。我が義息子よ。」
お義父さん!義息子!婚約が確定しましたね。
我が家は、亭主関白気味なので、父が認めて、母や叔母が納得したら、成立します。
「お父様は、リエール様と仲良くなれそうね。どう思いますか?」
「わたくしは、英雄殿に会えただけで満足よ!お義父様も、リエールも、二人共騎士だもの。仲良くなれるんじゃなくって?」
「リゼッタ様の言う通り!リラン。お父さんとリエール様なら、大丈夫よー。」
「リゼ姉様、お母様、そうですね!」
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