MNから
「仲間の様子が可笑しい?」
振り返りつつ、聞き返した。
誠也という男の話だ。
順位付けにやってきた忍隊に会ってからというもの、誠也の片目は赤く染まり、尚且つ惚れてしまっているようだ。
それが影響してか、仕事にミスが生じ始め一人で何処かへ出掛けるようになった。
それの行方は自ら明かすこともない。
「危ないな。利用されてるかもしれないし。本人は?」
「問い詰めても答えない。忍隊のリーダーは片目が赤かったよな?それと誠也の片目が繋がってたりでもしたら…。」
「おいおい、それは流石に非現実的過ぎるぞ。」
その片目を調べてみようにも、誠也は嫌がるようだ。
ただ、良いこともある。
あれから誠也は鍛錬を強化して毎日怠ることなく行うようになったそうだ。
だが、それだけで他はてんでダメ。
夢中になってしまった、のかも。
「でも、誠也は英雄組織の一員だろ?そんでもって性格が真面目で、重要な位置にいる。なら、裏切りなんてしないと思うぞ。」
それでも険しい顔を浮かべている。
まさか、性格にも影響しているっていうのか?
「誠也は、好きで望んでこの組織に来たんじゃない。仲間同士の協力も避けてるし、仲を深めようともしない。」
わけあって強制的に入れられた組織で、気に食わないまま。
そのせいで、誰とも馴れ合いをしない。
だから、無愛想で鋭い目付きをして、その表情から一度だって変わらなかった。
それが、あの忍隊のリーダーによって動いた。
ただ単に惚れた、という風には見えなかったのだ。
誠也の中で、何かが変わったのかもしれないし、何かが巣食ったのは間違いない。
今は、外出禁止をかけてはいるが、それさえ無視して持ち前の腕で推し通り、外へと出掛けていくのだった。
仲間だから、とは言わない。
助け合いもしない。
大きな戦力だからこそ、手放したくない存在。
裏切られてはたまらない。
「もし、裏切りを起こして攻撃まで仕掛けてきたら、英雄組織は上手く動けない。MNしか、忍隊に対抗できない状態になる。」
「……忍隊め…。」
そこまで手を出すのか。
誘惑し、利用し、何処までも汚い手口を。
それが、忍者のすることだって言い張りたいのか。
正当化して、勝利を収めて見下したいか。
「わかった。取り敢えず、策を尽くしてくれ。最悪なことにだけはならないようにな。」
「あぁ、わかってる。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます