間章 月影 -つきかげ-
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蒼のいなくなった暗闇の世界。影流は床に置いていた本をベンチの上へ戻し、自身もまたベンチに座り直した。そこには蒼が横になっていたのだが、残る体温もなくただ冷たい。
影流は本のページをめくっていく。その時、突如強風が吹き、バラバラと本のページがめくられていく。それはやがてゆっくりと止んでいった。影流は乱された髪の毛を軽く直し、本を閉じて顔を上げる。
そこには青白い炎のような形をした、何かがいた。ゆらゆらと揺れている。
「...なんだ、まだお前の順番じゃないだろ」
ゆらゆら。炎は揺れている。
「...別に
影流はそう言うと、炎はゆっくりと姿を薄くし、暗闇へ溶けていった。影流は静かに溜息を吐いて、先程まで読んでいたページまで戻していく。その作業中、彼女はのんびりと考えていた。
蒼の無事を。そして、その願いを叶えた後の彼女を考えた。
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