第4話  漢字テスト

小噺を一つ


これはすべらない話というより罪の告白になるのかもしれない


だから許せないと思った人はどうか俺を断罪してほしい。



中学の時の話


中学生って国語の時間に漢字テストという名の小テストやったりするよな


多分ほとんどの人が経験済みだと思う。


俺のところは10問10点満点でたまに漢字以外に作者名を答える問題が1,2問


出たりするタイプのテストだったんだよ。


しかも隣同士で交換して採点し合って、それを先生に提出するみたいな方式。


で、確認の意味のテストだから予め出る問題が分かってるんだよ。


俺けっこう記憶力いい方だったから、毎回10点満点が当たり前になってて


正直嫌な言い方かもしれないけど飽きてたんだ。


そこで何を考えたかというと、


『俺が満点を取るのはもういい。それより他の奴に0点を取らせよう。』


って考えたんだ。今考えると最低の野郎だな。


で、真剣に知恵を絞って考えたのがこんな方法↓




まずターゲットを隣の席の岩井君ってやつに絞り込んだんだ。


こいつは結構いじられキャラな奴だからノリで許してくれるだろうと思ってさ。


それと、もう一人前の席の森田君ってやつを協力者にして


一芝居うつことにしたんだ。


小テストの前の休み時間ってけっこうラストスパートで勉強の話とかして


最終確認するじゃん。


その時を狙って俺と森田君で、


岩井君に聞こえるように間違った漢字の話をしたんだ。


それもバレないように妙にリアルにしてさ。


例えば


俺「勉強の勉って右側『力』であってたっけ?」


森田「何言ってんだよ。右は『刀』に決まってんだろ」


俺「ああ、そうか」


岩井「(聞き耳を立てて)……」


みたいな感じでさ。それを10問全部やったわけ


更にパンチ利かすために、岩井君に同意を求めたりもした。


森田「専門の門の字って『間』だっけ?」


俺「そうそう!そうだよ。なぁ、岩井君?」


岩井「……お、おう。そうだな。」


ここまでくると、完璧だ。


結果はもちろん岩井君だけ0点


俺が採点して、「0点でしたー」って言って返した時の


岩井君の顔は今でも忘れられねーよ。


一番ひどかったのは『舞姫の作者は?』って問題が出て、


『森鷗外』って答えさせる問題を、


その時、烈火の炎ってマンガが流行ってたから


『森紅蘭(敵キャラの下衆野郎)』って覚えさせて書いてきたときは


笑いが堪えられんかったわ。


だけど、今になって冷静に考えて思うんだが、中学生の頃覚えたことって


結構大人になっても覚えてたりするから、岩井君にはマジですまないことをした


と思うわ。彼が舞姫の作者を森紅蘭って覚えてませんよーに。



あ、あとこのテストの後岩井君にチクられて、


国語の先生にドチャクソ怒られたんだったわ。


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