忍隊より

 暗殺組織と無事、同盟。

 海外についてはお任せできる。

 死体の回収が不可能であるなら、部位を一つでも良いと頼んでおいた。

 その代わり、日本国内にいる標的は始末を進めておくし、何かあれば力添えを可能な限りやると一応言っておいた。

「才造、氷漬けの死体のことだけどさ…。」

「どうした?」

「依頼の真が読めてきたかもしんない…。この十人、そして殺した六人。存在しない四人。」

 何処をどう探しても、海外の一人を抜いた三人はいない。

 存在しない、と判断した。

 見つけ出せないはずがないのだ。

 忍の限界か、という話ではない。

「才造、外国まで飛べる?」

「無茶言うな。ワシでは無理だろう。だが、死にはせん…あれは量産型だが良品だ。」

「戻ってきたら、毒抜きしてやってよ。ちょいと、本気で調べてみるわ。」

 殺した六人は、適当に標的とされた一般人だ。

 誘われているのかもしれない。

 死体の一部を持ち帰れというのも、それらしく見せる為だけにつけられた条件。

 或いは、六人が何かを抱えているのか。

 一般人なのか、そうでないか。

 色々と調べなければならない。

 相手に悟らせない為に、適当に何かを仕掛けておこう。

 部下の一部だけでそれをやらせておけば、馬鹿は気付かまい。

 そして、海外にいる一人が偽物であることに気付いてくれるか否か。

 匂う、と伝えた。

 狙い合っている可能性があるのだと伝えた。

 それは的中しているはずだ。

 忍の足では、水面をどれだけ走れようとも、空をどれだけ飛べようとも、台湾までは届かない。

 日本という小さな島の中でしか、活動はできない。

 実際にはできても、できないということにして、しないようにしなければならないこともあるということだ。

「死体を解剖するわけにはいかない。死体が歩んだ道を辿るしかない。小助、海斗、おいで。」

「長が本気になるとはな。遠征任務は任せとけ。」

「この眼でなんでも見分けてやるさ。」

 街中の動物が様子が可笑しいと報道さえあった。

 当然、可笑しくさせているのは自分なのだけれど。

 その調査までされている。

 だからと正解はない。

「ちょいと、遊んでる場合じゃないかんね。伊鶴、ちょいと英雄さんとこ行っておいで。手は出さなくていい。」

「わかった。」

「これ以上の分散はしない方が良さそうだから、何かあるまで待機。才造、この場を任せた。」

「あぁ。」

 二人を連れて日ノ本中を駆ける為に。

 任務達成は愚か、勝利さえ危ういのかもしれない。

 早い段階で気付けて良かった。

 手遅れになる前に。

 立て直しさえできない状態には絶対になんない。

 戦国時代にさえあったような話だろう。

 匂いを辿れ。

 忍が如く。

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