第5話  100均のカップ焼きそば

小噺を一つ


大学生の頃の話


俺一人暮らしをしてたんだ。


当然のことながら料理なんて一ミリもできんから


食事なんて外食か買い食いばっかり。


そうなると安いところで買いたいという卑しいメタ思考が働いて


スーパーとか100均なんかを重宝してしまうんだな。


そうなるとカップ麺、カップ焼きそばなんかはコスパが良くて


(コスパなんて言葉その頃は流行ってなかったけど)


よく買って夜中腹減った時に食べたりしてたんだよな。


で、ある時100均で大盛のいか塩焼きそば(だったかな)


みたいなやつ見つけて買ったんだよ、訳わからんメーカーのやつ。


大盛だから腹いっぱい食えればいいやって簡単な気持ちで。


で、ある日夜中の2時くらいに、超絶腹が減ってそれを作って食べようとした。


大盛だからお湯を入れて作るのに5分かかるやつだったんだけど、


その5分も待ちきれないくらい超絶ハラヘリーナ状態だった。


観たくもないテレビを瞳に映して、5分間待ったさ。


で、いざ食べる段になって湯切りをしにシンクに向かった。


「えーっと、何々。端をはがして、湯を流して、ソースをかけて混ぜるか」


手順を確認しながら一つずつ行っていこうとした。


端をはがして、湯を流……


流れた


麺が


全部


……


一瞬のことに色んな思考がクラッシュする。


『俺のミスか?』『シンクから戻して食えるか?』


『洗うか?』『いや、それだけはできない』


分析→絶望→憤怒 の順番だったと思う。


~~~~~~~~~~~!!!!!!!


気づいたら右腕が壊れた時の青学の手塚部長バリに咆哮していた。


そしてキレた


ババギレ


空になったカップの入れ物を地面に投げつけて、


粉々になるまで踏みつけて地団駄を踏んだ。


(深夜の2時にこんなことして、下の階の人許してくれ。)


でも、実際俺のミスじゃなくて、はがした紙の部分が


金魚すくいの網見たいに破れやすくなってて起こった悲劇だったんだ。


それを超絶腹減った状態で、今から食おうとしている直前でされたら


誰だって切れるぜ。


あまりの怒りにメーカーに電話してやろうと思って調べたけど


どこにも載ってなかったんだ。


100均ェ!ケチるところそこじゃねーだろ!


多分あれは本物の飯テロだったんだと、俺は今でも思ってる。


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